ゴエモンのつぶやき

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社説:障害者差別解消法 要領定め適切な対応を

2016年09月18日 04時10分36秒 | 障害者の自立

 障害者差別解消法が今年4月に施行され、半年近くがたつ。誰もが人格と個性を尊重し合う共生社会の実現に向け、障害を理由とする差別を解消するための措置を定めた法だ。障害者にとって障壁となっているものを取り払う努力が求められていることを、いま一度確認したい。

 障害者とコミュニケーションを取る際、知識や理解が不足しているために、不快な思いをさせたり戸惑いを感じさせたりするケースは少なくない。そうした事態を防ぐため、同法は適切な対応の仕方を具体的に示す「対応要領」の策定を国や自治体に求めている。

 これまでに本県で要領を策定した自治体は県のほか北秋田市、男鹿市、由利本荘市、八峰町、美郷町の5市町。ほかにも多くの市町村が策定作業を進めているが、全体として対応の遅れが目立つ。

 同法施行の背景には、障害者への差別を禁じた国際条約が2006年に国連総会で採択されたことがある。日本は07年に条約に署名、14年に批准した。障害の有無にかかわらず平等に暮らせる社会を築くことは、世界の重要なテーマとなっている。

 各自治体が定めた「対応要領」の多くは、差別的な例として▽本人を無視して付添人だけに話し掛ける▽一般住民を対象とした説明会やシンポジウムへの出席を拒む―などを列挙。一方、望ましい対応例として▽申し出があった際はゆっくり丁寧に繰り返し説明し、理解されたことを確認する▽目的地までの案内の際は障害者の歩行速度に合わせる―などを挙げている。

 現実にはさまざまなケースがあり、要領だけでは判断できないこともあるだろう。だが、要領がなければ職員によって対応にばらつきが出ることが懸念される。まずは共有すべき考え方や行動の基本となる要領を策定して職員間で理解を深め、その上で、障害者が暮らしやすい社会の構築へ知恵を出し合うことが大切だ。

 差別解消への取り組みで先進的な自治体として知られるのが神奈川県藤沢市だ。要領策定だけでなく、障害者団体の意見を踏まえて障害者のサポートの仕方を示す職員向けの冊子も発行。障害者差別解消法施行を伝えるポスターを電車やバスの車内に掲示するなどして市民への周知を図っている。

 4月にいち早く要領を策定した北秋田市は職員への啓発に力を入れており、実情に照らして要領を適宜改善していきたいとしている。県外の先進事例も参考にしながら実践を重ね、県内自治体のモデルとなるよう期待したい。

 身体障害や知的障害など、障害の態様によってサポート内容は大きく異なる。それぞれの障害者がどんな点に困難を感じているのか、それにどう対応すべきかを確認し合うことが重要だ。自治体のみならず、地域住民一人一人も意識を高めたい。

2016年9月17日     秋田魁新報


〝感動ポルノ〟求める社会って?バリバラ大橋さんが伝えたかったこと

2016年09月18日 03時55分57秒 | 障害者の自立

 障害者の姿をメディアが意図的に感動させようと描くのは「感動ポルノ」では――。8月末に放送されたNHKの番組が、そんな疑問を投げかけました。その出演者のひとりが、難病で車椅子生活を送る大橋グレース愛喜恵さん。熱戦が続いたリオデジャネイロ・パラリンピックの閉幕を前に、大橋さんの真意を考えてみました。(朝日新聞社会部記者・佐藤恵子)

感動させるための道具じゃない

 NHKのEテレが8月28日夜、情報バラエティー「バリバラ」を生放送しました。「検証!〈障害者×感動〉の方程式」と題して、出演者が議論。感動をかき立てる道具として障害者が使われることを「感動ポルノ」と呼びました。

NHKのEテレが放送した「バリバラ」の一場面。大橋グレース愛喜恵さん(左端)も出演した

NHKのEテレが放送した「バリバラ」の一場面。大橋グレース愛喜恵さん(左端)も出演した

出典:朝日新聞

 同じ時間帯に、チャリティー番組「24時間テレビ39『愛は地球を救う』」(日本テレビ系列)がフィナーレを迎えていたこともあり、ネット上で「バリバラが24時間テレビにけんかを売っている」と話題に。

 大橋さんはこう振り返ります。「1年で最も多くの人が障害のことを考える日。その日に、メディアによる障害者の取り上げ方を問題提起したかったんです」

 「障害者のありのままの姿を描き、思いを伝える。その結果、見た人が感動するならいいんです。でも意図的に感動させようと、作り手がやらせや編集を加えたら感動ポルノになります。障害者を商売の道具にして、感動や勇気を誘うようなものです」

「困難」を「前向きに」「乗り越える」姿

 バリバラでは一般的な感動ポルノの例として、大橋さんを主人公にした疑似ドキュメンタリーも紹介しました。

大橋グレース愛喜恵さん

大橋グレース愛喜恵さん

 大橋さんは多発性硬化症という難病で、胸から下はほとんど動かず、両目もほぼ見えません。食べ物をうまく飲み込めない障害もあり、1日3食のうち2食は、腹部に穴を開け、管で栄養剤や医薬品を入れる「胃ろう」です。

