島根県内の観光振興に功績があった団体に贈られる、松江ツーリズム研究会観光大賞に松江市のNPO法人「プロジェクトゆうあい」が選ばれた。障害者や高齢者から観光の相談に応じる「松江/山陰バリアフリーツアーセンター」(同市雑賀町)の運営に加え、山陰両県のバリアフリー情報を発信してきたことが高い評価を受けた。
同賞は今年初めて贈られた。松江城や小泉八雲記念館など松江市内の観光施設の運営を、今年3月まで12年間担ってきたNPO法人「松江ツーリズム研究会」が設立した財団法人が創設した。
表彰式が26日にあり、プロジェクトゆうあいの田中隆一代表理事らに表彰状と副賞の賞金100万円が贈られた。田中代表理事は「賞金はタンデム(2人乗り)自転車を島根県視覚障害者福祉協会に寄付する費用などに充てたい。ただ寄付するのではなく、視覚障害者の方に宍道湖畔でツーリングを楽しんでもらう試みも始めたい」と話した。
プロジェクトゆうあいは2004年に「バリアフリーのまちづくり」を目指して設立され、09年にツアーセンターを開設。センター長の川瀬篤志さんによると、入浴を介助したり視覚障害者を手引きしたりする人を手配するなど、障害者や車いす利用の高齢者からの観光に関する相談に応じている。相談件数は09年度の約50件から倍の年間100件前後に増えたという。
山陰各地の観光地や移動手段、バリアフリーのトイレなどを紹介する無料の情報誌「てくてく日和山陰」も13年から年4回発行し、ウェブサイト「てくてく山陰」(http://tekuteku-sanin.com/)でも掲載内容を紹介。情報誌の取材や編集は障害のあるメンバーが多く関わっている。
川瀬さんは「障害があっても旅を楽しんでいる人は多い。賞を贈って良かったと言われるような活動を続けていきたい」と話した。
第1回松江ツーリズム研究会観光大賞の表彰式の後、記念撮影するNPO法人プロジェクトゆうあいのメンバーら
2018年9月28日 朝日新聞社