はなこのアンテナ@無知の知

たびたび映画、ときどき美術館、たまに旅行の私的記録

(30)試写会『ヘアースプレー』

2007年08月16日 | 映画(2007-08年公開)


 10月公開予定と言うので、感想をこの時期に書くのが躊躇われた作品。最初に映画が作られ(これは公開当時カルトな人気を博したらしい) 、その後ブロードウェイの舞台版が大ヒットし、今回は映画のリメイクということになるのだろうか。舞台版の成功は良い意味で本作に新たなパワーを注いだのかな?オリジナル映画が未見なのでそこのところが判らない。7月末から8月上旬にかけてブロードウェイ版の舞台公演が東京で行われたのに合わせて、今回は一足早く試写会が開催されたらしい。
1988年オリジナル映画『ヘアースプレー』(ジョン・ウォーターズ監督)

 タイトルだけでは何のことか分かりづらいけど(実はタイトルに使われたヘアースプレーは小道具・大道具として大活躍なのだ・笑)、物語の舞台は1960年代前半の米国東部の都市ボルティモア。60年代と言えば公民権運動が盛り上がりを見せ始めた時代である。そこにひとりの太った女子高校生がいた。お世辞にも美人とは言えず、いろいろイジワルをされたりもするが、彼女はそんなことなどお構いなし。いつもヘアースプレーでバッチリ髪型を決め、両親の深い愛情の下、楽しげに毎日を過ごしている。そんな彼女の底抜けの明るさ、自らが正しいと思うことを貫く強さが、保守的な白人社会に風穴を開けてゆく…

 外見による差別、人種差別など、テーマは意外に真摯なものだけど、ミュージカル仕立てで、のっけからノリノリな音楽が物語を盛り上げる。これは最後までテンションを下げることなく貫かれるのだから、そのパワーたるや心臓バクバクもんです。心地よい高揚感で映画館を後にすること間違いなし。今回はエンドロールで誰からともなく拍手が沸き起こったほど。

 オリジナル映画、舞台版、そして本作を通じて、主人公の母親を演じているのは男性(正確にはオリジナル版はドラッグ・クィーンのディヴァイン)。今回はあのジョン・トラボルタである。彼は若い頃『サタデーナイト・フィーバー』『グリース』などでミュージカル映画スターとして脚光を浴びたが、その後ミュージカルとは無縁のキャリアを重ねて来た。噂ではリチャード・ギアが演じて興行的にも成功した『シカゴ』『シャル・ウィ・ダンス?』の役を断ってトラボルタは心底後悔したとか。でもだからと言って、巨漢の、でも愛らしい母親役でミュージカルにカムバックなんて、ちょっとアナタ凄すぎる!

 脇を固めるクリストファー・ウォーケン(個人的には最初に見た『ディア・ハンター』でのベトコンに取り囲まれて”賭けロシアン・ルーレット”をする切ない姿がいまだに印象が強烈に残っているけど。次いで『キャッチ・ミー・イフ・ユー・キャン』の父親役も良かったな)ミッシェル・ファイファー(彼女を最初に見たのは『グリース2』で、オリビア・ニュートンジョンの後を継ぐ形での登場だったけど、この時はまだ未知数な若手女優という感じだった。彼女はやっぱり『ファビラスベーカーボーイズ』の時の二人の男を惑わすセクシーなシンガー役が最高!)、そしてクィーン・ラティファ『タクシーNY』のオネーチャンね。今回いきなり母親役でビックリ)もいい味出してます(笑)。おそらく本作に出演の若手俳優の何人かが今後スターとして次代を担うんだろうね。その意味でも楽しみな作品です。

『ヘアースプレー』公式サイト

試写会場で貰った特製のうちわ   
コメント    この記事についてブログを書く
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする
« 8月15日―62回目の終戦記... | トップ | ハード・キャンディ(200... »
最新の画像もっと見る

コメントを投稿

ブログ作成者から承認されるまでコメントは反映されません。