横須賀総合医療センター心臓血管外科

お気軽にコメントいただければ、一般の方の質問にも心臓血管外科専門医が答えます。

高齢者の医療費⇒2割?

2020-12-10 05:53:30 | 心臓病の治療
 これだけ医療費が増加し、筆者が学生時代、年間の社会保障費が30兆円と言われていたのが、今はなんと43兆円だとか。これ、誰が負担するんですか?もちろん、利用者が負担しないと国が滅んでしまいます。残念ながら国家予算の4割も医療福祉に回してしまっては、国の発展性がその分、損なわれてしまうのは間違いありません。この失われた20年の間に、日本が他の国に後れをとってきているのは、政策的な面が影響しているのも事実です。医療福祉は残念ながら高齢者にそのほとんどを使っていることを考えると、後ろ向きのお金の使い方と言わざるを得ません。大部分が1割、一部の所得のある人が2割という数字が妥当かどうかはわかりませんが、こうした増額をするか、経済の萎縮をきたす消費税の20%以上への増額をするかどちらかと考えると仕方ありません。たとえ嫌われても必要な政策を実行していくのは政治の責任でもありますが、今後高齢者がさらに増えていくことを考えるとさらに自己負担の増額が必要になることは当然のことです。その分、同時に高額な薬剤や無駄な処方を制限する無駄の抑制も重要です。個人としても、より安価な医療で済むような努力が一人ひとり必要ですが、どうしても日本人の感覚として、「一人の命は地球より重い」といった間違った考えが浸透してしまっていて、常に理想的な医療をしなければならないという姿勢がしみついていて、費用対効果という言葉を忘れがちなのも事実です。国力に合わせた医療提供、というのも現実的であることを、この新型コロナウィルスのパンデミックで他の国の医療体制をみて学ぶ面があります。
 国によっては、新型コロナウィルスが重症化した場合に人工呼吸器は65歳以上には装着しないという国もありますし、一定の年齢になると人工透析は自費で行うという国もあります。
 限られた福祉の資源は、投票権を持っているからという理由で高齢者に多くが向けられていますが、やはり国の発展の為には子供の教育や人口増加の施策に向けたほうがいいと思います。
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急性大動脈解離から救命されたあとの人生

2020-12-10 05:42:20 | 大動脈疾患
 急性大動脈解離の緊急手術を受け、救命された患者さんが、その後の人生を孤児のお世話をすることで社会貢献していることを聞いて、感動しました。

 救ってもらった命を、他の人の為に使う、久しぶりに聞いた美しい話だと思いました。心臓血管外科医としてたくさんの命を救ってきた、と思うことがある反面、その救われた命を他の人に使うといった精神、現在の日本人には無くなってしまった感性かと思っていました。海外ではそうした精神が息づいていて、心臓移植を最初に受けた患者さんがその後の人生を心臓移植の普及に人生をかけた、というような偉大な功績をあげるといった美談を聞いたことがありますが、日本人ではそうした美談、あまりないように思いますが、いかがでしょうか。
 そうした美談、積極的に社会に紹介していく必要があるのではないかと思いました。

 そうした孤児の人数は横須賀市が異常に多いのだそうです。先々月の横須賀市の後方に大々的に大きな写真で特別養子縁組の宣伝をされていましたが、興味のある方は連絡ください、としか記載されておらず、具体的な実情は全くわかりませんでした。日常生活では全く接することがない、そうした子ども達、ドラマや映画の話、としか思っていない人、筆者も含めてほとんどの人だと思いますが、もう少しDisclosureしないと、こうした美談も生まれない社会がますます悪い方向へ行ってしまうのではないでしょうか・・・。
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