Dr. 鼻メガネの 「健康で行こう!」

ダンディー爺さんを目指して 日々を生き抜く
ダンジーブログ

しびれ 取れませんねぇ

2008-02-18 | 医療・病気・いのち
癌が骨に転移したとき
特に背骨や骨盤の骨に転移したとき
脊髄から出てくる神経に障り
痛みやしびれ そして麻痺症状が出てくることがある

これに対する対応はなかなか難しい

鎮痛剤を使用しつつ
有効と思われる抗がん剤を投与し
転移巣に放射線を当ててもらい
骨の破壊を少しでも抑える薬を試してみたりする

それらで効果が現れることも少なくないのだが
治療が進んでもしびれや痛みが取れないことも多い
時には症状が進んだりする事だってある

「とれませんねぇ」
と患者さんに見つめられる
私だって何とかしたい
でもその手段が・・・

そんな時
なんとお答えすればよいのか

福島大野病院事件

2008-02-18 | 想い・雑感
身近な人を喪うことはとても悲しいことです
生きていればそんな悲しみを経験しないわけにはいきません
私は医師として
できることならそんな悲しみに寄り添いたいと考えています
私だけでなく
死にゆく人に接することの多い医師の多数はそうであろうと思います

でもそこに司法が絡んでくると
医師と 患者及びその家族との間に溝ができます
裁判となると そこはどこまでも争いの場
決して寄り添い 語り合う場ではありません

明らかな悪意や
認められないような杜撰な診療から
患者さんを傷つけたなら
当然それは罰を受けるべきだと思います

でも少なからざる医療裁判の中では
医学的に判断して罰に値するものか否かと
原告の心情への配慮がごちゃ混ぜになっているように感じます

医学的にどう見ても不可抗力であろうと思われるものに対し
なぜ刑事罰を受けなければならないのでしょうか
なぜ善意の医療者が葬り去られるような扱いをされないといけないのでしょうか

日々の診療をこつこつとやってきた
全国の多くの医師が
この福島大野病院事件を契機として
徐々にその問題の大きさに気付いてきました

2年前の今日 2月18日は
福島大野病院事件で
地方の中核病院の産婦人科をたった一人で支えていた医師が
いきなり逮捕された日です
その前日も診療を行っており
逃亡や証拠隠滅の危険などまるでない医師の自由をいきなり奪う
明らかに不当逮捕だと思います

もしこの事件でこの医師に有罪判決が出るようになれば
さらに多くの勤務医が
現場を離れていくことになるでしょうし
去らない場合でも
危険な医療行為を避けるようになると思います

それは現在の日本の医療レベルをぐっと下げることを意味します

医師の利益を守るためではありません
医療の質を守るために
この裁判の行方を
皆さんにもしっかり注目して頂きたいと思っています