ゴエモンのつぶやき

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【精神障がい者 雇用義務化】で何が変わる?採用担当がおさえるべきポイントとは

2018年09月07日 22時32分13秒 | 障害者の自立

平成30年(2018年)4月1日より、精神障がいのある方の雇用義務化が始まります厚生労働省発表資料はこちら)。これまでも『障害者の雇用の促進等に関する法律(障害者雇用促進法)』にて、障がい者雇用に関して定められていましたが、今までと何が異なるのでしょうか。また、精神障がい者の方を採用する際に意識すべき点はあるのでしょうか。このタイミングで改めて「精神障がい者採用(精神障害者採用)」について正しく理解しておきましょう。

民間企業は、障がい者を一定の割合で雇用する義務がある

精神保健及び精神障害者福祉に関する法律(精神保健福祉法)』では、“障がい者が地域の一員として共に暮らし、共に働くことは当たり前であり、一般労働者と同様に障がい者も常用労働者となる機会がある”と考えられています。そこで、障害者の雇用と在宅就労の促進を目的に『障害者の雇用の促進等に関する法律(障害者雇用促進法)』にて、常用労働者の数に対する障がい者雇用の割合を設定し、達成義務を課しているのです。

法定雇用率の対象になっていたのは、「身体障がい者と知的障がい者」のみでした(下記図参照)。平成18年(2006年)4月1日『障害者雇用促進法』の改正にあたって、それまで法定雇用率を計算するときに、身体障がい者・知的障がい者に加え精神障がい者の方も対象としてよいことになったのです。しかし、それはあくまでも、精神障がい者を雇っている場合は、身体障がい者・知的障がい者と“みなす”ことで、雇用の数としてカウントしてもよかったのです。

平成30年(2018年)4月以降の「精神障がい者の雇用義務化」で変わること

変更点① 法定雇用率を算出する際、「精神障がいがある方」の人数も考慮対象になる

今回の変更点の1つとして、精神障がい者が雇用義務に含まれることで、法定雇用率の算定基礎に「精神障がい者」を含めて算出できるようになりました。上記で説明した通り、今までは「精神障がい者」はあくまでも「身体障がい者・知的障がい者」とみなしていましたが、これからは障がい者種別に制限がなくなり、精神障がい者を「精神障がい者」としてカウントできるようになったのです。つまり、算出方法は以下のように変更されます。
法定雇用率を算出

変更点② 民間企業の法定雇用率が2.2%へ引き上げられる

障がい者の民間企業および、国・地方公共団体、教育委員会など義務づけられている、障がい者雇用の割合(法定雇用決定率)が変更になります。例えば、平成30年3月時点で、従業員50名以上の民間企業の障がい者雇用率は2.0%でしたが、平成30年4月より2.2%へと引き上げられることになりました。
法定雇用率引き上げ

注意点①:平成33年(2021年)4月までの間に、さらに0.1%引き上げとなる

この際、注意しておきたいことがあります。平成30年4月1日より3年経過までの間に、さらに民間企業の法定雇用率は2.3%となり、0.1%引き上げになります。具体的な引き上げ時期は労働政策審議会において議論がなされ、そこで決定となりますが、引き上げになることは既に決定しています。あくまでも平成30年4月~は経過措置としての期間となっていることに留意する必要があります。

注意点②:対象となる企業も、「従業員数45.5名以上の企業」へと変更になる

さらにもう1つ注意点があります。今まで、該当する事業主の範囲は従業員50人以上でしたが、今回の改定に伴い「従業員45.5名以上(つまり46名以上)」に変更になります。さらに、平成33年4月までには、「従業員43.5名以上(つまり44名以上)」と変更になります。現状、自社の従業員数が該当している企業は意識付けしておくとよいでしょう。

法定雇用率を達成できない場合はどうなる?

法定雇用率を達成できない場合はどうなる?

