今回は「リズム・セクション(CS)」です。
「シンプル・フェイバー」のブレイク・ライブリー&「シャーロック・ホームズ」シリーズのジュード・ロウ共演によるリベンジアクション。マーク・バーネルの小説「堕天使の報復」を原作者自らの脚本で映画化し、「孤独なふりした世界で」のリード・モラーノ監督がメガホンをとった。
主演:ブレイク・ライブリー
共演:ジュード・ロウ、スターリング・K・ブラウン、マックス・カセラ、ダニエル・メイズなど
<ストーリー>
3年前に飛行機事故で家族を失ったステファニーは、生きる気力を失い自堕落な生活を送っていた。そんなある日、飛行機事故が何者かによって仕組まれたものだと知った彼女は、復讐を果たすべく真相を探り始める。やがて謎の男に拉致されたステファニーはその男のもとで過酷な戦闘訓練を積み、激しい戦いに身を投じていく。
2020年の作品である。
さて、序盤から最後までず~っと感じていたことは「何て荒唐無稽なんだ」ということ。
荒唐無稽だけど面白い、という映画ももちろんある。
しかし、この作品について言えば、ただただ荒唐無稽なだけである。
何が荒唐無稽かって、とにかくこの主人公を含むすべての登場人物の行動が意味不明だ。
まず冒頭で、飛行機事故により家族を失ったために、生きる気力をなくして売春婦に成り下がっていた主人公・ステファニーの元に、あるジャーナリストがやってきて、「あれは事故ではない。テロだった」と告げる。
さらに、家族の命を奪ったテロリストの名前はわかっているが、泳がせるために逮捕もされていない、ということも教える。
というか、このジャーナリストもこんな情報を何だって遺族である女性に伝えたの?
それを聞いた彼女は、あろうことか本人の通う大学に直接行って、しかも食堂で食事をしている本人の近くまでいって、犯人をじ~っと見つめる。
何なんだ、このアホ丸出しの行動は。
もちろん、衝動的に犯人を殺そうとした、という描写なんだろうけど、軽率にもほどがある。
そのせいで、何かおかしいと察したテロリストは、彼女の持ち物からそのジャーナリストを探し出し、殺害するのだけど、それを知った主人公は、そこで怖気づくのかと思いきや、次にジャーナリストに情報を提供したと思われる人物を探しにいく。
いきなりの行動である。
そして、その人物(ジュード・ロウ演じるイアン)の元へ行ったところ、イアンに捕まり、なぜか復讐するための訓練を始める。
このあたりの行動が唐突すぎて、いったいどういう経緯でイアンの元で訓練を始めるようになったのかの描写がなくて、いきなりトレーニングしているシーンが続く。
だいたい、ステファニーから「訓練してほしい」と頼んだわけではなく、イアンがいきなり訓練を始めたわけだけど、イアンは何のためにステファニーを訓練しようと思ったのだろうか?
テロリストの黒幕を潰すためとはいえ、所詮はただの華奢な女の子なので、いくら何でもムチャクチャすぎる。
少々走ったり格闘の訓練をしたりしたところで、たいして見につくはずがない。
せいぜい拳銃の撃ち方を覚えるくらいだろう。
これでは、使い捨てにもならないだろうに。
にもかかわらず、イアンはステファニーを実戦で使おうとする。
ムチャクチャな展開である。
しかし、行動するには資金が必要となる。
そこで、家族を失ったのは同じ飛行機に乗っていた富豪の息子がテロの標的になったからだ、ということをイアンに教えてもらったステファニーは、その富豪のところへ乗り込んで資金提供を依頼する。
この富豪の家に侵入する時も、展開が実にあっさりとしていて、この家には警備システムも何もないのか、と思うくらい、普通に侵入できたのには驚いた。
なんだかんだあって資金提供を受けることになり、まず情報を得るために元CIAの情報屋に会うように指示されたステファニーは、彼に会う時に、近くまで行って本人を確かめた上で電話を掛けたのはいいのだけど、最後に「コーヒーを飲み終わったら電話して」と言ったために、すぐそばで電話をしていることが情報屋にはバレバレとなり、逆に素顔を知られてしまう。
これまた「アホなのか?」というシーンだった。
