はなこのアンテナ@無知の知

たびたび映画、ときどき美術館、たまに旅行の私的記録

チョイ住み in フィレンツェ(2015.9.26(土)放送)

2016年01月08日 | 海外旅行(旅の記録と話題)


 昨年春から不定期にNHK-BSプレミアムで放映されている「チョイ住み」シリーズ第3弾。パリ・ロンドンと来て次はニューヨークかと当たりをつけたのですが、予想外のフィレンツェでした。

 この番組が推奨する旅は、「異国で暮らすように旅する」。ガイドブックを捨て、観光地巡りを止め、現地の人と同じ目線で"生活する"こと。

 昨年の9月26日(土)に放映されたのですが、直後に私は英国旅行が控えていた為、いろいろと慌しくてリアルタイムに見ることはなく、録画しておいたのを今日、改めてちゃんと見直しました。

 こうしてじっくり、時には巻き戻して見てみると、昨年、旅行から帰って来て直後に見た第一印象とは違って、結構見ごたえがあるなあ、と言う印象。

 今回の旅人は、斉藤辰夫氏(58)渡部秀クン(23)のお二人です。

 35歳差で、出身は大阪と秋田、職業は料理研究家と若手俳優と、接点がまるでなさそうな二人。同居生活を始めた当初は互いの行動リズムの違いもあってギクシャクしていたのが、時に感情的行き違いがありながらも、次第に互いの違いを認め合い、違うからこその刺激を相手から受けて、最後にはそれぞれにひとりの人間として一皮剥けた姿が印象的でした。まさに二人の信頼関係構築のプロセスを目で追っているような臨場感がありました。

 過去の2作品は、旅の達人である年長者から、初心者の若者が刺激を受けて成長する姿が中心に描かれていたように思うのですが、今回は年長者である斉藤氏に対しても妥協を許さない若手の渡部クンの直向さが、年齢差を越えて互いに刺激しあう対等な関係性を生み出して、さらに内容に深みのある同居物語を作り上げたように思いました。

 そもそも旅の目的が「大人になること」(←新しい自分と出会う)と言う渡部クンと、「美食の宝庫フィレンツェで食べて食べて食べまくるぞ」「イタリア人にとって究極の味である"マンマの味"を見つけるぞ」(←料理研究家としての関心の範疇から出ていない)と言う斉藤氏では、ひとつひとつの行動の積極性や真剣みが違う(笑)。

 渡部クンは当初から会話帳を片手にイタリア語で現地の人とコミュニケーションを図り(若さと勘の良さ<さすが俳優bikkuri>もあってイタリア語もみるみる上達)、積極的に現地に溶け込もうとしているのに対し、海外経験豊富なはずの斉藤氏の方が数日経過しても旅人然として見えました。異国で自分の殻に篭っていたのは、海外旅行初心者の渡部クンではなく、何と旅慣れた斉藤氏だったと言う意外な事実。

 仕事でもある程度功なり名遂げて、表立って誰からも意見されることのない立場の斉藤氏にとって、年少者である渡部クンの容赦ない物言いは、ある意味衝撃的で、心に刺さるものがあったのでしょう。

 チョイ住み生活最終日の夜に、フィレンツェ滞在はこれが5度目の斉藤氏が「心底、ここまでいろいろな経験をしたことはない」と語気を強めて自らの思いを吐露するシーンは、ひとりの対等な立場の人間として、斉藤氏が渡部クンから受けた刺激の大きさを物語っています。

 さらに印象的だったのは渡部クンが斉藤氏との同居生活から学んだこと、斉藤氏の姿勢から学んだこととして、「大人になる為のヒントを見つけました。"恥"をかく(ことを恐れない)」と言ってのけたこと。

 イタリア語を学ぶことから逃げているのではないか?と言う渡部クンの指摘に一度はムッとした斉藤氏でしたが、アパートに戻ってひとりになった時、謙虚に渡部クンの言葉を噛み締め、「幾つになっても挑戦することの大切さ」に気づくと、翌日にはイタリア語を真摯に学び始めました。その姿に渡部クンは感銘を受けたようです。

 カメラは斉藤氏の背中越しに渡部クンの顔を正面から映し出していましたが、「恥をかく」と言われた瞬間の斉藤氏の表情はどうだったのだろうと、少し気になります。

 当初は互いに同居生活への不安を感じていた二人の間に、年齢差を超えた友情が生まれた瞬間を、この時、見たような気がしました。

 これだけ二人の関係にフォーカスして見るなら、何も滞在先がフィレンツェである必然性はないのでは?どこでも良かったのでは?と言われそうですが、そんなことはありません。歴史を感じさせる街並み、美食の宝庫ならではの食材の数々を見ているだけでも、地元民のように暮らしながら、同時に旅ならではの高揚感も楽しめる「チョイ住み」の醍醐味が伝わって来ます。

 また、大学で第二外国語としてイタリア語を学んだ身としては、斉藤氏や渡部クンの気さくなイタリアの人々とのやりとりも見ていて楽しい。15年前のイタリア旅行で、大学1年次の会話中心のイタリア語の教科書を丸暗記して、現地の人々にイタリア語で話しかけまくった時のことが思い出されました。イタリアへ行ったのは過去に3度、最後がそのイタリア語三昧の15年前なので、この番組を見て再び行きたくなりました。 

 「暮らす」と言う意味では、どこに滞在するのかの「住」ももちろん大切ですが(今回はフィレンツェのランドマークである大聖堂のドゥオモが、アパートのベランダから間近に見られる素晴らしい立地でしたが<それで一人一泊1万円は格安bikkuri短期間レンタルの空き部屋紹介サイトで渡部クンが見つけた物件ですgood>)やはり初対面同士の共同生活の肝と言えば「食」でしょう。まさに「同じ釜の飯を食う」ことの効用が、「チョイ住み」シリーズでは存分に描かれています。料理を一緒に作り、食べることが、見知らぬ者同士の心の距離を一気に縮めるのは間違いありません。それを意図してか、年長者はおしなべて料理の達人です。

 写真は斉藤氏がワインショップの女性店主から教わったレシピで、渡部クンと二人で作ったマンマのパスタ。アルデンテに茹でたパスタをトマトソースで和え、最後にフォルマッジオ・パルジャミーノとバジルを散らします。店主自慢のマンマの味meromero


 回を重ねるごとに内容に厚みが増し、充実して来た「チョイ住み」シリーズ。次回のチョイ住み先はニューヨークで初の女性同士の取り合わせ。どんな形の「チョイ住み」旅が生まれるのか、楽しみですね、と言っても、これも既に昨年末に放映済み。私は録画をこれから見るのですが、次回作の感想はまた改めてwink

 ニューヨークの次はスペインのバルセロナか、初アジアのシンガポールかな?wink

【2016.03.07 追記】

 …と言う私の予想は、アジアと言う見立てはいい線行っていたのですが、第5弾となる「チョイ住み」の場所は台北のようです。

kirakira2第5弾の「チョイ住み」は4月30日(土)19:30~ NHK-BSプレミアムで放送予定!kirakira2
 
 今回の旅人は歌手の藤井フミヤさんと元プロボクサーの亀田興毅さん。果たして、どんな「チョイ住み」になるのか、これまた異色の取りあわせに期待半分・不安半分wink

chain「チョイ住み」公式facebook


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