山の辺の道を歩いていると、よくこのガマズミの朱い実に出会う。
近づいてみる。
木ノ間がくれに実がみえることも、眼前に枝を伸ばしていることもある。
他に美男葛が他の木に巻き付いて小さ丸いお手玉のような実をゆらゆらと揺らしていることも。
山歩きの楽しみは、一週間、ご無沙汰をしていると様子が変わっていること。
一週間前は無かった、茱萸、茨の実、梅擬、蔓梅擬、などが行先々に朱い実を見せてくれる。
雨が降った後は蜘蛛の囲に雨滴がついてキラキラと光っている。風が来て、幾何学模様の蜘蛛の囲がゆれる様は美しく思わず足を止めることとなる。
「 莢蒾(きょうべい)」と書いてガマズミ。
スイカズラ科の落葉低木で高さ3メートルくらいになり山野に自生をする。
がまずみの実の火の色に渦なす霧 小松崎爽青
こんな例句が歳時記にある。
歳時記の例句としてはごく数例しか載っていない。
( 莢蒾 )と書いて ガマズミ とさて何人が読めるであろう。
パソコンで正解な実の名前を調べ、文字を調べるのに小一時間かかった。
今まで湖畔の散歩道や遍路道で見かけていた親しい木の実であったが、句を詠もうとすれば正確な名前を知っていなくてはならぬ。
まこと植物や山野草の名前は私にとっては難しい。
がまずみの朱い実照らす札所道
がまずみの実や風雪に窯崩れ
十月の山朱い実の賑はえり
吾は何に見ゆ蜘蛛の巣に蜘蛛構へ