あの「ジェイソン・ボーン」シリーズで、主人公がCIAのパメラに電話した際、彼女に「疲れてるな」と言うシーンがあるが、それはかなり離れたビルから双眼鏡で見ながら電話していたためであり、当然のことながら「ボーンは近くにいる」と気づいたパメラは、周りを見渡すのだけど、遠くにいるため見つからない。
あんな近くで電話して、コーヒーを飲んでいることを知っているとなれば、相手だって警戒するに決まっているのに、何にも考えていない行動である。
しかも、ステファニーはイアンの指示によって、死んだ女暗殺者に成りすまして情報屋に接近したのだけど、どこからどう見たって暗殺者のたたずまいではないのに、情報屋も見てわからなかったのだろうか。
こんな頭の悪い暗殺者なのに、イアンは早速最初の殺しをステファニーにやらせる。
その相手は、テロリストに資金を提供しているヤツなのだが、そいつのところに売春婦として乗り込み、隙を見て仕込みナイフで刺し殺す、という計画だ。
ずいぶんといいかげんな計画なのだが、ステファニーは首尾よく標的を押さえつけたものの、そこで「助けてくれ。私には子供がいるんだ」という一言でビビってしまい、目的を達成することができずに逃げ帰ってくる。
この間、標的のまわりには護衛がいたはずなのに、何にもしていない。
売春婦として乗り込む時はまだしも、逃げる時に誰も彼女を取り押さえようとしないとは、いったいどんな警備体制なんだか。
主人公も今後こそ懲りたのかと思いきや、次の標的のところにも堂々と乗り込んでいく。
ところが、相手が車椅子に乗っている上に、ぼ~っとしているという状況を見て、なぜか無駄に話し続けたために、相手から反撃を食らってしまう。
結果的に、標的の常用している薬(心臓用?)が切れたため、勝手に死んでしまったので事なきを得たのだけど、見ていて「何だ、こいつは?」と思えるような行動ばかりだ。
ところが、ラストでは、黒幕の正体に気付いてこれを始末するのだけど、その時のセリフが「私の方が一枚上手だわ」だったので驚いた。
いつの間に覚醒していたのか、この時はすっかり暗殺者の顔をしていた。
ここは、イアンが手助けをするのかと思っていただけに、何とも違和感バリバリの展開だった。
とにかく、それぞれいったいどういう人物設定なのか、さっぱりわからなかった。
こんないいかげんなシナリオも珍しい、と思えるほどだったので、見ていてハラハラ・ドキドキ感がまったくない上に、面白さもまったく感じられなかったです。
ということで、評価は「C」にします。
それにしても、ジュード・ロウもよくこんな映画を引き受けたよな。
「シンプル・フェイバー」のブレイク・ライブリー&「シャーロック・ホームズ」シリーズのジュード・ロウ共演によるリベンジアクション。マーク・バーネルの小説「堕天使の報復」を原作者自らの脚本で映画化し、「孤独なふりした世界で」のリード・モラーノ監督がメガホンをとった。
主演:ブレイク・ライブリー
共演:ジュード・ロウ、スターリング・K・ブラウン、マックス・カセラ、ダニエル・メイズなど
<ストーリー>
3年前に飛行機事故で家族を失ったステファニーは、生きる気力を失い自堕落な生活を送っていた。そんなある日、飛行機事故が何者かによって仕組まれたものだと知った彼女は、復讐を果たすべく真相を探り始める。やがて謎の男に拉致されたステファニーはその男のもとで過酷な戦闘訓練を積み、激しい戦いに身を投じていく。
2020年の作品である。
さて、序盤から最後までず~っと感じていたことは「何て荒唐無稽なんだ」ということ。
荒唐無稽だけど面白い、という映画ももちろんある。
しかし、この作品について言えば、ただただ荒唐無稽なだけである。
何が荒唐無稽かって、とにかくこの主人公を含むすべての登場人物の行動が意味不明だ。
まず冒頭で、飛行機事故により家族を失ったために、生きる気力をなくして売春婦に成り下がっていた主人公・ステファニーの元に、あるジャーナリストがやってきて、「あれは事故ではない。テロだった」と告げる。
さらに、家族の命を奪ったテロリストの名前はわかっているが、泳がせるために逮捕もされていない、ということも教える。
というか、このジャーナリストもこんな情報を何だって遺族である女性に伝えたの?
