ゴエモンのつぶやき

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パラリンピックの出場資格知ってますか? オリンピックとの違いは?

2016年09月20日 03時01分25秒 | 障害者の自立

一般的に世界的なスポーツの祭典と言えば、オリンピックのことを思い浮かべる人が多いのではないだろうか。オリンピックは4年に1度しかないうえ、全世界から注目が集まる中で各競技の世界ナンバーワンを決めるイベントとなれば当然なのかもしれない。

ただオリンピックは世界的なスポーツイベントとは言え、身体障害者は選手として参加することができない。そのような身体障害者にも、世界的なスポーツイベントを楽しんでもらおうと開催されるのがパラリンピックだ。

パラリンピックには身体にさまざまな障害を持った選手が参加するため、オリンピックにはない競技や、競技別に設けられた細かな出場条件などがある。

現在開催中のリオパラリンピックも、ついに9月18日には閉会してしまうが、4年後には東京で開催される。観戦する側としてオリンピックだけでなくパラリンピックも楽しむには、パラリンピックがどのような大会でどのような競技があるのか、選手はどんな条件のもと出場しているのかなどの情報を、事前に知っておくとがポイントになるのかもしれない。

歴史から見るオリンピックとパラリンピックの概要

オリンピックは、古代ギリシャにおけるオリンピアの祭典をもととして世界的なスポーツ大会を開催することが目指され、1896年にアテネで夏季オリンピック第1回大会が開催された。

冬季オリンピックは第1回大会が、1924年にシャモニー・モンブランで開催。1994年のリレハンメル大会から、夏季大会と冬季大会が2年おきに交互開催されることになった。

対してパラリンピックは、戦争で負傷した兵士たちが1948年のロンドンオリンピック開会式と同じ日に病院内で行った競技大会が起源とされている。

その後国際パラリンピック委員会が発足、オリンピックとの相互作用による関係強化が目指され、2000年のシドニーオリンピック以降、オリンピックの開催都市でオリンピック開催後に続けてパラリンピックを開催することが正式な義務となった。

パラリンピックの規模やオリンピックとまったく違う出場資格とは

今回の2016年パラリンピック・リオデジャネイロ大会は、159の国と地域・初結成となる難民チームから選手が出場、史上最大規模となる約4300名の選手が集まった。

一方、パラリンピックの直前に開催されたオリンピック・リオデジャネイロ大会は、206の国と地域から約11000名以上の選手が参加。選手数こそパラリンピックの倍以上だが、国と地域の数を見ると、パラリンピックの規模も大きく広がりつつあることがわかる。

パラリンピックに出場するための条件は、パラリンピック独特のものとオリンピックとほぼ同じ内容のものなど、多少複雑で難しい。

まず基本的に、現在は聴覚障害者・精神障害者の出場は認められていない。その他の視覚障害や脳性麻痺・運動機能障害・切断などの障害がある人は出場することができる。この部分はあまり知られていないのではないだろうか。

競技に関する部分についてはオリンピックとそれほど変わるものではなく、定められている参加標準記録の突破や世界ランキングの上位であること、世界選手権など権威ある大会で上位になっていることなどが、出場権を獲得するための最低条件だ。

パラリンピックの出場選手も、オリンピックの出場選手と同様に幾多の困難を乗り越えて出場資格を勝ち取っているということがよくわかる。

パラリンピック、日本の主力競技とは?

オリンピックでは水泳や柔道・レスリングなどが、常にメダル獲得の有力候補として注目されているが、パラリンピックでは主力として水泳や陸上・柔道など、幅広い分野で競技が注目されているようだ。

パラリンピックの水泳は、肢体不自由・視覚障害・知的障害の3つにカテゴリーが分けられている。肢体不自由については程度によって種目ごと10クラスほどに分けられ、視覚障害は3つのクラスに分けられている。

