押さば押せ引かば押せとの大相撲ここで負ければあとは引退
1月18日の通常国会開会を前に、民主党幹事長小沢一郎対検察の大相撲が、千代大海引退などもあった国技館の大相撲初場所を食ってしまいそうな勢いだ。政治資金を業界から集金する政界の大物と、その集金に関わる不正を追及する検察の対決は、いまは斜陽の土建国家日本が躍動していたころから、長らくの国技の一つとされてきた。
田中角栄、金丸信らに育てられて、田中・金丸タイプの政治文化を身につけた小沢は、田中角栄や金丸信が賄賂としての政治資金の入手法を検察に追及され、彼らの晩節にドロを塗ることになった経緯を自民党派閥のムラ社会内部から見てきた。検察という国家権力に痛い目にあわされる政治権力の中核にある政治家の非業の政治的死を目の当たりにしてきた。田中らの薫陶を受けた小沢にしてみれば、何らかの感慨あって当然である。検察にしてみれば一連の田中派金脈捜査の仕上げでもある。伝統の一戦だ。
田中角栄流の政治資金集金術を学んだ現存する政治家では最後の大物現役・小沢一郎を、検察がターゲットにしたというのも、ま、日本人好みの因果話の趣があって、さらに検察・小沢の取り組みを面白くする。
2010年1月13日には、東京地検特捜部が東京都港区の陸山会の事務所やゼネコン・鹿島本社などを家宅捜索した。小沢の資金管理団体・陸山会が取得した東京・世田谷の購入資金4億円の解明のための強制捜査だ。
鳩山首相は当時民主党代表だった小沢の政策秘書が2009年春に西松建設違法献金事件をめぐって逮捕されたとき、「国策捜査」と発言、検察を非難した。
だが、今回は「「検察が判断をして、こういう行動に出たということでありますから、私の方から今、このような事態になって、コメントする立場ではありません。コメントは差し控えます」と記者団に語った。
国策捜査発言について後に「反省を持っている」と訂正発言をせざるをえなかった経験からか、それとも、今回は前回と違って深刻であると認識しているせいなのか、発言がいたって慎重だ。
そういうわけで、18日の国会開会が待たれる。
それと、1月10日付の産経新聞が報じていたことだが、小沢が党首をつとめていた新生党と自由党が、それぞれ1994年と2003年に解散した際、この二つの党の政治資金残金の大半計約22億8千万円が小沢の関連政治団体に移されたという。
産経新聞の解説によると、22億8千万円には公金である政党助成金と立法事務費が8億8千万円含まれている。だが、この公金については、政党解散時の返還義務はないそうなのだ。政党助成法では「政党が解散した場合、総務大臣が残金を返還するよう命じることができる」と規定されているが、返還が命じられなければ返す必要はない。返還命令に従わなくても罰則がなく、罪に問われることはない。
産経新聞は、「ザル法とも言われる政党助成法が、細川連立政権時の1994年に議員立法として成立した際の中心が小沢氏だった。自民・公明両党は2009年4月に、解散を決めた政党がそれまでに受け取った政党助成金を他の政治団体に寄付する行為を禁止する同法改正案を衆院に提出した。民主党の反対の中、改正案は衆院で可決されたが、7月の解散に伴って廃案。民主政権で『法の抜け穴』は残ったままだ」と書いている。
そういうわけで、検察と野党のふんばりで、18日からの国会で、永田町の伝統芸の見せ場が盛りあがることになるだろう
(2010.1.13 花崎泰雄)
1月18日の通常国会開会を前に、民主党幹事長小沢一郎対検察の大相撲が、千代大海引退などもあった国技館の大相撲初場所を食ってしまいそうな勢いだ。政治資金を業界から集金する政界の大物と、その集金に関わる不正を追及する検察の対決は、いまは斜陽の土建国家日本が躍動していたころから、長らくの国技の一つとされてきた。
田中角栄、金丸信らに育てられて、田中・金丸タイプの政治文化を身につけた小沢は、田中角栄や金丸信が賄賂としての政治資金の入手法を検察に追及され、彼らの晩節にドロを塗ることになった経緯を自民党派閥のムラ社会内部から見てきた。検察という国家権力に痛い目にあわされる政治権力の中核にある政治家の非業の政治的死を目の当たりにしてきた。田中らの薫陶を受けた小沢にしてみれば、何らかの感慨あって当然である。検察にしてみれば一連の田中派金脈捜査の仕上げでもある。伝統の一戦だ。
田中角栄流の政治資金集金術を学んだ現存する政治家では最後の大物現役・小沢一郎を、検察がターゲットにしたというのも、ま、日本人好みの因果話の趣があって、さらに検察・小沢の取り組みを面白くする。
2010年1月13日には、東京地検特捜部が東京都港区の陸山会の事務所やゼネコン・鹿島本社などを家宅捜索した。小沢の資金管理団体・陸山会が取得した東京・世田谷の購入資金4億円の解明のための強制捜査だ。
鳩山首相は当時民主党代表だった小沢の政策秘書が2009年春に西松建設違法献金事件をめぐって逮捕されたとき、「国策捜査」と発言、検察を非難した。
だが、今回は「「検察が判断をして、こういう行動に出たということでありますから、私の方から今、このような事態になって、コメントする立場ではありません。コメントは差し控えます」と記者団に語った。
国策捜査発言について後に「反省を持っている」と訂正発言をせざるをえなかった経験からか、それとも、今回は前回と違って深刻であると認識しているせいなのか、発言がいたって慎重だ。
そういうわけで、18日の国会開会が待たれる。
それと、1月10日付の産経新聞が報じていたことだが、小沢が党首をつとめていた新生党と自由党が、それぞれ1994年と2003年に解散した際、この二つの党の政治資金残金の大半計約22億8千万円が小沢の関連政治団体に移されたという。
産経新聞の解説によると、22億8千万円には公金である政党助成金と立法事務費が8億8千万円含まれている。だが、この公金については、政党解散時の返還義務はないそうなのだ。政党助成法では「政党が解散した場合、総務大臣が残金を返還するよう命じることができる」と規定されているが、返還が命じられなければ返す必要はない。返還命令に従わなくても罰則がなく、罪に問われることはない。
産経新聞は、「ザル法とも言われる政党助成法が、細川連立政権時の1994年に議員立法として成立した際の中心が小沢氏だった。自民・公明両党は2009年4月に、解散を決めた政党がそれまでに受け取った政党助成金を他の政治団体に寄付する行為を禁止する同法改正案を衆院に提出した。民主党の反対の中、改正案は衆院で可決されたが、7月の解散に伴って廃案。民主政権で『法の抜け穴』は残ったままだ」と書いている。
そういうわけで、検察と野党のふんばりで、18日からの国会で、永田町の伝統芸の見せ場が盛りあがることになるだろう
(2010.1.13 花崎泰雄)