それを聞いた彼女は、あろうことか本人の通う大学に直接行って、しかも食堂で食事をしている本人の近くまでいって、犯人をじ~っと見つめる。
何なんだ、このアホ丸出しの行動は。
もちろん、衝動的に犯人を殺そうとした、という描写なんだろうけど、軽率にもほどがある。
そのせいで、何かおかしいと察したテロリストは、彼女の持ち物からそのジャーナリストを探し出し、殺害するのだけど、それを知った主人公は、そこで怖気づくのかと思いきや、次にジャーナリストに情報を提供したと思われる人物を探しにいく。
いきなりの行動である。
そして、その人物(ジュード・ロウ演じるイアン)の元へ行ったところ、イアンに捕まり、なぜか復讐するための訓練を始める。
このあたりの行動が唐突すぎて、いったいどういう経緯でイアンの元で訓練を始めるようになったのかの描写がなくて、いきなりトレーニングしているシーンが続く。
だいたい、ステファニーから「訓練してほしい」と頼んだわけではなく、イアンがいきなり訓練を始めたわけだけど、イアンは何のためにステファニーを訓練しようと思ったのだろうか?
テロリストの黒幕を潰すためとはいえ、所詮はただの華奢な女の子なので、いくら何でもムチャクチャすぎる。
少々走ったり格闘の訓練をしたりしたところで、たいして見につくはずがない。
せいぜい拳銃の撃ち方を覚えるくらいだろう。
これでは、使い捨てにもならないだろうに。
にもかかわらず、イアンはステファニーを実戦で使おうとする。
ムチャクチャな展開である。
しかし、行動するには資金が必要となる。
そこで、家族を失ったのは同じ飛行機に乗っていた富豪の息子がテロの標的になったからだ、ということをイアンに教えてもらったステファニーは、その富豪のところへ乗り込んで資金提供を依頼する。
この富豪の家に侵入する時も、展開が実にあっさりとしていて、この家には警備システムも何もないのか、と思うくらい、普通に侵入できたのには驚いた。
なんだかんだあって資金提供を受けることになり、まず情報を得るために元CIAの情報屋に会うように指示されたステファニーは、彼に会う時に、近くまで行って本人を確かめた上で電話を掛けたのはいいのだけど、最後に「コーヒーを飲み終わったら電話して」と言ったために、すぐそばで電話をしていることが情報屋にはバレバレとなり、逆に素顔を知られてしまう。
これまた「アホなのか?」というシーンだった。
あの「ジェイソン・ボーン」シリーズで、主人公がCIAのパメラに電話した際、彼女に「疲れてるな」と言うシーンがあるが、それはかなり離れたビルから双眼鏡で見ながら電話していたためであり、当然のことながら「ボーンは近くにいる」と気づいたパメラは、周りを見渡すのだけど、遠くにいるため見つからない。
あんな近くで電話して、コーヒーを飲んでいることを知っているとなれば、相手だって警戒するに決まっているのに、何にも考えていない行動である。
しかも、ステファニーはイアンの指示によって、死んだ女暗殺者に成りすまして情報屋に接近したのだけど、どこからどう見たって暗殺者のたたずまいではないのに、情報屋も見てわからなかったのだろうか。
こんな頭の悪い暗殺者なのに、イアンは早速最初の殺しをステファニーにやらせる。
その相手は、テロリストに資金を提供しているヤツなのだが、そいつのところに売春婦として乗り込み、隙を見て仕込みナイフで刺し殺す、という計画だ。
ずいぶんといいかげんな計画なのだが、ステファニーは首尾よく標的を押さえつけたものの、そこで「助けてくれ。私には子供がいるんだ」という一言でビビってしまい、目的を達成することができずに逃げ帰ってくる。
この間、標的のまわりには護衛がいたはずなのに、何にもしていない。
売春婦として乗り込む時はまだしも、逃げる時に誰も彼女を取り押さえようとしないとは、いったいどんな警備体制なんだか。
主人公も今後こそ懲りたのかと思いきや、次の標的のところにも堂々と乗り込んでいく。
ところが、相手が車椅子に乗っている上に、ぼ~っとしているという状況を見て、なぜか無駄に話し続けたために、相手から反撃を食らってしまう。
結果的に、標的の常用している薬(心臓用?)が切れたため、勝手に死んでしまったので事なきを得たのだけど、見ていて「何だ、こいつは?」と思えるような行動ばかりだ。
ところが、ラストでは、黒幕の正体に気付いてこれを始末するのだけど、その時のセリフが「私の方が一枚上手だわ」だったので驚いた。
いつの間に覚醒していたのか、この時はすっかり暗殺者の顔をしていた。
ここは、イアンが手助けをするのかと思っていただけに、何とも違和感バリバリの展開だった。
とにかく、それぞれいったいどういう人物設定なのか、さっぱりわからなかった。
こんないいかげんなシナリオも珍しい、と思えるほどだったので、見ていてハラハラ・ドキドキ感がまったくない上に、面白さもまったく感じられなかったです。
ということで、評価は「C」にします。
それにしても、ジュード・ロウもよくこんな映画を引き受けたよな。
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