日本水泳陣は、ベテランの名選手や世界選手権で活躍するホープなど期待される選手が多数おり、毎回多くののメダル獲得が予想されている。

陸上競技においても、近年は日本のレベルが向上。肢体不自由のクラスで短距離や走り幅跳びなど、世界トップの成績に匹敵する選手が成長してきているようだ。

陸上競技は視覚障害・肢体不自由・知的障害などにクラスが大別され、肢体不自由の中でも原因が脳性麻痺なのか手足の切断によるものなのかなどで細かく区分されている。

オリンピックと同様にパラリンピックの柔道でも、日本選手はお家芸の国として美しく強い柔道を展開。各階級全てでメダルの期待がかかっている。

パラリンピック柔道は視覚障害者だけで試合が行われる。互いに襟や袖を掴み、組んだ状態から試合が開始されるのだ。

歴史やルールを知ることがパラリンピックを楽しむための第一歩

一般的にオリンピックの開催期間中は、夜中まで応援して自国の選手がメダルを獲得すれば湧き上がるし、世界注目選手のパフォーマンスにも興奮するものだ。

対してパラリンピックは、一部の障害スポーツに理解ある人やスポーツ好きな人など以外、あまり注目してもらえないのが現状であろう。

しかし、パラリンピックも、その競技の出場条件やルールなどをよく理解すれば、選手たちのパフォーマンスがどれほど素晴らしいものなのかがよくわかる。

パラリンピックの素晴らしさや意義を、歴史やルールをもとにメディアは事前に広く伝え、私たちも根本的な部分から知ることができれば、今後の障害スポーツの注目度も増していくのではないだろうか。

(ZUU online 編集部)  2016/09/18 


道下が銀「伴走者と支えてくれる周りの人に感謝」

2016年09月20日 02時43分37秒 | 障害者の自立

競技最終日になる9月18日(現地時間)、コパカバーナ地区でマラソンが行われた。コパカバーナビーチはブラジルで最も有名なビーチの一つ。選手たちは潮風香る美しい海岸沿いのコースを走り抜けた。

視覚障害クラスでは、女子の道重美里(39歳・三井住友海上)が銀メダル、男子の岡村正広(46歳・RUNWEB)が銅メダルを獲得した。

道下は世界記録まで58秒に迫る2時間59分21秒の日本記録を持つ。同じレースには道下の他に、近藤寛子(49歳・滋賀銀行)と西島美保子(61歳・日本盲人マラソン協会)の二人の日本人選手が出場した。

走り終え、日本国旗を掲げる道下 中村"Manto"真人

走り終え、日本国旗を掲げる道下

道下は世界記録まで58秒に迫る2時間59分21秒の日本記録を持つ。同じレースには道下の他に、近藤寛子(49歳・滋賀銀行)と西島美保子(61歳・日本盲人マラソン協会)の二人の日本人選手が出場した。

レースはスペインのエレナ・コングストが一人でレースを引っ張り、2位と2分以上の差をつけ1時間30分41秒で中間地点を折り返した。道下はエレナと3分5秒差の3位で折り返し地点を迎えた。道下は終始ペースを崩さぬ走りを見せ、30キロの手前で2位に順位をあげるが、最後までエレナを捉えることができずそのまま3時間6分52秒の2位でゴールした。

レース後、道下は「スペインの選手が最初からとばして追いつけませんでした。日差しが強く後半で思ってたよりペースを上げることができなかった。追いつけなかったのは悔しいですが、最後まであきらめずに走り切り、銀メダルをとれたのが嬉しい」と笑顔を見せた。

インタビューの途中、「二人とも年下ですが。本当に頼りになるんです。二人に助けてもらったからこそ取れた銀メダルです」と一緒にレースを走った伴走者の二人について道下が話すと、伴走者の堀内規生が涙を流す場面もあった。視覚障害者にはレース中、隣に伴走者がつく。道下はレース後、二人の伴走者に改めて感謝を述べた。

伴走者とピンクのスカーフ。様々な人の支えのなか走った

「このストールも、いつも一緒に走っている会社の子が渡してくれたんです。日本の国旗がついてます。その人といつも一緒に走ってるから、今日も一緒に走りました」と首に巻いていたピンクのストールを見せてくれた。「苦しい時間帯も、いつも一緒に走っている人たちの顔を思い浮かべながら走ったら、1キロがあっという間でした」

