日本にはいろんな季節があるが、贈答シーズンという人工的なシーズンもある。
このシーズンになるとメロンやカニが活躍することになる。
昭和の時代は口のところを縄で縛ってぶら下げる新巻鮭が贈答品の主役だった。
そして平成。
平成の主役は何といっても松茸だった。
何しろ一本3万円。
贈答シーズンともなけばデパートの正面玄関に祭壇のような高さの松茸コーナーが設置され、祭壇のてっぺんのところには一本5万円の松茸が飾りつけられていたものだった。
これまで秋ともなれば新聞もテレビも「今年のサンマの動向」と並んで必ず「松茸の動静」が話題になったものだが、いつのまにか「松茸の動静」はここ数年、全く音沙汰無しになっている。
みんなもう、松茸なんかどうでもよくなっちゃんでしょうね。
こうなってみると、不思議なことに松茸を食べたいという気が全く起こらない。
かつては料亭がその活躍の場であった。
元をただせば料亭育ち。
腕は自慢の土瓶蒸し。
昔キングともてはやされ。
今じゃ舞茸の露払い。
そんな松茸が不憫であります。