◆前橋の就労支援施設 「赤城の恵」認証「励みになる」
前橋市高井町の障害者就労支援施設「麦わら屋」で、利用者たちが手作りしている「上州米味噌(こめみそ)」が、市などが認証する「赤城の恵(めぐみ)ブランド」に選ばれた。就労支援施設の商品が認証されるのは初めて。施設の利用者や関係者は「励みになる。手作りだからこそ生まれる深みのある味を、多くの人に知ってもらいたい」としている。
施設は昨年5月に開所し、身体、知的、精神、発達障害のある計23人が利用する。ラベル貼りやギフト用の箱の組み立て、メダカの養殖なども行っている。
みそづくりは、施設を運営するNPO法人の小野介也理事長(37)が発案した。開所に先立ち、みその製造・販売を行っている埼玉県熊谷市の就労支援施設などを視察した際、利用者が協力して仕上げる様子を見て、「麦わら屋でも取り組みたい」と思った。
みそ工房などに出向いて製造方法を学び、知的障害と精神障害がある22~40歳の利用者6人に教えた。前橋市産の大豆と米などを使って、洗浄から発酵までの作業だけでなく、袋詰めや配送も利用者が行う。
最初のうちは工程を覚えられず、滞ることもあった。それでも、大豆と米を手で均等に混ぜ合わせる作業など、利用者がそれぞれ得意な作業を見つけ、打ち込むようになった。吉田佑莉香さん(25)は「大豆を煮る作業は暑くて、終わった後は汗でびっしょりになる。でも、おいしいみそを食べてほしいから、頑張れる」と話す。
昨年度、初めて手がけた1000パックは完売。売り上げの約50万円は、全て利用者の工賃に充てられた。その後も好評で、今は1人当たり月に8000円を渡している。「昔ながらの製法で、みそ本来の味と香りを楽しめる」などとして今年8月、ほかの農園や加工組合などの6商品とともに、赤城の恵ブランドに認証された。
小野理事長は「完成したみそを試食する時や、店の棚に並ぶのを見た時、みんなが本当に良い顔をする。今後は生産量を増やして、工賃も引き上げたい」としている。
上州米味噌は400グラムで450円(税抜き)、800グラムで800円(同)。麦味噌と玄米味噌もあり、県内の量販店などで販売している。問い合わせは、麦わら屋(027・226・1039)へ。
<赤城の恵ブランド>
地産地消の推進と消費・販路の拡大を目的に、2010年に始まった認証制度。前橋市産の農林水産物や加工品が対象で、市や商工関係者でつくる推進協議会が審査する。現在、ブルーベリーアイスや豚肉のウィンナーソーセージなど60品目が認証されている。認証商品は、「赤城の恵ブランド認証品」と記されたマークを貼ったり、市のホームページでPRしたりすることができる。
2016年09月14日 Copyright © The Yomiuri Shimbun