2016年9月19日     パラフォト


わたしの主張「みんなが幸せに」 長岡で新潟県大会、五泉北中・高橋さん最優秀

2016年09月20日 02時34分44秒 | 障害者の自立

 中学生が暮らしの中で感じたことを発表する「わたしの主張」県大会(県など主催)が18日、長岡市の長岡リリックホールで開かれた。最優秀賞には、障害の有無にかかわらず一人一人が大切な存在だと訴えた五泉市立五泉北中1年の高橋心太郎さんの「みんなが幸福な社会を」が選ばれた。

 県内188校から約2万6千人が応募。県大会では県内13地区の代表14人が、家族との関係や伝統文化、社会問題などについて意見を述べた。

 耳が聞こえない祖父母に育てられた高橋さんは、手話を駆使しながら「体の不自由な人を特別だとは思わない」と強調。相模原市の障害者施設で起きた殺傷事件にも触れながら「健常者も障害がある人も、同じように幸福に暮らせる社会を築いていかなければ」と呼び掛けた。

 高橋さんは県代表として、関東・甲信越静ブロック審査に進む。このほか、優秀賞には県立津南中等教育学校1年の小林大悟さんと上越市立頸城中3年の橋詰飛弾(ひびき)さん、審査員特別賞には長岡市立東中3年の阿部夏希さんが選ばれた。 

「わたしの主張」県大会で最優秀賞に選ばれた高橋心太郎さん=18日、長岡リリックホール
 
  「わたしの主張」県大会で最優秀賞に選ばれた高橋心太郎さん
 
新潟日報    2016/09/19

子供たちに伝えたい!〜リオで観戦するパラキャンのメンバーを訪ねて〜

2016年09月20日 02時23分36秒 | 障害者の自立

「パラキャンでは自分が社会の役に立っているという自負心が生まれる」と、メンバーの諸隈有一さんは言う。

NPO法人パラキャンという活動がある。最近になって、法人名をパラリンピックキャラバンから「パラキャン」に変更した。代表の中山薫子さんが、スポーツを通じて子どもたちと障害のあるスポーツ選手を結ぶ体験交流の活動をアトランタオリンピック(1996年)後に始め20年になる。そんなパラキャンの皆さんが観戦する観客席にお邪魔した。

リオパラリンピックに観戦に来た中山さんらパラキャンのメンバー 撮影・山下元気

リオパラリンピックに観戦に来た中山さんらパラキャンのメンバー

アトランタオリンピックで商業化と同時にプロ化も進んだ。当時、ニューヨークでフリーの通訳やガイドの仕事をしていた中山さんは、アトランタオリンピックでガイドの仕事でオリンピックに触れ、華やかだが「お金があってできるスポーツ」は面白くなかった。「アマチュアスポーツ好きなのだろうと思います。環境が整っていなくても、好きなスポーツに取り組んでいる。そんな姿を見ることが、スポーツの入り口になるのでは」と考えていた。

そして、オリンピックが終わり、パラリンピックがあるということで、気軽な気持ちで観戦に行った。「パラリンピックの選手たちは、みな、知られていないけれど、それぞれが輝いている。これが、本当のスポーツだ」と思った。パラリンピックは、アマチュアスポーツの人を動かす力が、底知れないと思った。

中山さんが一番最初に見たのは、女子車いすバスケットボール日本代表の試合「車椅子が流れるように動いていく。綺麗だった。なんとも言えない世界をみつけた気がした。魂が揺さぶられるような世界だった」

帰国後活動を始め、神戸の21の学校への「講演活動」の形でアプローチがはじまった。この時から、多くのパラリンピアンの協力が得られるようになり、活動は軌道に乗った。そして今も年間130回ほどの講演を通じて、障害者のスポーツを地域の学校の子供たちに伝える活動を続けている。