ロクイチ調査で、障がい者雇用状況を報告する

なお、民間企業は毎年6月1日に、現在の障がい者(身体障がい者・知的障がい者・精神障がい者)の雇用に関する状況を、障がい者雇用状況報告書にまとめ、所在地を管轄するハローワークに提出することが必須となっています(通称:ロクイチ調査)。報告義務のあるのは、法定雇用率の該当となる50名以上の事業主となります(平成30年4月1日からは、45.5名以上の事業主)。なお、その集計結果は厚生労働省により報道発表されます
また、『障害者雇用促進法』78条の3において、従業員数が50名以上の民間企業では、“障害者雇用推進者”を選定するように努めなければならないとされています。あくまでも努力義務でありますが、障がい者の雇用継続を図るために重要な立場となりますので、選出しておきましょう。

雇用率が未達成であり、一定の基準を下回る場合、その事業主に対し、雇い入れ計画の作成および、それに基づく行政の指導が入ります。それにも関わらず障がい者雇用に取り組まなかった場合には、厚生労働省大臣によって企業名が公表されてしまいます。

法定人数を満たしていない場合に徴収される『障害者雇用納付金制度』とは

法定雇用率の対象になっていながら、法定人数に満たしていない場合、『障害者雇用納付金制度』の元で、納付金が徴収されます。現状では、100名以上の民間企業を対象に、障がい者1人あたり50,000円が徴収と定められています(ただし、200名超300名以下の事業主に関しては、平成32年(2020年)3月まで納付金が40,000円への減額が適用されます)。なお、従業員数が100名以下の民間企業は納付金の対象にはなりません。
ここで注意しなければならないのは、雇用納付金制度は決して罰金制度ではありません。納付金を払ったとしても、障がい者雇用義務が免除されるわけではないので、自社の比率に応じた障がい者の雇用を推進していく必要があります。

精神障がいのある方を雇用するときに、企業が意識すべきこと

では今後、精神障がいのある方を採用する場合、企業側はどのようなことに意識するとよいのでしょうか。雇用する際に企業側が準備しておくことがありますので、事前にしっかり押さえておきましょう。
精神障がいのある方を採用するときに、意識すべきこと

「障がいの種類・状態」を正しく理解し、任せたい業務を検討する

精神障がいとは、“精神疾患が生じ、日常生活や社会活動に困難をきたす状態のこと”を指します。統合失調症や気分障がい(うつ)など、精神障がいにはさまざまな症状がありますし、発症にいたる背景もさまざま。正しい知識を有することで、企業も就業者もお互い不安を感じることなく働くことができます。
また同時に「自社ではどんな仕事を任せることができるのか」「どんな環境を用意すればいいのか(通勤のことを考慮し勤務時間を調整する、気が散ってしまうため、集中するためのパーテーションを用意…など)」を整理する必要があります。状態を把握し、配慮した上で配属させることが障がい者採用を成功するポイントになります。

業務において「見える化」「ルール化」を行う

精神障がいがある方の場合、少しでも「不安・分からない」状態に陥ってしまうと、混乱・パニックになってしまうケースがあるようです。そこで「担当してもらう業務をルール化し、見える化」を行い、困ったときでも一目で理解できる状態をつくっておく必要があります。そのため、雇用主側で以下を用意・整備しておくことが大事です。

<事前に準備しておくこと>
 ・フローに沿ってできるように、作業を分解する
 ・図やイラスト、写真を用いた、マニュアル作成
 ・分解した作業毎に役割を決める(作業分担する)
 ・To Doやタスク、進行状況など、すべて可視化する
 ・作業に入る前に必ず、トレーニング・研修を行い、一連の流れを経験させる

ルール化されていると、皆が安心して働くことができ、生産性向上にもつながります。任せたい業務は必ず「見える化」しておくようにしましょう。

支援機関を上手に活用する

企業で働くと、業務や人間関係、自身のキャリアといった悩みを抱えることも出てくることは当然です。それは、障がいがある方も同様です。しかしながら、企業だけで解決しなければならない…ということはありません。産業医や主治医・支援機関を含む福祉機関、障害者就労支援センターなど、第三者機関と連携しておくことが必要です。専門的な知見による支援は必ず重要になります。障がいある方の相談内容に応えられる状態にできるようにしておきましょう。

パーソルチャレンジ株式会社(旧社名:株式会社フロンティアチャレンジ)では、「障がい者雇用を成功させる。」をミッションに、障がい者雇用の成功に向け、人材紹介や採用代行、定着支援など、さまざまなコンサルテーションを行っております。興味ある方は是非お問い合わせください。
企業のお問い合わせはこちら

【まとめ】

今回改めて、障害ある方の雇用範囲が広がりました。しかし、注意しなければならないのは、「単に数あわせの雇用はしてはいけない」ということです。障がいを持つ人も「社会とつながりたい」「社会で働きたい」という想いを持っている方は多く、そんな彼らのスキルや力を存分に発揮できる仕事は必ずあります。何よりも大事なのは、障がいある人の実情を把握し、それに適した社内環境を整備することです。上記でもでてきましたが、以下ポイントを正しく理解し、障がい者採用に向き合う必要があるでしょう。

