
件の女は、館内も既に暗く、そろそろ本編上映が始まろうとする頃に遅れてやって来た。座るやいなや、持ち込んだ食べ物を食べ始めた。食べ物の容れ物であるビニール袋が、暫くガサガサと耳障りな音を立て続けた。
2時間あまりの長尺の映画は、主演のジェイディン・スミス君とジャッキー・チェンの好演もあって、(リメイクなので結末は知っていても)感動的なフィナーレを迎えた。その余韻に浸りながら最後までエンドロールを見た後、館内が明るくなり、帰ろうと立ち上がった私達夫婦の目に飛び込んで来たのは、エンドロールが始まるや、館内が暗いうちにそそくさと立ち去った件の女の席の足下にある、口が結ばれたゴミの入ったビニール袋だった。
オイオイ、せっかくの余韻もぶち壊しじゃないか?自分の持ち込んだゴミくらい、自分で責任を持って持ち帰ろうよ。少なくとも、席に放置して帰るなよ。私なんか、こぼしたポップコーンもちゃんと拾ってカップに戻し、出入り口に設置されたゴミ箱に捨てるぞ。30代と思しき女。日頃の生活も推して知るべし。
ゴミを席に残したまま帰るのは10代、20代の若いカップルに多い(とは言え、殆どの若者はマナーを心得ていて、ごく一部が悪目立ちするだけ)。まさか、いい年した大人が、こんなことをするとは思わなかった。
結局、目にしてしまった以上放置できなくて、私達のゴミと一緒にゴミ箱に捨てた。なんで、マナー知らずの、どこの誰かも知らない女の尻ぬぐいをしなきゃいけないんだと思いながら…
映画館で映画を見るなら、最低限のマナーは心得て欲しいな。映画に対しても失礼だ。