さきごろ開かれたG7で東京オリンピック・パラリンピック競技大会開催への賛同が得られた。
2021年G7の共同声明の最後の部分に書き加えられた、
「新型コロナウイルスに打ち勝つ世界の団結の象徴として、安全・安心な形で2020年東京オリンピック・パラリンピック競技大会を開催することに対する我々の支持を改めて表明する」
“we......reiterate our support for the holding of the Olympic and Paralympic Games Tokyo 2020 in a safe and secure manner as a symbol of global unity in overcoming COVID-19.
との文言を手土産に日本国首相・菅義偉氏が帰国した。これをお墨付きのように掲げて同氏は五輪開催にまい進するのであろう。
だが、新聞記事をきちんと読めば次の点は明らかである。
G7に集まったリーダーたちは、東京オリンピックがつつがなく開催できると、科学的データに基づいて言っているわけではない。彼らが支持したのは「安全・安心な形で2020年東京オリンピック・パラリンピック競技大会を開催すること」である。日本国政府はいかにして安心・安全を確保するか、その方策が明示してこなかった。先の国会ではあなたの言う安心・安全の根拠を示せと野党が首相に寄ったが、菅氏は明瞭な返事を避けた。
G7のリーダーたちも、新型コロナウイルス蔓延下の日本で、安心・安全な大会が開けるかどうかは、菅氏と同様、確信が持てないだろう。ただ、G7の政治家たちは、日本に住んでいない。
コロナ下のオリンピック、よろしければ――proceed at your own risk. そういうことなのだ。仮定の話だが、例えば今回のコロナ下で、日本ではなくG7のどこかの国が安心・安全なオリンピックを開催したいと言い出した場面を想像してみよう。日本国首相・菅義偉氏は万一に備えて慎重なご判断を、とは言わないだろう。菅氏はその国に住んでいないのだから。
(2021.6.15 花崎泰雄)