1.障がいの内容を把握し、自社で障がい者に合う仕事は何かを考える
2.障がい者を雇用する場合、現状の会社においての問題点を考える(環境整備、教育体制など)

雇い入れた後のことも想定し、事前に体制を整えておくことが求められます。国や民間が行っている「障がい者採用支援サービス」を上手に取り入れながら、適切な雇用を行うようにしましょう。

2018.03.14        ダイレクト・ソーシング


障害者雇用の現状と障害者雇用率を上げるために必要なこと

2018年09月07日 22時06分35秒 | 障害者の自立

障害者雇用促進法による障害者雇用率制度とは

企業には、2018年8月現在で全従業員の2.2%以上の障害者を雇用する義務があります。それが、障害者雇用促進法です。数字に換算すると45.5人に1人の障害者を雇用しなければならなりません。そして、この法律にはペナルティも存在します。障害者の雇用人数が足りないと「障害者雇用納付金」が徴収されます。金額は1か月1人当たり5万円です。逆に雇用義務以上の人数を雇った場合、障害者の法定雇用率未達成の企業から徴収した納付金を財源に、1か月1人当たり2万7千円の「障害者雇用調整金」や「報奨金」と呼ばれる、ボーナスのようなシステムが存在します。それで成り立っているのが、障害者雇用率制度です。

この納付金や調整金の金額は多い?少ない?

この納付金を払わなくていいようにと障害者の雇用を後押ししている制度ですが、よく考えると1か月1人当たり5万円。年額60万円です。さらに、障害者雇用の超過1人1か月当たり約2万7千円がもらえる制度です。しかし、年額60万円を払えば、面倒くさい人?を雇わなくても済んでしまうと逆に考えられます。たくさん雇用しても、年額32万4千円くらいにしかならない。つまり、手間と配慮等を必要とする、ある意味面倒くさい雇用?をするのかとふと頭に浮かびます。よく考えてみると、1人余分に雇おうとすると、月給15万円でも、年額180万円の給料を支払わなければならない。そこで、天秤にかけて、雇わなくて納付金60万円もしくは雇って給料180万円以上のコストが発生するとしたら、雇わない方が年額120万円くらいの支出が減る計算になります。つまり、この制度自体のインパクトが薄いと私は考えます。

障害者雇用率を上げるためには思い切った改革が必要

ブラック企業だと、年額180万円以上の支払い(障害者雇用の制度に従って雇用し給料を支払う)と、年額60万円の支払い(障害者を雇わないで納付金を納める)だと後者を選択するのではないでしょうか?私が社長でも、残念ながらおそらくそうするだろうと思います。でも、そういうシステムだと、全く意味が無いような気がします(厳密に言いますと、余りに障害者を雇わない企業はさらに企業名公開という2つ目のペナルティが存在しますが、)。私が、もしこの法律を改正出来る権限があれば、1人雇って給料を払うより高い金額を納付金に設定して、「障害者を雇う方が得だから、絶対に雇おう」と思うようなシステムに改正する必要があるのではないでしょうか。例えば障害者雇用納付金を仮に3倍以上の年額200万円に設定したら、この制度自体が、本当の意味で機能するようになり、良いシステムになるのではと思います。さらに、超過の時にもらえる金額も財源が増えるので、単純計算で年額100万円以上払えるようになるので、さらなる活性化につながるのではないでしょうか?障害者の社会進出で法定雇用率ばかりに目が行きがちですが、実際は障害者雇用に消極的な企業も障害者雇用に参加してもらえる様にという、別の見方もあるのではないでしょうか?

参考資料
【精神障がい者 雇用義務化】で何が変わる?採用担当がおさえるべきポイントとは
https://www.dodadsj.com/content/180314_mentallydisabled/

ライタープロフィール
 
くまぴー

30代後半のアラフォー。診断名は発達障害(アスペルガー症候群)。最近始めた事は、悪い事でもいい事に変換して、ストレス値を上げない様にコントロールする事。例えば、”安い昼ご飯しか食べれない”を”何だかんだ言っても、食べるものはある。何も食べ物が無い訳ではない”と。

障害者ドットコム            2018.9.5


「24時間テレビ」を批判するだけで、何もしない人の摩訶不思議!

