横須賀総合医療センター心臓血管外科

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大動脈解離術後の大動脈基部再建術

2020-12-28 17:03:04 | 心臓病の治療
 急性大動脈解離に対して上行大動脈置換術などの緊急手術を実施され、救命された患者さんが、その後、徐々に大動脈基部が拡大して再手術が必要になることがあります。この場合の多くは大動脈基部再建術が必要になります。大動脈基部再建術は左右冠動脈、大動脈弁をそれぞれ再建する必要があり、万が一出血すると止血が難しい点で初回手術でも非常に難易度の高い手術と言えます。増して、大動脈の手術を以前受けての再手術は更に手術リスクが高まります。
 再手術の際の注意点は、大動脈基部の冠動脈の再建です。冠動脈ボタンが通常の大動脈基部再建術のように作成出来て、移植するバルサルバグラフトに直接確実に吻合出来れば大きな問題なく手術を完遂可能ですが、長さがとどかず、人工血管などでInterposeするなどの工夫が必要な場合は、大動脈遮断解除直後の冠血流に問題が生じる可能性があり、この場合は人工心肺から離脱出来なくなる可能性があるからです。
 他に大動脈弁輪に糸かけをする際に工夫が必要になる場合があり、そのノウハウが重要です。

 筆者の経験では大動脈解離術後の大動脈基部再建術は自治医科大学附属さいたま医療センター心臓血管外科の成績は良好です。手術時間はかかり、リスクもありますが、幸い、十分な術前計画のもと、習熟した術者が執刀することによって良好な成績が保たれています。横須賀市立うわまち病院心臓血管外科でも同様の手術を実施しており、関連施設等で同様の手術がある場合も指導に出かけることもあり、2月初旬の同様の手術で都内の病院に指導に行く予定になっています。セカンドオピニオンも受け付けております。
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