健康を科学する!

豊橋創造大学大学院健康科学研究科生体機能学のつぶやき

自閉症治療に可能性

2014-09-06 08:30:18 | 研究
自閉症の患者には、脳細胞が送受信する際の経路接続部にあたる「シナプス」が過剰に存在するとの研究論文がNeuronに掲載されたそうです(AFPBB NEWS)。死亡時の年齢が2歳から20歳までの献体48体の大脳皮質から採取した組織を分析。献体48体のうち26体は生前に自閉症と診断されており、22体は自閉症ではなかったそうです。分析の結果、小児期早期にはどちらのグループも同様の数のシナプスを持っているが、自閉症ではない19歳の若者はシナプスの数が幼児より約41%減少していたが、19歳の自閉症患者の脳内にはシナプスがはるかに多く残存しており、幼児の脳と比べて約16%程しか劣化した古い細胞を廃棄(刈り込み)されていなかったというのです。シナプスが過剰に存在することにより、脳を通る電気信号が増加するため、てんかんのリスクが高まるそうです。研究では、タンパク質「mTOR」の働きを抑える「ラパマイシン」と呼ばれる薬剤を使用。mTORは自閉症患者で異常に活性化され、脳が本来持っているシナプスの刈り込み(間引き)能力を阻害するそうです。ラパマイシンを投与したマウスでは、他のマウスとの接触を避けるなどの典型的な自閉症的行動の減少がみられたそうです。最新の政府推計によると、米国では68人に1人の子どもが自閉症スペクトラム障害(ASD)と診断されているそうです。神経学者らによると、新生児の脳は成長に伴い大量のシナプスを形成するが、後の幼児期や青年期では、脳のさまざまな部位が大量の信号に圧倒されずに発達できるよう、これらシナプス接続の多くは間引きされるそうなのですが、自閉症の場合にはこの間引きが起こらないというのです。
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