2018年09月07日 21時30分19秒 | 障害者の自立

「24時間テレビ」を批判するだけで、何もしない人の摩訶不思議!

作家の百田尚樹氏さんが「24時間テレビ」を批判して話題となっていますが、障害者支援活動に携わる筆者は、多くの募金や視聴率を得られる同番組の意義を説きます。

 作家の百田尚樹氏が「24時間テレビ」を批判した記事が、話題になっているようです。「24時間テレビ」は放送のたびに賛否両論が湧き起こるのが恒例となっています。筆者も障害者支援活動を行う者として、「24時間テレビ」に関する記事を投稿してみたいと思います。

 参加者のギャラにまつわる論点について

「24時間テレビ」について、「参加者にギャラを支払うことはおかしい」と言われる方がいます。しかし、1回の放送で億単位の募金を集めて高い視聴率を取る「24時間テレビ」の存在は貴重です。障害者支援という大義があるため、スポンサーもつきやすくなります。番組終了後には、賛否を含めて話題になるため、啓蒙や教育的効果も期待できます。

 米国の「Labor Day Telethon」(1966~2014年)は「労働者の日(Labor Day Telethon)」に合わせて開催されていたチャリティー番組です。米国筋ジストロフィー協会が活動を広く理解してもらうために、俳優のジェリー・ルイスさんが発起人総合司会として開催するようになったのがきっかけでした。

 2011年、ジェリー・ルイスさんが高齢を理由に司会を退きましたが、2010年まで「労働者の日」の前日夜から当日夜にかけてのおおむね20時間以上にわたり、ラスベガスで開催されていました。著名人がギャラなしのボランティアとして出演し、コンサートやショーを開催しました。チャリティーキャンペーン番組として、「24時間テレビ」の元になった番組としても知られています。

 では、日本で「Labor Day Telethon」のようなチャリティーが開催できたでしょうか。「24時間テレビ」が開始された1978年当時は、まだ、障害者差別が色濃く残っていた時代です。人権や生存権が損なわれるような偏見によって、障害を理由とした社会参加も制限されていました。そのような時代に理念優先のチャリティー番組を企画しても、受け入れられることは困難だったと思われます。

 英国に本部がある国際救護団体「Charities Aid Foundation(CAF)」によると、2012年に、世界146カ国の15.5万人を対象に寄付やボランティアに関する調査を行った結果、個人の寄付活動について活発な国の順位は以下の通りでした。

1位・オーストラリア
2位・アイルランド
3位・カナダ
4位・ニュージーランド
5位・米国
85位・日本

 また、ニッセイ基礎研究所の調査によると、米国の寄付の特徴として個人寄付の割合が70%以上と高く、個人としての寄付が浸透しています。1人あたりの年間寄付額を算出すると、米国の6万2237円に対して日本が5431円と約11倍の開きがあります。

 芸能人が参加する効果を考えてみましょう。芸能人は、ファンや支援者が多いためメディアへの影響力が強く、多額の募金が集まりやすいというメリットがあります。「障害者に対する扱いがあまりに一面的」という意見もありますが、番組の目的は障害者理解を深めることであり、チャレンジによって啓蒙や教育的効果が期待できるなら否定する理由はありません。

 また、障害者支援活動を特別番組として、長期にわたって放映しているのは日本テレビだけです。他局はなぜ二の足を踏むのでしょうか。それは、膨大な手間とコストがかかるからです。

「24時間テレビ」チャリティーパーソナリティーを務めた木村佳乃さん

2018.09.05       オトナンサー


中央省庁の障がい者雇用水増し問題 半数が対象外

2018年09月07日 14時41分59秒 | 障害者の自立

~こんな出鱈目許してはいけない!

 中央省庁が障がい者雇用の対象とならない職員を加えて、障がい者雇用数を水増ししていたことが報道によって明らかになり、厚生労働省が各省庁に実態調査を指示していましたが、その結果が28日公表されました。

 これまで中央省庁全体で約6400人の障がい者を雇用し、法定雇用率2.3%を超える2.49%に上っていると公表されていたものが、調査の結果、半数を超える3460人が対象外の職員であり、雇用率は大きく減少して1.19%と法定雇用率を大幅に下回ることになりました。(平成29年6月1日現在の数)

