今回は「悪魔が来りて笛を吹く(CS)」です。
元子爵、椿家の乱れた人間関係によって生まれた兄妹の起こす連続殺人事件を解決する金田一耕肋の活躍を描く。角川春樹事務所の企画で復活した金田一耕助は東宝で石坂浩二の主演で四本製作されたが、今回は、同じ角川春樹事務所の企画だが、西田敏行の主演で東映で製作された。脚本は「柳生一族の陰謀」の野上龍雄、監督はにっかつで「女の意地」を監督した後「太陽にほえろ!」「青春ド真中!」などのテレビ・シリーズを手がけている斎藤光正
主演:西田敏行
共演:夏八木勲、仲谷昇、鰐淵晴子、斉藤とも子、石濱朗、村松英子、小沢栄太郎、池波志乃、原知佐子、山本麟一、宮内淳、二木てるみ、梅宮辰夫、浜木綿子、北林早苗、中村玉緒、藤巻潤など
<ストーリー>
銀座の有名宝石店で、毒物を使った殺人事件が起きる。 容疑者に目された旧華族の椿 英輔は、「これ以上の屈辱に耐えられない」と自殺を遂げる。 その無実を信じる娘の美禰子から依頼を受けた金田一耕助は、椿邸で行われた奇妙な占いに立ち会うが、その夜、館に居候していた元伯爵が殺害される。
1979年の作品で、実は一度1954年にも製作されているので、いちおうリメイク版ということになるらしい。
タイトルは聞いたことがあったが、実は見た覚えがなかったので、今回見ることにしたわけだ。
ただ、見終わった後の感想は・・・
「何じゃ?これは!」だった。
とにかくわけがわからない。
巧妙なトリックとかが出てくるわけでもなく、複雑な人間関係が繰り広げる愛憎劇ではなく、単なる淫らな人間関係が招いた結果、というだけなのだが、何か事件が起こるたびに、いろいろと想像を巡らせてみたのだけど、実はそれらがまったく関係がなかった、というトンデモない内容になっているからだ。
と言っても、原作が悪いのではなく、これを映画化した時の脚本がムチャクチャだったというのがすべてのようだ。
原作は読んでいないので、後で知ったことなのだが、タイトルにもある「悪魔が来りて笛を吹く」というのは、曲のタイトルであり、2本指が欠けた男(これが実は犯人)でも弾けるように作ったフルートの曲なんだそうだ。
この曲が、事件が起こる時にどこからか聞こえてくるのだけど、その事前の説明が一切ないので、何のために流れているのかまったくわからず、見終わった後(最後に犯人はこの曲を演奏しながら自殺する)も、何がなんだかよくわからない。
これも後でわかったことだが、後述する宝石店での殺人事件の犯人にされた椿子爵は、もともとフルート奏者で、弟子である犯人(指が2本欠けている)でも弾けるような曲を作ったのがこの「悪魔が来りて笛を吹く」である。
つまり、犯人を暗示する曲になっているのだけど、そんな説明がないので、見ている方もわかるはずがない。
となると、事件の現場に流れてくるこの曲は、いったい誰が仕掛けたのか、という疑問がわく。
なぜなら、犯人が自分を示唆する曲をわざわざ流すようなことをするはずがないからだ。
これに対する回答も、劇中には一切ない。
また、冒頭で宝石店での殺人事件のシーンが出てくるが、結局この事件がどう関係してくるのかも解明されず、中盤以降はこの事件のことさえ忘れてしまうほどだった。
実は、宝石店での事件の犯人は、椿子爵とそっくりの男だった、ということなんだけど、それと椿邸での惨劇とはたいして結びつかない。
さらに、金田一耕助が犯人を推理した決め手となったのが、犯人たちの背中にある痣(これが「悪魔の喪章」の意味)なんだけど、この痣を持つ別の人物については描かれているが、肝心の犯人たちの痣については一切触れられることなく、しかも金田一が等々力警部に「犯人は誰なんですか」と聞かれても答えないので、最後の最後に「実は同じ痣がありました」という描写があっても、「何じゃ?それは」としか思わない。
そもそも、原作では犯人が数々の殺人事件を起こしたのも(宝石店のものは犯人は別)、恋人であり、実は腹違いの妹であった女性が自殺してしまったから、その復讐のためだったのだけど、本作ではその女性は生きていて、今もなお愛し合っているのだから、あそこまでの犯行を起こす理由としてはちょっと弱い。
とにかく、単に重要な部分を省略しただけでなく、原作を変に「改変」しているので、原作を読んだ人どころか、読んでいない人にはゼッタイにわからない展開になっているのである。
しかも、登場人物だけは大勢出てくるものの、それぞれがどういう人物なのかもよくわからず、誰が殺されたのかということも唐突に出てくるので、動機や前後関係も含めて、見ていてさっぱりわからない。
通常であれば、出演する俳優さんの名前を見れば、だいたい犯人はわかるのだけど、今回に限っては、まったく予想もしない人たちが犯人だった。
ということで、いろんな意味でかなりヒドい出来だったので、評価は「D」にします。
それにしても・・・
西田敏行が演じる金田一耕助もまったくハマっていなかった。
見ていて「誰かに似ているなあ」と思いながら見ていたけど・・・
それはジョニー大倉でした!?
