世界人口の5分の1が暮らす南アジア地域では、地球温暖化に歯止めをかけるための対策を何も講じなければその高気温と高湿度がさらに進み、今世紀末までに人が生存できないレベルに達する恐れがあるとする研究結果がScience Advancesに発表されたそうです(AFPBB NEWS)。研究は2つの気候モデルに基づいているそうです。一つは、気候変動を食い止めるための措置をほぼ何も講じない「成り行き(BAU)」シナリオで、もう一つは2015年のパリ協定(Paris Agreement)の下で世界190か国以上が合意した「気温上昇幅を2度未満に抑える」ことを目標とするシナリオ。気温だけでなく「湿球温度」の予測を調査対象としたのは、この種の研究としては今回が初めてだそうです。湿球温度は、気温および湿度とそれに応じた冷却能力を組み合わせたものだそうです。人が生存可能な湿球温度の限界値は35度と考えられているそうです。論文によると、BAUシナリオの下では、今世紀末までに湿球温度が南アジアの大半で生存限界値に近づき、いくつかの地域では限界値を超えると予測されるというもの。南アジアでこの多大な弊害をもたらす湿球温度にさらされる人口の割合は、現在の0%から約30%にまで上昇。特に人口密度が高い農業が盛んな地域では最悪の影響が生じる恐れが。危険な猛暑が早ければ数十年以内にインド、パキスタン、バングラデシュなどの地域を襲い始める可能性があるそうです。一方で、今後数十年にわたって温暖化抑制対策が講じられるシナリオの下では、有害な湿球温度にさらされる人口の割合は現在の0%から2%の増加にとどまると考えられるそうです。このシナリオでも気温は(31度を上回る)危険な水準に達するとみられるそうですが、人間の生存を脅かす限界値にはそれほど近づくことはないと考えられるそうです。
http://www.afpbb.com/articles/-/3137977
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