 今年の4月1日から法定雇用率が0.2%引き上げられ、官公庁の雇用率は2.5%になりましたので、これまでの数ですと、新たな雇用率達成まで2名の雇用が必要でしたが、大幅に減少したことで、法定雇用率を達成するためには3396人の雇用が必要な事態となったのです。

 各省庁が障害者手帳の確認をしなかった、医師の診断書だけで数に入れてしまった等、故意でないということを強調していますが、制度発足当初の42年前から続いている省庁もあり、意図的に水増しをしていた省庁はあると思われます。この点もしっかりと検証する必要があると考えます。

 この事態を受けて政府もさすがに対応しない訳にはいかず、「公務部門における障害者雇用に関する関係閣僚会議」を開催し、その下に「公務部門における障害者雇用に関する関係府省連絡会議」を設置して、今般の事態の検証を第三者も参画した検証チームで検証することとしています。

 併せて、法定雇用率を速やかに達成させる取り組みを計画的に行うことや、国や地方自治体で障がい者の活躍する場をどう拡大していくのかなどを話し合うこととしています。

 中央省庁のみならず、地方自治体でも水増しが行われていたことが明らかになっており、地方公共団体についても国が再点検を命じて調査することになりました。

 恐らく、中央省庁同様に地方自治体でも多くの自治体で同様のごまかしが行われていることでしょう。

 中央省庁が障がい者雇用数の水増しをしていたという報道を見て、民間の模範となり、率先して障がい者の雇用を進める立場の国がこのような姑息なことをしていたと知り、驚きと憤りを感じていたところでしたが、予想以上の半数以上が対象外だったという結果が出て愕然としました。

 民間企業には雇用率が達成出来ない場合、未達成の人数に対して一人当たり月5万円の納付金を課していながら、自分たち国はごまかしていたというのは障がい者を余りにも馬鹿にしているし、ペナルティを課せられている民間企業に示しがつかないと思います。

 だからといって、中央省庁に民間企業同様のペナルティを支払わせても、その原資は税金で私たちのお金で、役人の皆さんは全く腹が痛まないので馬鹿々々しいだけですから、この責任をどう取らせるのか非常に難しいと思います。しかし、誰も責任を取らず、お咎めなしというのでは誰も納得出来ないのではないかと感じています。

 また、未達成となってしまった法定雇用率を達成させようと、慌てて雇用を進めることにも懸念があります。障害の特性を理解せずに雇用してしまったために働き始めた障がい当事者が辛い思いをすることになってしまったり、とにかく雇用数を満たすために何をしてもらうのかも考えずに雇うだけ雇って、何もすることなく職場でぽつんとしてしまうことになったり、職場の同僚が障害に対する理解が乏しく、いじめや嫌がらせが起こってしまったりという事態が起こりかねないからです。

 私はこのような事態になっていることは非常に憤りを感じていますし、許せない思いで一杯ですが、この現状は現状として受け入れ、少し時間がかかっても、どういう仕事が障がい者に合っている仕事なのかの検証をして、働く側に過度なしわ寄せが行かないようにするべきだと考えています。

 また、障害者手帳を取得することが障害者施策を受ける上での前提となっているのが我が国の障害者施策ですが、世界で手帳のようなものがあるのは我が国だけで、他の国々と比較して障害の範囲が非常に限定されています。そもそもの障がい者の範囲の見直しを行うことも必要だと考えています。

 例えば、これを機にこれまでは障がい者雇用の対象になっていない、がん患者や難病患者等も対象に加える検討をしてもらいたいと思っています。

 7年前、米国の障がい者雇用について現地で話を伺った際に聞いた心に残っている言葉は「障がい者を雇用することが負担だと思うなら雇用しない方が良い。障がい者も十分に戦力になるのだという意識で障がい者の雇用をするべきだ。何をしてもらうかタスク分けをすることで障害特性を活かして健常者以上の仕事をするものだ」というものです。

 障がい者は可哀そうだから特別に雇ってあげようとか、義務だからやらせることないけど仕方なく雇おうというのでは、雇う側も雇われる側も不幸です。

 障がい者の特性に応じた仕事を見極めた上で、戦力として障がい者が雇用される日本にしていきたいと考えています。

 そのためにも、発想の転換が必要です。民間にそれを促すべき中央省庁がまず発想の転換をしないとならない事態にですが、日本全体の障がい者が働くということに対する意識変革が起こるきっかけになれば良いなと感じていますし、そうしないといけないと思います。