それくらい西田敏行らしくありませんでした。
元子爵、椿家の乱れた人間関係によって生まれた兄妹の起こす連続殺人事件を解決する金田一耕肋の活躍を描く。角川春樹事務所の企画で復活した金田一耕助は東宝で石坂浩二の主演で四本製作されたが、今回は、同じ角川春樹事務所の企画だが、西田敏行の主演で東映で製作された。脚本は「柳生一族の陰謀」の野上龍雄、監督はにっかつで「女の意地」を監督した後「太陽にほえろ!」「青春ド真中!」などのテレビ・シリーズを手がけている斎藤光正
主演:西田敏行
共演:夏八木勲、仲谷昇、鰐淵晴子、斉藤とも子、石濱朗、村松英子、小沢栄太郎、池波志乃、原知佐子、山本麟一、宮内淳、二木てるみ、梅宮辰夫、浜木綿子、北林早苗、中村玉緒、藤巻潤など
<ストーリー>
銀座の有名宝石店で、毒物を使った殺人事件が起きる。 容疑者に目された旧華族の椿 英輔は、「これ以上の屈辱に耐えられない」と自殺を遂げる。 その無実を信じる娘の美禰子から依頼を受けた金田一耕助は、椿邸で行われた奇妙な占いに立ち会うが、その夜、館に居候していた元伯爵が殺害される。
1979年の作品で、実は一度1954年にも製作されているので、いちおうリメイク版ということになるらしい。
タイトルは聞いたことがあったが、実は見た覚えがなかったので、今回見ることにしたわけだ。
ただ、見終わった後の感想は・・・
「何じゃ?これは!」だった。
とにかくわけがわからない。
巧妙なトリックとかが出てくるわけでもなく、複雑な人間関係が繰り広げる愛憎劇ではなく、単なる淫らな人間関係が招いた結果、というだけなのだが、何か事件が起こるたびに、いろいろと想像を巡らせてみたのだけど、実はそれらがまったく関係がなかった、というトンデモない内容になっているからだ。
と言っても、原作が悪いのではなく、これを映画化した時の脚本がムチャクチャだったというのがすべてのようだ。
原作は読んでいないので、後で知ったことなのだが、タイトルにもある「悪魔が来りて笛を吹く」というのは、曲のタイトルであり、2本指が欠けた男(これが実は犯人)でも弾けるように作ったフルートの曲なんだそうだ。
この曲が、事件が起こる時にどこからか聞こえてくるのだけど、その事前の説明が一切ないので、何のために流れているのかまったくわからず、見終わった後(最後に犯人はこの曲を演奏しながら自殺する)も、何がなんだかよくわからない。
これも後でわかったことだが、後述する宝石店での殺人事件の犯人にされた椿子爵は、もともとフルート奏者で、弟子である犯人(指が2本欠けている)でも弾けるような曲を作ったのがこの「悪魔が来りて笛を吹く」である。
つまり、犯人を暗示する曲になっているのだけど、そんな説明がないので、見ている方もわかるはずがない。
となると、事件の現場に流れてくるこの曲は、いったい誰が仕掛けたのか、という疑問がわく。
なぜなら、犯人が自分を示唆する曲をわざわざ流すようなことをするはずがないからだ。
これに対する回答も、劇中には一切ない。
また、冒頭で宝石店での殺人事件のシーンが出てくるが、結局この事件がどう関係してくるのかも解明されず、中盤以降はこの事件のことさえ忘れてしまうほどだった。
実は、宝石店での事件の犯人は、椿子爵とそっくりの男だった、ということなんだけど、それと椿邸での惨劇とはたいして結びつかない。
さらに、金田一耕助が犯人を推理した決め手となったのが、犯人たちの背中にある痣(これが「悪魔の喪章」の意味)なんだけど、この痣を持つ別の人物については描かれているが、肝心の犯人たちの痣については一切触れられることなく、しかも金田一が等々力警部に「犯人は誰なんですか」と聞かれても答えないので、最後の最後に「実は同じ痣がありました」という描写があっても、「何じゃ?それは」としか思わない。
そもそも、原作では犯人が数々の殺人事件を起こしたのも(宝石店のものは犯人は別)、恋人であり、実は腹違いの妹であった女性が自殺してしまったから、その復讐のためだったのだけど、本作ではその女性は生きていて、今もなお愛し合っているのだから、あそこまでの犯行を起こす理由としてはちょっと弱い。
とにかく、単に重要な部分を省略しただけでなく、原作を変に「改変」しているので、原作を読んだ人どころか、読んでいない人にはゼッタイにわからない展開になっているのである。
しかも、登場人物だけは大勢出てくるものの、それぞれがどういう人物なのかもよくわからず、誰が殺されたのかということも唐突に出てくるので、動機や前後関係も含めて、見ていてさっぱりわからない。
通常であれば、出演する俳優さんの名前を見れば、だいたい犯人はわかるのだけど、今回に限っては、まったく予想もしない人たちが犯人だった。
ということで、いろんな意味でかなりヒドい出来だったので、評価は「D」にします。
それにしても・・・
西田敏行が演じる金田一耕助もまったくハマっていなかった。
見ていて「誰かに似ているなあ」と思いながら見ていたけど・・・
それはジョニー大倉でした!?
それくらい西田敏行らしくありませんでした。
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