この色彩!自然は天才!!
東京芸術大学大学美術館で開催の展覧会『線の巨匠たち~アムステルダム歴史博物館所蔵 素描・版画展』を最終日の昨日、やっと見て来ました。チケットは新聞店からいただいたもの。上野公園の木々もだいぶ色づいていました。
左)東京文化会館裏手の銀杏並木。右手に野球にゆかりの深い歌人、正岡子規の名が冠せられた記念球場があります。 右)噴水広場の周辺の紅葉
左)噴水広場の噴水 中央及び右)美術館に向かう途中にあったキリンのオブジェ。美術館が集中する場に相応しい佇まい。青と白の色調が効いています。晴天ならなおのこと映えたのかしら?周辺には他にもオブジェが何点かありました。
展覧会は10月11日(土)~11月24日(月)の会期で行われました。オランダのアムステルダム歴史博物館所蔵作品を中心に、オランダ、ドイツ、イタリア、フランスの素描、版画作品が展示されていました。
建築・彫刻・油彩画などの準備の為の「下描き」として考えられがちな素描ですが、ルネサンス以降、西洋美術史においては、それらの「三つの芸術の父」(ヴァザーリの言葉)とされ、あらゆる造形芸術の基礎を成すものとして重要視されていたそうです。そう言えば、以前、既に失われてしまったルーベンスの油彩画のオイル・スケッチが、無き作品の研究の手がかりとして、その価値を高く評価されているとの報道もありましたね。これらの素描は、芸術家の創作の原点やプロセスを知る上でも貴重な資料となるのでしょう。
17世紀のオランダにおいて、素描はさらに発展を遂げ、描かれる対象は人物画、屋外風景、静物と多岐に渡り、芸術家のアトリエでは、絵画の為の下描き、弟子たちの練習手本、あるいはモチーフの「型見本」として活用されたそうです。実際、私の調べたところでは、レンブラントもドイツのデューラーやイタリアのカルラッチの素描を入手して、彼らの画風を学んだようです。
展覧会では、銅版画製作において支持体としての”紙”にも拘りを見せたレンブラントが、17世紀当時貿易立国として繁栄を極めていたオランダの利を生かし、日本から輸入した和紙(美濃の紙?)を用いて製作した代表作《病者を癒すキリスト(「百フルデン版画」)》も展示されていました。西洋紙を用いた作品より、全体的にやや赤みを帯びて見えるその作品は、特に質が高いと認められているようです(写真の絵はがき5枚の内、下段左側のもの)。また現在80枚が現存していると言われるレンブラントの銅版の1枚が、刷り上がった作品《クレメント・ダ・ヨンゲの肖像》と共に展示されていました。
因みに今秋公開された映画『宮廷画家ゴヤは見た』(原題”GOYA'S GHOSTS”)には、18世紀当時の銅版画の製作工程が描かれたシーンもあり、なかなか興味深いものがありました。この作品にはゴヤの作品も多数登場します(私はこれほどまでにゴヤ作品を見たのは初めて!)。美術ファンにとっては映画のストーリーと共に、これは見どころと言えるでしょうか。
素描や版画は(一般に)色彩を持たない分、小手先の誤魔化しが一切きかず、できるだけ細やかな観察と鋭い洞察で対象へと迫り、その造形の正確な把握と描写が必要とされるように思います。それらを”完成された作品”として、教養あるコレクターの蒐集の対象にまで高めた芸術家達の力量は、まさに巨匠と呼ぶに相応しいものなのかもしれません。
その線描が細やかなだけに、見る方にも力が入り、見終わった後には眼球に軽い筋肉痛を覚えたほどでした(笑)。
昨日の歩数はDoor to doorで、8,172歩でした。1万歩超えならず!
東京芸術大学大学美術館で開催の展覧会『線の巨匠たち~アムステルダム歴史博物館所蔵 素描・版画展』を最終日の昨日、やっと見て来ました。チケットは新聞店からいただいたもの。上野公園の木々もだいぶ色づいていました。
左)東京文化会館裏手の銀杏並木。右手に野球にゆかりの深い歌人、正岡子規の名が冠せられた記念球場があります。 右)噴水広場の周辺の紅葉
左)噴水広場の噴水 中央及び右)美術館に向かう途中にあったキリンのオブジェ。美術館が集中する場に相応しい佇まい。青と白の色調が効いています。晴天ならなおのこと映えたのかしら?周辺には他にもオブジェが何点かありました。
展覧会は10月11日(土)~11月24日(月)の会期で行われました。オランダのアムステルダム歴史博物館所蔵作品を中心に、オランダ、ドイツ、イタリア、フランスの素描、版画作品が展示されていました。
建築・彫刻・油彩画などの準備の為の「下描き」として考えられがちな素描ですが、ルネサンス以降、西洋美術史においては、それらの「三つの芸術の父」(ヴァザーリの言葉)とされ、あらゆる造形芸術の基礎を成すものとして重要視されていたそうです。そう言えば、以前、既に失われてしまったルーベンスの油彩画のオイル・スケッチが、無き作品の研究の手がかりとして、その価値を高く評価されているとの報道もありましたね。これらの素描は、芸術家の創作の原点やプロセスを知る上でも貴重な資料となるのでしょう。
17世紀のオランダにおいて、素描はさらに発展を遂げ、描かれる対象は人物画、屋外風景、静物と多岐に渡り、芸術家のアトリエでは、絵画の為の下描き、弟子たちの練習手本、あるいはモチーフの「型見本」として活用されたそうです。実際、私の調べたところでは、レンブラントもドイツのデューラーやイタリアのカルラッチの素描を入手して、彼らの画風を学んだようです。
展覧会では、銅版画製作において支持体としての”紙”にも拘りを見せたレンブラントが、17世紀当時貿易立国として繁栄を極めていたオランダの利を生かし、日本から輸入した和紙(美濃の紙?)を用いて製作した代表作《病者を癒すキリスト(「百フルデン版画」)》も展示されていました。西洋紙を用いた作品より、全体的にやや赤みを帯びて見えるその作品は、特に質が高いと認められているようです(写真の絵はがき5枚の内、下段左側のもの)。また現在80枚が現存していると言われるレンブラントの銅版の1枚が、刷り上がった作品《クレメント・ダ・ヨンゲの肖像》と共に展示されていました。
因みに今秋公開された映画『宮廷画家ゴヤは見た』(原題”GOYA'S GHOSTS”)には、18世紀当時の銅版画の製作工程が描かれたシーンもあり、なかなか興味深いものがありました。この作品にはゴヤの作品も多数登場します(私はこれほどまでにゴヤ作品を見たのは初めて!)。美術ファンにとっては映画のストーリーと共に、これは見どころと言えるでしょうか。
素描や版画は(一般に)色彩を持たない分、小手先の誤魔化しが一切きかず、できるだけ細やかな観察と鋭い洞察で対象へと迫り、その造形の正確な把握と描写が必要とされるように思います。それらを”完成された作品”として、教養あるコレクターの蒐集の対象にまで高めた芸術家達の力量は、まさに巨匠と呼ぶに相応しいものなのかもしれません。
その線描が細やかなだけに、見る方にも力が入り、見終わった後には眼球に軽い筋肉痛を覚えたほどでした(笑)。
昨日の歩数はDoor to doorで、8,172歩でした。1万歩超えならず!