Dr. 鼻メガネの 「健康で行こう!」

ダンディー爺さんを目指して 日々を生き抜く
ダンジーブログ

専門技術

2008-02-03 | 医療・病気・いのち
手術というのは
科学や知識に裏打ちされた技術
ではあるが
どんなに知識があっても
それを実際におこなう技術がなければ話しにならない
とにかく安全確実に手術を遂行できる技術である

他の技術と同様に
本を読んだだけで身に付くものではない
先輩の指導
学会での技術の勉強
他の施設の見学
手術場外での毎日のトレーニング
そういう地道な積み重ねが必要である

そしてその技術を身につけるには
少しでも早いほうがよい
40や50になって外科をはじめようとしても
まず無理である
はじめるには若い方が
それも1年でも2年でも早いほうが良い

ところが今の新研修医制度では
2年の間 内科 外科をはじめいくつかの科を回ることになっており
これまでよりも外科のトレーニング開始が
2年遅れることになる
実にモッタイナイ
現役で医学部に入っても
卒業すれば25歳
そして外科に入ってくるときにはもう27歳である
ちょっと寄り道をしていればすぐ30歳である

プライマリーケアができる医師 広く診ることができる医師を作る
という発想を否定するわけではないが
絶対外科に進もうと決めている人間がいれば
最初から外科に入って何が悪いのだろうか

外科は手術にまつわって
全身管理の技術が必要となってくる科である
合併症として糖尿病や高血圧がある患者さんも
管理するトレーニングを受けるのである
赤ちゃんを取り上げるわけではなくても
産科の医師と協力して必要なら妊婦の手術も行ことだってまれではない
学ばなければならないことが山のようにあるのである

学生の病棟実習に毛が生えたようなシステムで
すべての医師の卵に2年もの時間を使う意義が
果たしてあるのか
医学部卒業時に進む道を迷っている人間や
家庭医を専門にやりたい人間に今の制度を適応し
最初からより高い専門性を目指す者には
その選択肢を与えても良いのではないか

厚労省も100人いたら100人こちらの方向へ行け
というような硬直したシステムを考えずに
選択肢を作るようにしたほうがよいのではないか
将来に向けて
すべてにおいて絶対正しい
なんていう方法論はあり得ないのだから