冠動脈バイパス術は、冠動脈の狭窄部位の遠位側に、新しい道筋を作り、心筋への血流量を増加させる手術です。約1~3mmの細い血管を顕微鏡を見ながら吻合する手術なので、細かい作業となりますが、残念ながら他の血管のように人工血管はいまだ有用なものはないため、自分の血管(自家血管)を使用する必要があります。使用する血管は、静脈よりも動脈が開存率が良く、特に内胸動脈が最も長期的に信頼できる血管といえます。左右の内胸動脈の他に、動脈グラフトとしては橈骨動脈、右胃大網動脈も使用します。特殊な例として、当関連施設では、左胃動脈を使用した冠動脈バイパス術も経験しており、術後の胃潰瘍発生の可能性は高くなりますが、有効な血管といえます。
2000年以後は人工心肺を使用しないで、心拍動下に吻合するオフポンプCABG(CABG=Coronary Artery Bypass Grafting:冠動脈バイパス術)が主流となってきました。特に日本国内においては既に7割のCABGがオフポンプで行われていると学会が集計しています。欧米を含む海外でのオフポンプの実績が3割と言われている現状を考慮すると、日本が冠動脈バイパス術において世界で最も先進国といっていいと思います。横須賀市立うわまち病院心臓血管外科および当院の関連施設(自治医科大学附属さいたま医療センター、横浜市立みなと赤十字病院、練馬光が丘病院、さいたま赤十字病院、春日部中央総合病院等)では、冠動脈バイパス術におけるオフポンプCABGの割合は99%で、基本術式としています。
最近の新しい手術方法として、低侵襲冠動脈バイパス術(MICS-CABG; Minimally Invasive Cardiac Surgery)が今後話題になってくるのではないかと思われます。今までも左開胸での左内胸動脈ー左冠動脈前下行枝(LITA-LAD)をMID-CAB(Minimally Incvasive Direct CABG)と呼び、1枝のCABGには行われてきましたが、更にそれをすすめて複数のバイパス作成を左小開胸で行う方法が確立されつつあります。左開胸で、大伏在静脈を上行大動脈に吻合する、左開胸から両側内胸動脈を剥離して採取、吻合する、上腹部切開で右胃大網動脈を横隔膜越しに右冠動脈領域に吻合する、こうした方法を採用することで、胸骨正中切開をしないでも冠動脈バイパス術が可能となれば、特に腎不全や糖尿病患者等、術後縦隔炎のリスクがある患者様には非常に大きなメリットがあるものと思われます。また左開胸によるオフポンプCABGは心臓の脱転をほとんどする必要が無いため、安定した循環動態での血管吻合が可能であり、低左心機能の症例にも有効と考えられます。横須賀市立うわまち病院心臓血管外科でも左小開胸の複数枝冠動脈バイパス術を行っており、また上腹部正中切開による冠動脈バイパス術(Trans-Abdominal MID-CAB)も行っております。将来的にはロボットの使用によるグラフト採取や血管吻合もコストの問題が解決できれば一般化していく可能性もあります。
2000年以後は人工心肺を使用しないで、心拍動下に吻合するオフポンプCABG(CABG=Coronary Artery Bypass Grafting:冠動脈バイパス術)が主流となってきました。特に日本国内においては既に7割のCABGがオフポンプで行われていると学会が集計しています。欧米を含む海外でのオフポンプの実績が3割と言われている現状を考慮すると、日本が冠動脈バイパス術において世界で最も先進国といっていいと思います。横須賀市立うわまち病院心臓血管外科および当院の関連施設(自治医科大学附属さいたま医療センター、横浜市立みなと赤十字病院、練馬光が丘病院、さいたま赤十字病院、春日部中央総合病院等)では、冠動脈バイパス術におけるオフポンプCABGの割合は99%で、基本術式としています。
最近の新しい手術方法として、低侵襲冠動脈バイパス術(MICS-CABG; Minimally Invasive Cardiac Surgery)が今後話題になってくるのではないかと思われます。今までも左開胸での左内胸動脈ー左冠動脈前下行枝(LITA-LAD)をMID-CAB(Minimally Incvasive Direct CABG)と呼び、1枝のCABGには行われてきましたが、更にそれをすすめて複数のバイパス作成を左小開胸で行う方法が確立されつつあります。左開胸で、大伏在静脈を上行大動脈に吻合する、左開胸から両側内胸動脈を剥離して採取、吻合する、上腹部切開で右胃大網動脈を横隔膜越しに右冠動脈領域に吻合する、こうした方法を採用することで、胸骨正中切開をしないでも冠動脈バイパス術が可能となれば、特に腎不全や糖尿病患者等、術後縦隔炎のリスクがある患者様には非常に大きなメリットがあるものと思われます。また左開胸によるオフポンプCABGは心臓の脱転をほとんどする必要が無いため、安定した循環動態での血管吻合が可能であり、低左心機能の症例にも有効と考えられます。横須賀市立うわまち病院心臓血管外科でも左小開胸の複数枝冠動脈バイパス術を行っており、また上腹部正中切開による冠動脈バイパス術(Trans-Abdominal MID-CAB)も行っております。将来的にはロボットの使用によるグラフト採取や血管吻合もコストの問題が解決できれば一般化していく可能性もあります。