観戦を終えたメンバーに、それぞれが活動する理由を聞いてみた。

パラキャンメンバー・柴田凌さん 写真・山下元気

パラキャンメンバー・柴田凌さん 

柴田凌 摂南大学4年生(経済学部)パラキャン活動暦2年目
「高校1年の時、脊損になって、先生がパラキャンを呼んでくれた。自分と同じ境遇の人ってこんなに多い!生き生きとしているってことがわかりました。スポーツをやることで、自分の人生を豊かにするきっかけをつかめたともいます。
生きていく上で(障害があると)助けてもらう機会が多い。車椅子の扱いかた、どういう思いであるかということを、周りの人に知っておいてもらえたら気が楽です。自分で伝えていく。自分を含め、障害のある人が過ごしやすい環境を作っていけたらと思って、参加しています」

パラキャンメンバー・諸隈有一さん 写真・山下元気

パラキャンメンバー・諸隈有一さん 

諸隈有一・43歳 パラキャン活動暦15年
「人が足りなくて、たまたま呼ばれたんです。大阪の学校で話をしました。その時に6000円もらった。何もできてないのに、お金もらった。申し訳ないという気持ちがあった。次、呼んでもらったら、ちゃんとやろうと思った。とりあえず、人を楽しくさせようとしている。私は障害者はお手伝いしなければならない人と、教えられた世代だが、本当は子供の素直な感情が大事。足なくて気持ち悪い、とかね。やりとりの素直な反応に触れ、当事者として答えることが大切。
対戦のスポーツも、その二人だけでなく、会場のみんなが楽しんでいる。日本だと、剣道柔道も選手を尊重しすぎているけど、スポーツをみんなが騒いでいい。テニスでも、ラケット振らなくてもいい。好きであれば、うまくなくても楽しんで、声援挙げればいい」

Rio 2016, コラム, リオパラリンピック, 取材者の視点 — 2016年9月18日


高齢者の懐を狙い撃ち  医療も介護も負担増大

2016年09月20日 02時15分51秒 | 障害者の自立

 安倍政府の医療・介護制度改悪による高齢者切り捨てに対し、医療分野、福祉分野、高齢者団体を問わず、「国によるあからさまな姥捨て」「“枯れ木に水をやる必要はない”“いずれ死ぬ”との論理は相模原市の障害者施設での殺傷事件犯人と同じ」「明らかに基本的人権の保障を国に義務づけた憲法25条の改悪。安保法制、集団的自衛権で戦争のできる国づくりをやっている九条改悪と一体」「一方でアメリカ、財界いいなりで世界中にODA(政府開発援助)をばら撒いており、その規模は100兆円に達している」「戦中、戦後、焼け野原のなかから立ち上がり懸命に働き、子どもを育て、今日の日本をつくってきた世代に報いるどころか、切り捨てる政治に日本の明日はない」などの論議が活発に起こっている。

