精神・神経疾患に関与する2つの蛋白質であるセプチンとHDAC6が協働するかたちで神経線維の形成を促進していることが明らかになったそうです(QLife Pro)。脳の発達過程の神経線維の伸長には、線維の芯となる細胞骨格の主要なものである微小管の先端に、チューブリンという蛋白質が付加され、成長していくことが必要であることが分かっているそうです。このチューブリンがアセチル化などすると、微小管が安定化するそうですが、一方で安定化しすぎると、分解によってリサイクルされるチューブリンの供給が減少し、微小管の成長も鈍化するということです。そのため成長には、微小管の安定化を適度に解除する脱アセチル化、脱安定化の機構も必要で、この安定化と不安定化の適度なバランスがコントロールされることが、神経線維における効率のよい伸長に欠かせないと考えられていたそうですが、このコントロールのしくみなど、詳細はよく分かっていなかったそうです。今回の研究で、神経細胞の主要な脱アセチル化酵素である微小管修飾酵素の蛋白質「HDAC6」がアセチル化チューブリンに効率よく結合し、脱アセチル化を促すには、もう1つの細胞骨格である「セプチン」が必要であることを発見したそうです。この発見は、脳の回路形成への理解が深まるきっかけとなるだけでなく、セプチンとHDAC6の相互作用、およびその生理的意義が示されたことにより、この両者が関与する精神・神経疾患の謎を解明する糸口となると期待されているそうです。
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