「自由研究のお役に立ちます」-。こんなうたい文句で、岡山市内の科学館や血液センター、福祉施設などがさまざまな体験型イベントを企画しています。長期休業に入ったばかりの子どもたちは、海水浴、花火大会、家族旅行などの予定に浮足立ち、自由研究や工作といった手間のかかる宿題を後回しにしてしまいがち。そんな子どもたちだけでなく、宿題の進み具合が心配な保護者にも“渡りに船”と言えるイベントは、施設側にとってもそれぞれの持ち味や存在意義をPRするチャンスになっているようです。各施設の取り組みを取材しました。
人と科学の未来館サイピア(北区伊島町)は、7、8月を「夏休みスペシャル」とし、はんだごてを使ったLEDランプづくり(7月30日)、自転車型ロボット「ムラタセイサク君」の実演やセンサーを使った工作(8月20日)、廃材を利用したアート作品づくり(同28日)といったイベントを連日、実施しています。さらに、8月7日には「わくわく科学フェスティバル」を開催。大気圧の変化を利用した「ドラム缶つぶし」、500キロの塩を投入した簡易プールに入って体を浮かべる「死海ぷかぷか」、無重力や真空がテーマの「宇宙実験教室」などを一挙に行います。
2017年度までの5年間、指定管理者として同施設を運営する「CRISコンソーシアム」の武市昌之統括責任者は「身近なものを使った実験は子どもはもちろん、親の心にも残るものです。夏休みのイベントをきっかけにリピーターとなってもらうことで、運営面の評価を高められれば」とし、次期の指定管理継続を視野にアピールに努めていく考えです。
サイピアのイベントの詳細はホームページ(http://www.sci-pia.pref.okayama.jp/index.html)で確認できます。予約が必要な催しもあります。夏休み期間中は、月曜と8月12日が休館です。
岡山県赤十字血液センター(北区いずみ町)は夏休みの7日間、小学生の親子対象に「サマースクール」を行います。血液の成分や性質、患者に血液が届けられる流れなどを学んだり、血液運搬車、移動献血車を見学したりします。通常は立ち入りできないマイナス30度に保たれた血しょう製剤の保管庫にも案内してもらえます。
献血できるのは16歳以上。少子高齢化などで将来の献血不足が予想され、同センター推進課は「まず小学生にも『献血』という言葉を知ってもらい、それによって救われる命があることに理解を深めてもらいたい」と狙いを話します。同スクールは7月25~29日、8月9、10日の午前(午前9時半~11時半)と午後(午後2~4時)の2部制で開催。原則保護者同伴で各回40人程度。無料。参加希望はホームページ(http://www.okayama.bc.jrc.or.jp/)で受け付けています。
「福祉の世界をもっと知ろう」と銘打ち、小学生対象のツアー「福祉体験バス」を実施するのは、社会福祉法人旭川荘(北区祇園)。5年目の今回は、障害者と一緒に古いセーターを織り機で編み直す「結び織り」をしたり、障害者スポーツ「ボッチャ」を楽しんだりします。「障害があってもスポーツを楽しむことができるなどイメージが変わり、福祉の一端に触れることができた」など保護者からの感想も寄せられ、同荘企画広報室は「介護の仕事の話や車いす体験などもあり、福祉の現場を知ってもらういいチャンス」と話しています。
8月18日午前8時50分、JR岡山駅集合。バスで同荘を訪れます。親子16組で、参加費は2500円(昼食付き)。申し込みは8日締め切り。詳しくはホームページ(http://www.asahigawasou.or.jp/cgi-bin/topics/index.cgi?c=zoom&pk=809)をご覧ください。
このほか半田山植物園(北区法界院)が夜の昆虫観察「虫ナイト」(7月30、31日)、夏季企画展「サボテン・多肉植物の世界」を予定するなど、その他の施設でも趣向を凝らしたイベントを用意しています。上手に活用して宿題を消化するとともに、親子の絆を深め合う夏休みにしてください。
障害者と一緒にボッチャを楽しむ子どもたち=2015年