5月も下旬に入り、晴天の日中などは、些か真夏に近い暑さも感じる当地名古屋である。前日の天気予報は、朝方一時降られそうだったのだが、どうも良い方へはずれたらしい。先日は、隣家の火災で些かの被害を生じた、東三河の旧宅の修繕費の入金に行ったのだが、取り扱った某都銀の対応はお粗末なもの。当初、一旦は振り込みを受理しておきながら、担当された修理業者の社名登録に不具合が生じたとかで、その辺の確認を、あろう事かユーザーの我々に要求して来た。振り込み受け付けに際し、その受理の可否は、最初の段階で業者側の事共を調べて確認し、間違いない事を把握した上で、我々ユーザーに可能か、難しければその事情を明確に説明した上で通告するのが筋のはずであり、本来都銀の業務の内のはずだ。それを実行もせず、ユーザーに面倒をかけて丸投げとは、本当に都銀側の見識を疑い、かつ深い不快感を味わわされたものである。俺はこの所、住所異動や進路の事などで、複数の行政窓口にも通ったものだが、各部署の対応はまずまず良好で、IT化の威力もあって、処理スピードも以前よりは改善されている。それに引き替え、件の都銀の対応は、最近周ったどの行政窓口をも下回る拙劣さ。民業であるはずの銀行窓口の対応の質が、行政のそれに敗れ始めている現実を、とくと心に刻んだ方が良いのかも知れない。行員達の、顧客の血と汗の結晶たる現金や資産を預かる自覚が心もとない事も。俺はこの一件で、この都銀で開く予定だった口座の開設を見合わせる事にした。
さて話を変えたい。先日まで、報道家 櫻井よしこさんと著述家で雑誌編集も手掛ける花田紀凱(はなだ・かずよし)さんの共著『「正義」の嘘』を拝読して来た。昨年秋にも触れたが、全国紙 朝日新聞が、戦中の所謂慰安婦問題や、先の震災に伴う福島の原発事故に際しての、現場責任者の見解報道に正確を期さなかった事などにつき、少しでも公正な視点より、厳しい指弾をされた著作である。文面の進行には、社会学者 西尾幹二さんや西岡 力(にしおか・つとむ)さん、軍事専門家 潮 匡人さんらもご参加である。
文中、特に引っかかったのは、やはり所謂慰安婦問題に絡む報道の杜撰さ。当事者は、当時大韓民国・ソウル特派員だった元記者 植村 隆と言う人物と、当時の大阪本社企画報道室長 北畠清泰と言う人物。文面からは、この2人がどうも不適切な慰安婦報道の首謀格らしい事が理解できた。又、昨年この問題を検証した第三者委員会の人選も、決して公正な判断を下せる態勢のものではなかった事も指摘されていた。
もう何度も繰り返し強調されて来た事だが、正確な取材調査の裏打ちのない報道に、言論の自由を主張する権利などない。特に、前述の問題の様に、事が一国の尊厳や対外信頼に大きく関わる場合などは尚更だ。戦中の、未成年女子が慰安婦にされたのではとの話も、確実な根拠はない様だし、勤労動員された「女子挺身隊員」が慰安婦と意味を混同される様な杜撰さ。櫻井さんらのお話から、朝日報道が捏造に近い粗悪な状況で作られ、大韓民国の世論や同国メディアを大いに惑わせ、かつ我国にも計り知れぬ損害をもたらした事実が良く分ったものだ。
大韓民国内の、抗日歴史関係の施設には、「北」の拉致事件に遭って帰国、その後訪韓された著述家 蓮池 薫さんの記事にもある様に、我々日本人にはかなりインパクトのあるテーマも取り上げられている様だが、それらに留意するとしても、『「正義」の嘘』の記事にある朝日報道の不健全さが、ただでさえ難しい日韓関係が更にこじれる元凶となったのは否めない所。それと、福島原発事故に際しての報道態勢も、朝日は他紙に比べ、誤報に繋がる様な適当な対応が目立った様だ。慰安婦報道の問題については、外務省の対応もそれは好ましくないものがあろう。決して誉められない河野談話を良い様に利用し、例えば捕鯨反対勢力と対峙する時などの様に、必要な主張もせず波風が収まるのを待つ様な傍観者的姿勢で居るべきではないだろう。
この芳しくない報道の元凶 植村元記者は、名誉棄損を理由に櫻井さんや西岡さん、それに一部の報道メディアを相手に訴訟に打って出る様だが、弁護団の人数を聞いて呆れてしまった。何と総勢約170人だとか。深刻な凶悪犯、あるいは世界的大企業の特許や収益などを巡る大きな訴訟でも、弁護団は数十人位までが主だろう。一体、これだけの法曹人が個人訴訟の為に何をする必要があるのだろう。邪推かもだが、この内の相当数が、あるいはろくに専門的な仕事もせず、顧問料収入だけを得る、所謂「訴訟利権」と化していやしないか。更に、その為に芳しからぬ地下資金などが回っていないか、法務省や財務省は、こんな時こそ連携して、厳しい査察をすべきではないのか。ともあれ、今回の不良報道の問題を正面から捉えられ、提起された櫻井さんと花田さんの勇気と叡智には感謝の一言だ。又、助力を惜しまなかった潮さん、西尾さん、西岡さんらに対しても厚く一礼を申したい。
今回画像は、今春の拙写真帖にも載せた、新潟市内で目撃した蒸気機関車の模様。有名な「SLばんえつ物語」を担う高速機、C57型が重整備中とかで、群馬県よりその留守を預かる形で出張中のC61型機。天を目指す排煙が、怒りの狼煙に見えたのも事実。想えばこのメカ、先の震災で大害を被った福島県下の常磐線ゆかりの機材。同線復旧の暁には、復興した土地での全力疾走を拝みたいものです。P.S 今回の拙記事は、昨年9/14付の「大失態 三連発!も、必要に応じご参照下さる様。