横須賀うわまち病院心臓血管外科

お気軽にコメントいただければ、一般の方の質問にも心臓血管外科専門医が答えます。

COVID-19に伴う低酸素血症の原因としての静脈血栓症の可能性

2020-12-14 08:29:08 | 心臓病の治療
 猛威を振るう新型コロナウィルスの病態として、特に重症化の指標として低酸素血症があり、これに対する酸素需要が多くなると重症と判定され、前後区でも現在500人以上の人が集中治療室で管理されています。特に神奈川県では軽症と判断され病院ではなく宿泊施設に滞在中の50代の患者さんが、急に亡くなったとの報道がなされ、衝撃的でした。この患者さん、報道によると、亡くなる当日の経皮的酸素飽和度は90%以下だったそうで、既に呼吸不全としては重症の部類に入っていたと考えられます。
 通常なら呼吸が苦しければ、それに対して自分で助けを呼ぶなりできるところを、突然亡くなって発見されるという状況としては、助けを呼ぶことが出来ないまま亡くなったと考えられます。この病態としてCOVID-19特有の血栓傾向から静脈血栓症を経て肺塞栓に至った可能性が最も考えられるのではないかと思われます。
 通常COVID-19の病態として、肺炎が重症化して酸素需要が発生することが知られていますが、その肺炎の家庭で微小循環内で血栓形成が関与しているとの報告もあり、また下肢などに静脈血栓症も増加するのではないか、との予想から全国的に血管外科学会として今後COVID-19に伴う静脈血栓症の実態調査が行われる予定で、横須賀市立うわまち病院心臓血管外科も参加することにしています。
 現在も増え続けるCOVID-19ですが、一日も早く終息して平和な日常が戻ることを祈ります。
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