情報通信技術(ICT)を活用して、自宅でも仕事ができる「テレワーク」の拠点施設が、田川市本町の後藤寺商店街の空き店舗を改修し、オープンした。子育てや介護中の女性、障害者、高齢者など地域の人材を活用して都市部の仕事を受注し、就労機会の拡大を図るのが狙い。今月と来月、就業希望者向けのセミナーを開催してテレワーカー約30人を登録し、3月にも業務を始める予定だ。
市は昨秋、総務省の「ふるさとテレワーク推進事業」に、全国23カ所の実施自治体の一つとして採択された。拠点施設は「おしごとテラスkatete」。方言の「かてて」(仲間に加えて)と明日への「糧」にちなんで名付けた。
67平方メートルの室内に、パソコンを備えたテレワークセンター(約20平方メートル)、事務所(約17平方メートル)を備える。展示販売などにも利用できる有料スペース(約30平方メートル)も併設。店舗改修やシステム構築費、備品購入費などに同事業の補助金約2400万円を充てた。
運営はIT企業の「コミクリ」(東京)が担当。常駐する社員2人は、「日本ピュアシステム」(大阪)、「地域ICT人材データベース」(東京)と連携し、都市部からの仕事を受注し、テレワーカーの事情に応じた業務の割り振りを行う。
テレワーカーの業務は、企業が指定するジャンルの記事作成、議事録の書き起こし、アンケートの集計、マニュアル制作、ロゴやイラスト考案、商品のチラシや動画作成、ホームページのデザインなど。自宅でもできる内容だが、テレワークセンターでの業務も可能という。
17日のオープニングセレモニーで、二場公人市長は「地方にいても働くことができるこの取り組みを、後藤寺商店街から、田川市内、田川地区にも広げたい。商店街の活性化のためにも大切に育てていく」とあいさつ。コミクリの佐藤弘人社長=同市出身=は「地元に恩返しができてうれしい。あくまで『働く、稼ぐ』を基本に子育てや介護をしている女性、シニアの方などに利用してほしい。他の自治体で行っている経験を生かして多くの仕事を田川に持ってくる」と話した。
テレワーカーは今後、19日と2月14、15日に行われる希望者向けの研修、面接を経て登録される。
田川市の後藤寺商店街空き店舗を改修したテレワークセンター
=2017/01/19付 西日本新聞朝刊=