クライストチャーチの2つのモスクで、白人による反移民・反イスラム主義者による銃撃で大勢のイスラム教徒の移民が殺された。人種間,宗教間の憎しみが平和なニュージーランドにまで及んだことに驚く。
アーダーン・ニュージーランド首相が黒いヘッドスカーフ、つまりイスラムのヘジャブを被り、黒の喪服姿で、被害者の家族やイスラム教徒のコミュニティーのメンバーを弔問に訪れた。日本のテレビもこの映像を流した。
アーダーン首相の黒いヘジャブには2つの意味がある。1つはイスラム教徒のコミュニティーに対する弔問である。ローター通信によると、被害者の親族が首相のヘジャブに大きな慰めを感じたと語った。
と同時に、白人至上主義者や反イスラム主義者によるテロリズムを、ニュージーランドでは2度と起こさせないという決意表明である。
トランプ米大統領がエルサレムの嘆きの壁で被ったユダヤの小さな帽子・ヤムルカや、安倍・日本首相がリオデジャネイロで着て見せたスーパーマリオのぬいぐるみなどとは全く違う真摯な政治的演出なのである。
(2019.3.18 花崎泰雄)