Blog~続・トイレの雑記帳

鉄道画像メインの「ゆる鉄写真ブログ」のつもりでしたが、
政治社会の事共について記したくなり、現在に至ります。

ローカル鉄道の車窓から見えたもの

2007-01-14 15:59:00 | インポート
大寒の季節です。1年で最も気温が下がる時期のはずですが、例年に比べそれ程寒くないと、多くの方々が仰っています。確かに私の実感もその通り。事によるとこれは、以前より指摘されている所謂「地球温暖化」が進んでいる影響かも知れません。

昨年晩秋より今年初にかけ、当地名古屋の西郊を行くローカル鉄道「養老線」の沿線へしばしば出かけました。
この鉄道は1910年代の大正年間に初開業、戦前の一時は岐阜西濃に本社を置いて今も盛業中の、ある電機メーカーにより経営されていた時期もありました。
その後昭和に入ると関西の大手私鉄の傘下に入り、大戦中の1944=昭和19年に大阪に本拠を置く大私鉄、近畿日本鉄道の一路線となり現在に至っています。線路幅は1067mm、電力方式は直流1500Vで、これは旧国鉄、現JR東海や名鉄こと名古屋鉄道と同様です。

私がまだ10代の高校時代、悪友と共に部活の研究の為もあり、この路線に入った事があります。
近鉄こと近畿日本鉄道と言えば、その本線筋たる大阪線と名古屋線は、新幹線同様の広めの軌道幅の線路を採用している事が知られています。
元々は名古屋線も旧国鉄、現JR線と同じ線路だったのですが、1959=昭和34年に襲来した第15号、所謂伊勢湾台風による風水害にて大きな被害を生じ、その復旧時に大阪線同様の線路に改められたもの。これにより、名古屋~大阪間直行の特急列車が出現したのは有名な所でしょう。
従って養老線も、この台風被害に遭うまでは名古屋や伊勢方面と直通乗り入れをする機会もあったのですが、当時旧国鉄の貨物列車が乗り入れていた事もあり、線路変更はありませんでした。この頃は夜間は勿論、日曜日の日中も盛んに貨物列車が運転されていた記憶がありますね。並行する国道258号の整備が途上だった事も理由の一つでしょう。

その後は国道整備に伴う大型トラックによる道路便への貨物移転に伴って、同線の貨物業務は1996=平成8年頃に終焉を迎えます。又、ご存知の自家用車の普及による乗客減が生じて採算が悪化、昨2006=同18年に運営主の近畿日本鉄道と沿線自治体が同線の今後に関して協議を行なった結果、今夏を目途に自治体が鉄道路線を共有し、同鉄道の子会社が運行業務を引き継ぐ所謂「上下分離方式」による経営変更が決定した由。この存続手法は一昨年、路面電車の岐阜市内線他にて採用への動きがありながら挫折した事のある方法です。

実は、この方法による近鉄路線の経営変更には前例があるのです。
2002=平成14年春、養老線と同じ三重県桑名市を起終点とする路線、北勢線が地元私鉄の三岐鉄道に、やはり上下分離方式にて移管されています。そこに私は、当地大手私鉄の名鉄とは異なる企業風土を感じずにはいられないのです。
あくまでも公共性よりは経営効率や損得を優先する印象のある名鉄に比し、近鉄の経営変更への姿勢には、最後の所で地元の利便に関わる公共性を見捨てない敬意の様なものが感じられるのであります。

この年末年始、私は同線の列車に2度に亘り乗車する機会を得ました。冬休みの日中とあって乗車率は芳しくありませんでしたが、それでも運行に関わる方々の対応はとても暖かく、好感の抱けるものでした。
その沿線は東に当地の主要河川、揖斐川と西に養老山地を臨む人里と山里との境目に当たり、住宅地と山里が微妙に入り混じった地域が続きます。
割合人口の多い桑名、大垣の両市周辺はさすがに開けていますが、路線の中程は以外な山間もあり、結構新鮮な発見でした。
ただ気になったのは、沿線の住宅地や工業地の開発を試みながら、結局は失敗したと思われる箇所が散見された事、そして人が住まなくなった廃屋の様な建物が結構見受けられた事でしょう。

同線の経営が苦境に陥ったのは単に国道整備による自動車化、所謂モータリゼーションだけではない様に思います。
以前、名鉄のローカル線、揖斐・谷汲両線の廃止時にも指摘された事ですが、どうも沿線の過疎化が当地名古屋よりそう遠くないこの土地でも始まっている様なのです。

今、中部経済は絶好調を謳っている様に見えますが、名古屋中心部はそうであっても、周辺部が果たしてその恩恵を受けているのだろうか・・・列車を後にする時、そうした想いがふと、脳裏を過ぎりました。

P.S 養老線を一舞台に取り上げた拙写真帖新作を、当HP「HAKASEの隠し部屋別室」に載せました。折にご笑覧下さる様。*(山)*
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