2018年09月06日       BLOGOS


障害者法定雇用に指定難病患者を

2018年09月07日 14時29分27秒 | 障害者の自立

 中央省庁による障害者雇用数水増しの実態が発覚しました。実に国の機関の8割が不正計上していて、合計3460人も水増ししていたといいます。そのレベルも、2~3割じゃありません。中央省庁は、ほぼ「2倍増し」のレベルだったのです。もはや、何といって良いのかわかりません。

 地方自治体や、法の番人のはずの裁判所でも、次々に水増しが発覚しました。こんな行政、司法に支配される民間事業所は、どのような目にあっているのでしょうか。

 民間事業者は「障害者の雇用の促進等に関する法律」を根拠として、労働者の一定割合について、障害者を雇用するよう義務づけられています。この一定割合のことを「法定雇用率」といいます。現在の法定雇用率は2・2%です。従業員1千人の企業の場合、22人の障害者雇用が必要となるわけです。そして、法定雇用率が達成できなかった事業所には、「納付金」という名称で未達1人につき月5万円が徴収されます。

 月5万円といえば、仮に中央省庁の水増し人数3460人分だと、年間20億7600万円を納付しなければなりません。しかも中央省庁の中には、40年以上に渡って不正報告をしていた例もあるそうです。民間企業なら、納付金は倒産しておかしくないレベルになったでしょう。

 企業で働く方はお分かりのように、民間事業所にはさまざな業種、職種があります。施設の場所や、機械など物理的な問題で、障害者雇用が極めて困難な事業所もあります。

 それでも企業は、法定雇用率を念頭に、障害者が働きやすい職種を生み出したり、設備を改善するなどして、受け入れているのです。中央省庁の水増しには、ふつふつと怒りが沸きます。

 民間企業にも、課題はあります。

 障害者の法定雇用は、障害があっても問題なくこなせる仕事や、少し工夫すれば対応できる仕事に就いてもらい、障害者の能力を活用するのが本来の趣旨のはずです。

 一部の大企業などは、法定雇用率達成を主目的として、特例子会社でまとめて障害者を採用しています。障害者のキャリアプランを度外視した数合わせの雇用で、決して健全とは言えません。

 また、中小企業を中心に法定雇用率を達成できていない企業も多く、全体では未達は半数に上ります。

 理由は何でしょうか。

 厚生労働省の調査では、国内の身体、知的、精神障害者は計936万人です。総人口の7・4%を占めます。

 一方、障害者手帳所持者は計593万人とされています。法定雇用は、手帳を所持する障害者の雇用を求めています。

 65歳未満でみると、人口(9155万人)に占める手帳所持者の割合は、2・5%です。この中には、入院している人や、就労不能と診断されている人も少なくありません。そもそも就職を希望しない障害者も存在します。

 こう考えると、法定雇用率2・2%という数字が、大きすぎるのではないかという疑念が生じるわけです。

 雇う側だけの問題ではなく、就職希望者の絶対数が不足しているのだと考えられます。また、障害者側にも、名のある大企業への就職を望む傾向があるそうです。

 ここでも人手不足の中小企業と、ミスマッチが起きています。

 そこで、法定雇用率の対象を、「手帳所持者」に限定しないという考えがあっても良いでしょう。真っ先に対象に入れるべきは、難病患者です。

 難病というと、「とても恐ろしい病気」のようなイメージを持っている方も多いでしょう。難病は、指定難病だけで300種以上あり、一言で言い表すことが困難です。簡単にまとめれば、「症例が少なく、治療方法が確立していない疾患」です。決して働けないということでは、ありません。

 指定難病者数は、約99万人です(厚生労働省衛生行政報告例平成28年)。難病者でも、その症状等に応じて障害者手帳が交付されるケースとされないケースがあります。

 省庁の水増しは言語道断ですが、非難だけではなく、障害者雇用を建設的に考えていきたいものです。事業所に過度の負担をかけないように、法定雇用率の水準や対象を、社会の実態に照らして、改正すべきです。

【プロフィル】安藤政明

 あんどう・まさあき 昭和42年、鹿児島市生まれ。熊本県立済々黌高、西南学院大、中央大卒。平成10年に安藤社会保険労務士事務所開設。武道と神社参拝、そして日本を愛する労働法専門家として経営側の立場で雇用問題に取り組んできた。労働判例研究会、リスク法務実務研究会主宰。社労士会労働紛争解決センターあっせん委員。警固神社清掃奉仕団団長。

2018.9.6      産経ニュース