横須賀うわまち病院心臓血管外科

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心房細動からの脳梗塞を予防する①

2018-06-09 11:26:42 | 不整脈
 心房細動は、不整脈の中で最も多く遭遇する不整脈ですが、左心房の中に血栓を形成し、それがはがれおちたものが血流にのって、脳血管に流れると脳塞栓、多臓器に流れた場合もその臓器ごとの塞栓症状を引き起こします。下肢動脈には下肢の急性動脈閉塞、腸管では腸管虚血、いずれも命にかかわる重大でかつ突然前触れなく発症する病気です。
 その意味で、無症状の心房細動でも、血栓形成を抑制して、突然の重病を予防していく必要があります。

① 心房細動そのものを治療する
 弁膜症に関係して心房細動を呈している場合は弁膜症の手術が必要です。弁形成や弁置換術が前提になります。また心不全を呈している場合は、心不全の原因にそった治療が必要になります。
 弁膜症がない、心房細動ではカテーテルアブレーションというカテーテル治療が有効な場合があります。これは心房壁の一部を経カテーテル的に電気的に焼灼したり冷凍凝固する方法です。有効率7割・
 また、メイズ手術といって、開心術として心房をあけて、心房壁の一部を同様に電気的に焼灼したり冷凍凝固することで心房細動を治す治療もあります。こちらも有効率は約7割といわれています。
 心房細動が両側の肺静脈が起源になっていることがあるので、最近は両側の肺静脈を胸腔鏡下に焼灼する肺静脈隔離術を行う施設もまだ少ないですが始まっています。

発作性心房細動の場合は、抗不整脈薬で心房細動が予防できれば、それが一番簡便な方法のひとつです。ベータ遮断薬やいくつかの抗不整脈を内服、または発作時に注射することは古典的な治療ですが、発作性心房細動には一時的に効果が期待できます。心拍同期したカウンターショック(心臓への直流通電)も術後などの発作性心房細動では、洞調律に復帰させるのに時々行われます。

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