Dr. 鼻メガネの 「健康で行こう!」

ダンディー爺さんを目指して 日々を生き抜く
ダンジーブログ

手当て

2008-02-25 | 医療・病気・いのち
坐骨神経痛がひどいMさん
整形外科に入院し安静を命じられている
私もMさんに外科として関わりがあったので
ちょくちょく部屋を覗くようにしている

覗いたところでほとんど雑談しかしていないのだが
先日なんとなく足の三里少しだけ押してあげた
すると後日
「あれで膝の痛みが楽になった。来るたびに押して。」
などといわれてしまった

足の三里というのは膝痛のツボ?
と疑問に感じつつも調子いいというのだからまあいいか
てな具合で押している

ひょっとしたらつぼが効いたわけでなく
手を当てることがよかったのかもしれないが
経絡の不可思議さは私のわかる範疇ではない

しかしまあ触ってみるものですね
理由は分からないが 手当て にはなったのかもしれない
そういえばMさんは
「整形の先生は、大丈夫、大丈夫、と言うだけで、触りもしない。」
とぼやいていた

薬剤性肝障害

2008-02-25 | 医療・病気・いのち
早期胃癌に対して腹腔鏡下幽門側胃切除を行い
術後3ヶ月ごとに外来受診をしていただいているKさん
食事摂取量は術前と変わらず
大好きなワインも少量ずつたしなまれている

ある日の採血で
それまでいつも正常だった肝細胞の障害を示す酵素が
急に異常高値を示した
お話を聞くと受診数日前に奥さんが風邪を引き市販の風邪薬を飲んださい
自分もちょっと風邪気味だと感じたので
同じ薬を服用したとのこと

受診時には全身状態はよく
発熱や黄疸も認めず
エコー上も異常が無かったので
念のためにお酒をやめ 風邪薬も決して飲まないようにした上で
すこし様子を見ることとした

可能性として
風邪症状を引き起こしたウィルスによる肝障害
アルコールによる肝障害
などもあげられるが
風邪薬による薬剤性肝障害の可能性が最も高いことをお話し
少し経ってから血液検査を再検した

全くの正常値に復していた

やはり薬剤性肝障害だったと思われる
風邪を引くと
気軽に風邪薬を求めて服用する人が多いと思いますが
その中によく含まれているアセトアミノフェンという解熱鎮痛剤は
薬剤性肝障害を起こすことがある化学物質です

みなさんお薬を飲んだときには
自分の体に不都合がないか
気をつけてください
そして必要以上のお薬は服用しないでくださいね

ところで風邪薬を飲んだからと言って ほとんどの人にはおきない障害も
人によって起こることがある点から
医療の不確実性の一端がわかる

同じような病気に対する同じような治療が
同じような結果をもたらすとは限らないのです
裁判判決の中にはその不確実性から目をそらし
確実なものとして語られるものがありますが
それらはまさに机上の空論でしかありません
そんな空論で裁かれるなんてたまったものではないと思います