北京オリンピックの大かがり火点火用のたいまつ世界巡回リレー中、ロンドンやパリでチベット弾圧抗議を理由とする妨害にあった。その経験から、アメリカのサンフランシスコは9日、公表していたトーチのリレー・ルートをひそかに変更した。炬火をいったん倉庫に隠したあと、こっそり車で市内の別の場所に運び、そこから内密のルートを走らせたあげく、さっさとその火を次のブエノスアイレスに送り出したそうだ。ま、厄介払い。
オリンピックの炬火リレーが妨害にあった場合も、もし妨害を阻止しようとして死傷者が出た場合も、責任を問われるのは警備する方の側だ。これはたまらん。「たかが“火遊び”じゃねえか。誰も傷つかないようにこっそりとすませるのが極意ってものよ」。はは、その気持、わかるね。
サンフランシスコではこれといった乱闘もおきず、トーチが奪われることもなかった。北京もサンフランシスコも、それにアメリカに行く途中、成田で休憩したダライ・ラマも、これでよかった、と思ったのかな?
オリンピックの火を世界中に巡回させるのは、世界一周の記録を樹立するためではないだろう。もしそうだったら、世界一周クルーズの豪華客船特別室にたいまつを乗せるか、聖火を積んだ人工衛星を中国が打ち上げて地球周回軌道を回らせたあと回収すればよい。
たいまつをできるだけ大勢の人に見てもらうのが開催国の誇りであり見栄である。
ということになると、はたして今回のサンフランシスコのかくれ聖火リレーは、北京にとって親切な行為だったのだろうか? それとも嫌味な行為だったのだろうか?
<続報>
12日の朝日新聞朝刊によると、マレーシアでのリレー(21日予定)とインドネシアのリレー(22日予定)について、中国側がコースの非公表や短縮を両国の五輪委員会に求めたという。中国の切歯扼腕、挫折感は察して余りある。
五輪の聖火リレーは1936年のベルリン大会から始まった。ヒトラーのナチス・ドイツの国威発揚・宣伝戦術だった。まもなく第2次世界大戦が勃発すると、ヒトラーのドイツ軍は聖火リレーのルートをたどって欧州を南下し、ギリシャに攻め込んだ。
(2008.4.10 花崎泰雄)
オリンピックの炬火リレーが妨害にあった場合も、もし妨害を阻止しようとして死傷者が出た場合も、責任を問われるのは警備する方の側だ。これはたまらん。「たかが“火遊び”じゃねえか。誰も傷つかないようにこっそりとすませるのが極意ってものよ」。はは、その気持、わかるね。
サンフランシスコではこれといった乱闘もおきず、トーチが奪われることもなかった。北京もサンフランシスコも、それにアメリカに行く途中、成田で休憩したダライ・ラマも、これでよかった、と思ったのかな?
オリンピックの火を世界中に巡回させるのは、世界一周の記録を樹立するためではないだろう。もしそうだったら、世界一周クルーズの豪華客船特別室にたいまつを乗せるか、聖火を積んだ人工衛星を中国が打ち上げて地球周回軌道を回らせたあと回収すればよい。
たいまつをできるだけ大勢の人に見てもらうのが開催国の誇りであり見栄である。
ということになると、はたして今回のサンフランシスコのかくれ聖火リレーは、北京にとって親切な行為だったのだろうか? それとも嫌味な行為だったのだろうか?
<続報>
12日の朝日新聞朝刊によると、マレーシアでのリレー(21日予定)とインドネシアのリレー(22日予定)について、中国側がコースの非公表や短縮を両国の五輪委員会に求めたという。中国の切歯扼腕、挫折感は察して余りある。
五輪の聖火リレーは1936年のベルリン大会から始まった。ヒトラーのナチス・ドイツの国威発揚・宣伝戦術だった。まもなく第2次世界大戦が勃発すると、ヒトラーのドイツ軍は聖火リレーのルートをたどって欧州を南下し、ギリシャに攻め込んだ。
(2008.4.10 花崎泰雄)