 75歳以上医療費を2割負担へ  海外にバラマキ国民の老後圧迫

 安倍政府は参院選後の7月、社会保障審議会医療保険部会で高齢者の医療費負担引き上げの論議を開始した。70~74歳の前期高齢者の医療費患者負担を1割から2割に引き上げたのに続き、75歳以上の後期高齢者(一般)の患者窓口負担を現行の1割から2割に2倍化する方針を打ち出し、2018年度までに結論を得て実施する段取りである。
 下関市内の内科開業医は「その本質は75歳以上のすべての国民を一人一人、家族の扶養からも、既存の公的医療保険からも切り離し、後期高齢者医療制度に強制加入させる“縁切り型”“姥捨て山方式”であった」「2007年4月1日、政府の“後期高齢者医療の在り方に関する特別部会”がまとめた基本的な考え方は“いずれ死ぬ”というもので、戦後の日本をつくってきた世代に報いるどころか、あからさまな“お荷物”扱いとした。これは相模原市の障害者施設での殺傷事件犯人の考えと同じだ」「後期高齢者医療制度実施で窓口負担を一般1割、現役並み所得者は3割、としたことから、“今後、2割負担、3割負担と引き上げる遠大な含みを隠している”と追及された。政府は黙って答えなかったが、その正体丸出しだ」と語った。
 周知のように、高齢者世代は若年世代とともに貧富の格差が著しい。事実、今年3月時点で65歳以上の高齢者世帯が生活保護受給世帯全体の50%を突破した。今年4月時点では高齢者世帯の生活保護受給は83万512世帯と過去最多を更新。そのうち1人暮らしの高齢者が9割を占めた。「基礎年金」といわれる国民年金の給付は月6万円台で、病気になったり介護が必要になって、それが生活保護受給の契機となるケースが多い。
 昨今、多くの高齢者は孤立している。子ども5人ぐらいが一般的な時代には、誰かが家に残ったが、少子化でほとんどが大都市にいる。また、働く国民の40%が低賃金・不安定の非正規雇用、若年層では2人に1人以上が非正規雇用。子どもは年老いた親の面倒を見たくてもできず、親も子どもを頼れなくなっている。また、「中間層」といわれ一定の年金収入がある親と、非正規雇用から抜け出せず40、50代の自立できない子が同居している。
 開業医のなかでは、「高齢者の所得格差は大きく、生活保護でないボーダーライン層も多い。政府がみずからの政治の結果である少子高齢化の現実を無視し、“搾れば搾るほどよい”という暴挙をやることは許されない。後期高齢者の窓口負担を1割から2割に倍増することは広く受診の権利を奪うことになる」と指摘している。
 もう一つ、社会保障審議会医療保険部会で今年末までに結論をまとめ2017年度からの実施をめざしているのが、「70歳以上の高額療養費制度」の月額負担限度額の引き上げである。
 現行の「70歳以上の高額療養費制度」は「現役並み所得者」で月約8万7000円を超えた分、「一般所得者」は月4万4400円を超えた分、「低所得者Ⅱ」(住民税非課税)は月2万4600円を超えた分、「低所得者Ⅰ」(住民税非課税で年金収入が80万円の必要経費控除後ゼロになる人)は月1万5000円を超えた分、がそれぞれ保険から払い戻される。
 これを70歳未満の高額療養費制度の月額負担限度額と同じ方向へ、いかに引き上げるかを論議している。
 現行の70歳未満の高額療養費制度は、すでに改悪に次ぐ改悪で重い負担となっている。住民税非課税の低所得者で月約3万5000円、年収210万円以下で月約5万8000円、210万円以上~600万円以下が約8万7000円、年収が902万円をこえると月約25万4000円、これらを超過した分が払い戻される。
 社会保障審議会医療保険部会の席上、委員の経団連社会保障委員会医療・介護改革部長・望月篤氏は「(高齢者の)高額療養費制度は世代間の公平性の観点からも、早急に見直すべきだ」と主張。日本医師会副会長・松原謙二氏が「高齢者が不安にならないようにすべき」と主張する一幕もあった。
 医療制度改悪は高齢者だけではない。2002年、小泉改革で被雇用者健保本人の患者窓口負担を、2割から3割に引き上げた。日本医師会が「混合診療拡大反対」とあわせて全国的な反対署名運動を展開、短期に600万筆をこえる署名が衆参両院に提出されるという世論の反発を招いた。このため、健康保険法改定で「(今後)患者への7割給付(すなわち患者負担3割)を維持する」と法律の「付則」で明記した。
 ところが保険外しをやって、なし崩しに七割給付を減らし、患者の3割負担にプラスした保険外負担を広げている。最近では入院給食の患者負担を1食260円から460円へとほぼ2倍化した。入院月額では2万3400円から、4万1400円へと、段階的に引き上げている。これに加えて、水道・光熱費や病室代(現在、保険適用の複数部屋)を保険外とし、患者負担とすることを検討している。
 また、「“かかりつけ医”以外の受診は定額負担を加算する」と、1回につき100円、200円の追加徴収をやり、診療抑制をやろうとしている。医療界では、「“かかりつけ医”という総合診療医の養成・配置は今からで、現状は内科でも呼吸器科、消化器科、循環器科を掲げた開業医にかかっており、患者の受診を抑制するもの」「最初は100円、200円でも、1回導入すると500円、1000円と引き上げるのは政府の常套(とう)手段」との批判が広がっている。

