障害者らの強制的な不妊手術を認めていた旧優生保護法が改正される10年前の1986年、旧厚生省の専門官が強制手術の人道的な問題などを理由に法改正を検討していたことを示す内部文書を、厚生労働省が公開した。88年には学識者らの研究班が人権侵害を指摘する報告書をまとめていたことが既に判明しているが、それ以前に省内の一部では強制手術が問題視されていた経緯が浮かぶ。
案では同法改正に向けた5カ年計画の手順と予算額が示され、強制手術について外部から指摘されている問題点として「人道的にも問題があるのでは?」と記載していた。
5カ年計画のその後の進展は不明だが、翌年度には厚生省研究班が作られて88年3月に「強制手術は人権侵害が著しい」と指摘する報告書が提出された。これを受けて開かれたとみられる同年9月の省内の勉強会資料も公表され、法改正の「試論」として規定の削除を冒頭に挙げていた。
だが、作業は進まず、法改正は議員立法による8年後にずれ込んだ。国の統計では、86年以降に18人が強制手術を受けたとされる。
当時を知る同省関係者は「優生保護法の議論の中心だった妊娠中絶を巡って女性団体や国会議員が激しく対立し、改正できなかった。強制手術の削除を先にやろうという声はなかった」と話す。
調査を担当した厚労省母子保健課は「資料が作られた経緯は分からない」としている。
公開資料は同省のサイト(https://www.mhlw.go.jp/stf/newpage_01166.html)で読める。
毎日新聞 2018年9月8日