 そんな大橋さんを、困難な状況でも周囲の支えで乗り越えて前向きに生きる姿に描くために、本人の本音や事実をそぎ落とす制作過程を例示した疑似ドキュメンタリーでした。

 たとえば、胃ろうが紹介された場面です。スタッフが「大変ですよね」と語りかけると、「意外と食べる手間、作る手間も省けるのでそんなことないです」と大橋さん。でも、その大橋さんの言葉は放送されず――。

車いすバスケットボールのリオデジャネイロ・パラリンピック予選。日本代表チームに多くの観客が声援を送った=2015年10月11日、千葉市、井手さゆり撮影

車いすバスケットボールのリオデジャネイロ・パラリンピック予選。日本代表チームに多くの観客が声援を送った=2015年10月11日、千葉市、井手さゆり撮影

出典: 朝日新聞

 「メディアの障害者の取り上げ方の多くが、感動ポルノ的になるのは、それを社会が求めているからだと思います。健常者の方は障害者を見て、こう思ったことはありませんか。『こんなかわいそうな人がいるんだ』『自分は五体満足で生まれて幸せだな』。そう感じてしまう意識が、感動ポルノを生み出し、社会に差別や壁をもたらしているのでは」

「彼氏とイチャつくし、笑いも取りたい」

 大橋さんはバリバラに生出演する一方で、24時間テレビにも登場しました。パンストを頭からかぶって変な顔をする「パンスト相撲」など、体を張った芸も披露しました。

 「みなさんが抱く障害者像を変えたかったんです。メディアは障害者をがんばる人やかわいそうな人として描くことが多いけど、障害は不幸でも、かわいそうなものでもない。障害者の中にも悪い人もいれば、良い人もいる。恋もするし、お笑い好きもいます。私だってそう。彼氏とイチャイチャするし、笑いも取りたい。健常者と同じです」

東京パラリンピックに向けて、障害者スポーツの魅力を伝えるイベント。会場には車いすバスケの体験ブースも=2016年5月2日午後、東京都中央区、越田省吾撮影

東京パラリンピックに向けて、障害者スポーツの魅力を伝えるイベント。会場には車いすバスケの体験ブースも=2016年5月2日午後、東京都中央区、越田省吾撮影

出典: 朝日新聞

 障害という困難に見舞われながらも、乗り越えて……。そんなトーンで障害者を紹介する記事や番組を挙げながら、大橋さんはこう言います。

 「障害は『困難』ではありません。でも、障害のある子のお母さんが『丈夫な子に産めなくてごめんね』と思うことがありますよね。お母さんは悪くないのに罪悪感を感じてしまう。それは、障害をよしとしない社会があるからでは」

 「伝えるべきは障害を『困難』と捉え、乗り越える姿ではない。障害があってもなくても、誰もが生きていける社会に向けてどうすべきか。その視点を提供することではないでしょうか。そんな風にメディアが伝えていくと、見る側の障害者像も変わっていくんだと思います」

この記事は9月17日朝日新聞夕刊(一部地域18日朝刊)ココハツ面と連動して配信しました


五輪・パラリンピック

2016年09月18日 03時48分36秒 | 障害者の自立

 リオデジャネイロ・パラリンピックの競泳男子100メートル自由形(視覚障害)で、木村敬一が銅メダルに号泣した。レース直後の彼のコメントが耳に残った。「谷川コーチはパラリンピックでタップの経験があまりないので、自分よりも緊張されたと思うと……」と言葉をとぎらせて、おえつを漏らした。

 木村のタッピングは31歳の谷川哲朗コーチが務めた。視覚障害の選手はプールの壁を確認できないため、ターンやゴールの直前にコーチが選手の体を棒でタッチして、壁が近づいたことを伝える。少しでもタイミングがずれるとタイムロスにつながるため、練習から呼吸を合わせる必要がある。選手の入退場もタッピングを担当するコーチが誘導する。

 パラリンピックでは、障害を感じさせない選手のパフォーマンスだけに目がいきがちになる。だが、少し視線を遠くして見ると、さまざまな人たちに支えられていることが分かる。あの金メダル15個の成田真由美さんも補助員の介助でプールに入退水する。スタート台の後ろから補助員に支えられて飛び込む選手も多い。

 リオ大会を見た人から「パラリンピックの選手はすごい」「健常者と変わらない」という声を聞く。確かにそれは事実だが、その一面だけが一人歩きするのは少し怖い。どんなに強い選手も障害を抱えている。周囲の支えがあってこその「すごい」なのだ。選手たちが競技以外でどう支えられているか。そこにも視点を置いて見ると、障がい者への理解がさらに広がる。

 苦い経験がある。都内で視覚障害の選手を取材した。話を聞き終えると彼は立ち上がり、出口に向かった。その直後、テーブルの仕切りに体をぶつけた。私は競技をしている彼の印象が強く、つい介助を忘れていたのだ。あの激しい車いすバスケットボールの選手も、競技場の外に出ると20センチの段差が超えられなかった。

