車いす利用者など障害者が「はきやすく積極的に外出できる」をコンセプトにしたジーンズの試作品が完成し、22日、寒河江市の最上川寒河江緑地「グリバーさがえ」で始まったパラスポーツカーニバルでお披露目された。山形バリアフリー観光ツアーセンター(南陽市)の加藤健一代表理事が開発に携わった。
ジーンズ開発は今年3月、車いす生活を送る加藤代表理事がセミナー受講などで知り合った丸安毛糸(本社・東京)の岡崎博之社長に「車いすの人も気軽にはけて、格好がいいジーンズを作りたい」と話をしたのがきっかけ。同社と丸和繊維工業(本社・東京)が協力した。
丸和繊維工業の最先端の裁断技術を生かし、使う生地を変えて試作を重ねた。加藤代表理事は車いす利用者の目線で、既存のジーンズから改善すべき点などについて意見を出した。
ジーンズの名前は「フライング・ジーンズ」で、2015年にパラグライダーのタンデム(2人乗り)飛行に成功した加藤代表理事をイメージ。▽ファスナーの前開き部分を深くする▽車いす乗車時にスマートフォンなどを収納しやすいように、膝の上に配置したポケット―など、利用者の使い勝手を追求し随所に工夫を凝らした。また、車いすの床擦れ防止を意識した縫い方や軟らかめの生地を使い、軽量化も実現した。
この日、展示ブースでは来場者の試着も行った。23日も展示する。加藤代表理事は「障害者にとってのストレスがなくなり、おしゃれへのこだわりや出掛けたくなるという前向きな気持ちを引き出すジーンズに仕上がった」と話していた。
フライング・ジーンズは、年内にブランドジーンズとして市販される予定で、収益の一部は同センターの活動資金に役立てられることになっている。
股上が深く、膝上にポケットが付いているフライング・ジーンズ。右は裏返した状態
2018年09月23日 47NEWS