 介護でも負担率2割に 施設への入所断念も

 介護保険制度の改悪もすさまじい。8月、安倍政府は社会保障審議会介護保険部会で、2018年度の介護保険制度改悪に向けた論議を開始した。論議の中心は、介護サービスを利用する自己負担を現行原則1割から段階的に2割に引き上げることである。すでに2015年8月から「現役並み所得者」は2割負担にしており、特別養護老人ホームから退所せざるを得なくなったり、ショートステイなど在宅介護サービスの利用を大幅に減らさざるを得なくなり、家族はパニック状態となっている。
 下関市内の特別養護老人ホーム施設長は「“枯れ木に水をやる必要はない”と政府はいったが、高齢者は早く死ぬという考え方で、相模原市の障害者施設で多数を殺傷した容疑者の思想と同じだ。戦後の食料難で、栄養失調で子どもを失うケースもあるなか、懸命に働いて次世代を育てて今日の日本をつくってきた世代の苦労も知らず、アメリカナイズされた政治家や官僚が目先三寸、もうからなければ切り捨てるという。はらわたが煮えくりかえる思いだ」とのべた。
 次いで、2015年度の改悪で、特別養護老人ホームの旧来型複数部屋で月1万5000円の部屋代・水道光熱費を徴収していると説明。「年間18万円もの負担増だ。入所を断念するケースも出ている。現行の1割負担でもこのような実情にある。これを2割負担にしたらどうなるか。まさに“老後は金次第”で、ほとんどの庶民は施設には入所できないし、入所していても退所に追い込まれる。国によるあからさまな姥捨てだ」という。
 そして、8月19日の社会保障審議会介護保険部会でも、委員から「高齢者の経済的負担は限界にきている」「2割負担の対象を全体に拡大すれば、必要な介護を控えさせることになり、重度化する」などの意見が続出。結果的に重度化・重症化で介護費用の増大を招き、介護離職を増やすことは必至で、安倍首相のいう「介護離職ゼロ」の方針に逆行するとの指摘が出されたことを明らかにした。
 介護保険改悪で、要支援1、2の要介護者に対する介護予防サービスの大半を占める、ホームヘルパーによる訪問介護と通所介護であるデイサービスの市区町村の事業への丸投げを、2015年度から開始し、2017年度までの3年間で移行を終えるとしている。だが実際に移行しているのは3割強。低い介護報酬の設定で手を引く事業者も出ており、全国的にスムーズに移行が進む保証はない。
 安倍政府はこれに続いて、要介護1、2へのホームヘルパー派遣による生活援助(炊事・洗濯・掃除・買い物など)と、介護用具レンタル・購入への補助を、介護保険の給付から外し、全面自己負担とする方針を検討している。
 週に3回、2日に1回などのペースでホームヘルパーが在宅要介護高齢者宅を訪問し、本人の健康をチェックし、生活援助をすること、介護用器具で要介護者本人が自立した生活を継続する努力をすることが、いずれも重度化、認知症の重症化を抑える要となっている。
 安倍政府による生活援助、自立を維持するための介護用具レンタル・購入への補助外しが、住み慣れた地域での自立した生活を奪うことは必至である。ヘルパーが訪問して健康をチェックし、医療機関とも連携して担っている社会的な役割を否定し、その誇りも喜びも奪うものである。
 政府は「給食サービスの宅配がある」「コンビニや商店街の商品配送がある」というが、介護の専門家であるヘルパーの役割にとってかわることはできない。生活援助、介護用具レンタルなどの保険外しが、1人暮らしも多い在宅要介護高齢者の重度化、認知症の重症化を招くことを介護現場をあげて指摘し、警鐘を鳴らしている。介護度の重度化だけでなく、認知症の重症化による徘徊・暴力などには、家族や地域で対処することはできなくなる。
 特別養護老人ホーム施設長は、「現状でも“高い保険料とって介護なし”の実態は深刻だ。これに国が段階を画す姥捨て政治をやってきている。介護苦を原因とする心中や親族殺しという“介護殺人”が全国で2週間に1件のペースで起こっている。この現状を考えると、安倍政府の姥捨てが招く“介護地獄”がいかに荒廃した社会をつくり出すか、想像するのも恐ろしい。“金がない”と国民の生活、人権は切り捨て、アフリカに3兆円などとアメリカの戦略に乗って巨額のODAをばら撒いている。こういう転倒した政治はもう終わりにしなければと思う」と語った。

長周新聞    2016年9月12日