 人の支えは単に選手を補助するだけではなく、心のよりどころにもなる。木村のコメントからそれが伝わってきた。一般社会でも同じだ。私たちのちょっとしたお手伝いが、障がい者の心も解きほぐすのだと思う。それにしても、メダルのかかった重圧と緊張のレースを終えた直後に、コーチの心情を気遣って泣く。銅メダル以上に木村の人間力に感動した。

日刊スポーツ 【五輪・パラリンピック準備委員 首藤正徳】


相模原殺傷検証 犯罪防止の視点足りない

2016年09月18日 03時42分56秒 | 障害者の自立

 相模原市の障害者施設で入居者らが元施設職員の男に次々刺され、19人が死亡した事件で、厚生労働省の検討チームが中間報告をまとめた。

 男は事件前、他人を害する恐れがあるとして措置入院したが、医師の判断で退院後に凶行に及んだ。中間報告は病院と市の対応について「不十分な点が認められた」とし、退院後の男の生活環境について議論が足りず、市も支援を検討しなかったことなどを問題視した。

 措置入院制度の見直しについても「必要不可欠」と結論づけている。もっともな指摘だが、それだけで犯行は防げたか。医療現場と自治体任せで治安を守ることはできない。司法の関与も含め、幅広く再発防止策を検討すべきだ。

 男は事件前、施設襲撃を予告する手紙を衆院議長公邸に届けた。内容を把握した神奈川県警が市に通報し、精神保健指定医の診断を経て措置入院は決定した。

 男は入院時も「障害者を抹殺する」などの言動を繰り返し、大麻の陽性反応も認められた。だが指定医は入院12日後に「他害の恐れはなくなった」と判断し、男は退院した。大麻の陽性反応を含め、警察への連絡はなかった。

 指定医の退院の判断について中間報告は「標準的」と評価した。制度上の医療判断としてはそうなのだろう。

 現実には退院後、男は予告通りの惨劇を実行した。そこに犯罪防止、治安維持の視点はみられない。また医療や福祉の現場にこれを求めるのも無理がある。

  厚労省は、自治体が退院後の支援に関わる制度を作る方針だが、対象者が拒否すれば、警察の介在を抜きに動向を把握することは難しい。司法の関与による何らかの強制力が必要である。

 欧米の多くでは裁判所が犯罪予防的に強制入院を命じることができる「治療処分」が制度化されている。同様の制度は日本でも検討されたが、戦前の治安維持法に規定された予防拘禁と混同する反対論などで立ち消えとなった。

 平成13年には、大阪教育大付属池田小学校で、措置入院を終えた男が児童8人を刺殺する事件があった。この時も「治療処分」導入の議論はあったが、放置されたまま相模原の事件は起きた。

 また凶悪事件が起きるまで何もしないのであれば、政治と立法の不作為であるといえる。

2016.9.17   産経ニュース


野田選手「よくやった」 鳥取の関係者大声援

2016年09月18日 03時29分54秒 | 障害者の自立

 リオデジャネイロ・パラリンピックの陸上男子1500メートル車いすの決勝が日本時間の15日夜に行われ、鳥取市の野田昭和選手(34)=鳥取パラ陸協=が出場し、同市内で中継を見守った関係者が大声援を送った。一時は自己記録を大幅に更新して入賞かと思われたがレース後に失格。関係者は落胆しながらも力走をねぎらった。(12面参照) 同市東町1丁目の県障がい者スポーツ協会には、平井伸治知事や協会職員ら20人以上が集結。12日夜の400メートルでは予選敗退だっただけに、残る1500メートルに期待をつないだ。

 前日に2人が体調不良で欠場し、10人による一発勝負となった決勝。自己ベストでは10人中10位という野田選手は厳しい戦いが予想されたが、自己ベストを10秒以上更新する3分56秒19で7位フィニッシュ。しかし、その後残念ながら失格となった。

 鳥取パラ陸協の山本透会長は「400メートルが決勝に残れず悔しい思いをし、意地があったんでしょう。いいレースだったし、東京につなげてほしい」と健闘をねぎらう一方、「暑さ対策、独自の規則についての周知などサポートはどうだったのか。今後、鳥取パラ陸協としては細かいことにも気を配っていかなければならない」と引き締めた。

 今年からコーチを務める県障がい者スポーツ協会の山下忍指導員はレース後に野田選手とメールでやりとりし、「本当に悔しくて涙が止まりませんと言っていました」。ただ、「あの“自己ベスト”は本人の力。(練習場のコカ・コーラ陸上競技場の)新しいトラックは障害者にはタイヤが食い込んで負担がかかるが、それを避けずに練習を積んだ。よくやったと思う」とたたえた。

   

ライブ中継を見ながら野田選手の力走を応援する関係者=15日夜、鳥取市東町1丁目の県障がい者スポーツ協会

陸上男子1500メートル(車いすT52)決勝で力走する選手たち。右端は野田昭和選手=15日、リオデジャネイロ

2016年9月17日   日本海新聞