はぶて虫のささやき

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(旧:はぶて日記)

映画評1069 ~ レジェンド&バタフライ

2023-01-28 | 映画評
今日は「レジェンド&バタフライ」を見ました。

『HERO』シリーズなどの木村拓哉が戦国・安土桃山時代の武将・織田信長を、『奥様は、取り扱い注意』シリーズなどの綾瀬はるかが正室・濃姫を演じる時代劇。大うつけと呼ばれた若き日の信長が、尾張国と敵対する美濃国の濃姫と政略結婚をし、やがて天下統一を目指す。監督を『るろうに剣心』シリーズなどの大友啓史、脚本を『コンフィデンスマンJP』シリーズなどの古沢良太が担当する。

主演:木村拓哉、綾瀬はるか
共演:宮沢氷魚、市川染五郎、和田正人、高橋努、浜田学、本田大輔、森田想
その他:見上愛、増田修一朗、斎藤工、北大路欣也、本田博太郎、尾美としのり、池内万作、音尾琢真、伊藤英明、中谷美紀など


<ストーリー>
尾張国の織田信長(木村拓哉)は大うつけと呼ばれるほどの変わり者だった。敵対する隣国・美濃国の斎藤道三の娘・濃姫(綾瀬はるか)と政略結婚という形で出会った信長は、彼女と激しくぶつかるが、今川義元との戦で一緒に戦術を練ったことから二人は固い絆で結ばれるようになる。そこから二人は、天下統一に向かって歩みだす。


「戦国時代の三英傑」の一人である織田信長を描いた時代劇なので、ハズれるわけがない!

・・・と言いたいところだけど、残念ながら、これは時代劇ではなくて、ただのラブストーリーでした!?

いちおうは一般的に知られている史実にもとづいて物語は進行するのだけど、信長が一つひとつ「天下布武」に向けて敵を倒していく過程での重要な戦いが、ほとんど描かれていない。

いや、描いてはいるのだけど、合戦シーンがほとんどない。

しかも、あの今川義元を破った「桶狭間の戦い」における奇襲(というか、今ではあれは正攻法での戦いだったという説の方が有力だけど)を考えたのが、信長ではなく実は濃姫だった!?という時点で、ちょっと違和感は目覚め始めていた。

そして、肝心の「桶狭間の戦い」の描写は一切なく、いきなり勝どきを挙げて凱旋するシーンが流れる。

その後も戦った後のシーンしか流れないので、いったい何があったのか見ている人にはさっぱりわからない。

浅井長政との戦いの途中で同盟を結んでいた朝倉義景に裏切られ、命からがら逃げ帰ってきた「金ヶ崎の戦い」のシーンが流れるが、これも「朝倉のヤツ、裏切りおって」とか、信長が木下藤吉郎や明智光秀に向かって言った「殿(しんがり)ご苦労だった」という言葉で、初めてわかることであって、少なくとも歴史にあまり詳しくない人には、何のことだかさっぱりわからないはずだ。

さらに、戦いに勝った後の信長軍が退却するシーンで、字幕に「長篠設楽原」と出てくるので、ここで初めて武田勝頼軍を破った、あの有名な合戦だと、知っている人だけは理解する。

鉄砲を駆使して武田騎馬軍(これも諸説あるが)を凌駕するシーンなど、まったくない。

一方で、先述した「桶狭間の戦い」での信長と濃姫とのやり取りや、何の意見も出てこない軍議のシーンは、意味もなく延々と流される。

20億円もかけて作った映画らしいが、いったいどこにお金をかけているのかわからない。

比叡山延暦寺を焼き討ちにした頃から、鬼になっているはずの信長だが、なぜか濃姫に対しては、グダグダと執着する。

ラブストーリーだから、と割り切ろうとしても、だったらわざわざ信長と濃姫をテーマにしなくてもいいのに、という気もする。

しかも、この二人を描くために、「これはいったい何のシーンなの?」という場面が随所に出てくる。

特に、序盤で信長と濃姫が隠密に京都の下町に出てスリに逢い、追いかけた先の汚い村の中で行われた殺戮シーンは、まったく意味不明だったと言うしかない。

何と濃姫自身が、村人を殺しまくるのである。

何のためのシーンかと思うわけだが、しいて言えば、その後二人が燃え上がる(?)ので、そのためだけのシーンということになる。

あり得ない展開である上に、まったく不要なシーンだったと思う。

そして最後。

あの「本能寺の変」のシーンで、明智光秀軍に攻められた時、観念した信長が寺の奥の部屋に下がり、一舞いした後自害するのか、と思っていたら、床に秘密の通路があることを発見し、一人だけ何とか脱出する。
そして、単身安土城に戻り、病気で寝込んでいた濃姫とともに、濃姫の夢であった「二人で海の向こうの異国に行きたい」という願いを叶えるため、南蛮船に乗り込む。
そこからのシーンは、まるで「タイタニック」である。
見ていて唖然としてしまった。

ここで終わっていたら、評価は間違いなく「D」にしていただろうが、実は信長の妄想(?)であったようで、最後は自害して果てるので、ちょっとほっとした。

もちろん、異国に行ったで終わった方がよかった、と言っている人もいるみたいだけど・・・

ついでに言うと、明智軍に攻められた時、信長はチャンパラをしすぎ。

あれだけ敵軍と対峙していたら、すぐに打ち取られるだろうに、とにかく敵をバッタバッタと斬りまくる。

もしかして、ここもキムタクの見せ場のつもりだろうか。

とにかく、この内容・展開で約3時間の上映時間は長すぎる。

などなど、とにかく歴史好きが時代劇だと思って見てしまうと、がっかりしそうな作品でした。

出演者で言うと・・・

キムタクは、可もなく不可もなしでしょうか。

もともと下手だとは思わないのだけど、「何をやってもキムタク」は、今作でも健在でした。

ただ、個人的に言えば、私がイメージする織田信長に近かったと思います。

一方、濃姫を演じた綾瀬はるかは・・・存在感バツグンでした。

キムタクとのやり取りでも、信長がちょっと優柔不断だという描かれ方をしていることは割り引いたとしても、綾瀬濃姫の方が明らかに貫録がありました。

あと、キムタクを目立たせるためなのか、脇役がショボすぎました。

謀反を起こす明智光秀を演じたのは、若手有望株の宮沢氷魚でしたが、当時光秀は信長よりも年上だったはずですし、しかも実は野心家だったという描かれ方だったので、妙に目がギラギラしていて、かなり違和感があった。

それ以外の信長配下は、木下藤吉郎も柴田勝家も池田恒興も、み~んな「こいつ、誰やねん」というヤツばかりで、映画全体の質が下がったような気さえしました。

さらに、後に天下を取る徳川家康を演じていたのが斎藤工・・・らしいのですが、特殊メイクをしていたせいか、どこをどう見ても斎藤工には見えず、だったらどうして斎藤工を使ったんだ?というくらい、存在感ゼロでした。

むしろ、ちょっとだけ顔を出していた斎藤道三役の北大路欣也の方が、存在感がありました。

キムタクを際立たせるためなら、もう少し脇を固めた方がよかったような気がしました。

ということで、いろいろとイチャモンはつけましたし、最後の最後で「えっ、ハッピーエンドにするつもりか?」と思うようなシーンもありましたが、綾瀬はるかの存在感に敬意を表して、評価は「C」に留めておきます。


ところで、これだけ役者をケチってる上に、大人数での合戦シーンもないのに、いったい20億円って、どこに金がかかっているんでしょうね。

もしかして、大半が宣伝費?


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