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news commentary

Going Home

2019-07-16 23:12:15 | 国際

ドボルザークの交響曲第9番『新世界より』は、彼が滞米中に作曲した作品である。有名な第2楽章は、日本では「家路」、アメリカでは ‘Going Home’ として知られている。アメリカでは多くのジャズ演奏家がこの曲のモチーフでジャズを演奏している。筆者も交響曲としてよりも、ジャズとして聞いたことが多い。

トランプ米大統領が政権を批判するアフリカ系などの連邦議員に、それなら「国に帰ってはどうか」と言った。

第2次世界大戦後にアメリカに移住してきたアジアやラテン・アメリカ系アメリカ人が、大統領の人種差別的言動に「もう、やってられないや」と祖先の地に帰って行った。

東ヨーロッパや南ヨーロッパから19紀末から第2次世界大戦の時代にかけてアメリカにやってきた人々の子孫が、その様子を見て、どうせ次は私たちが標的にされる、とアメリカを見捨てて、祖先の地やその他の優しくて上品な国へ移っていった。

やや、これは日本を上回る人口減だ、と19世紀にアメリカにわたってきたドイツやスカンジナビアの血を引く人々が、今の合衆国よりはよほどまともなドイツやスカンジナビア諸国に帰って行った。

このあと、17世紀から18世紀にかけてアメリカにやってきた最初の移住者のグループであるイギリス系、アイルランド系、オランダ系の末裔が、人口がスカスカになって、ニューヨークの5番街までがシャッター通りになってしまったのを機に、合衆国から出て行った。

先住民とアフリカから奴隷として連れてこられた人々の子孫が残った。「われらが新世界に万歳」と彼らは叫んだ。

(2019.7.16 花崎泰雄)

 

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