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news commentary

hasta la vista baby

2022-10-22 23:35:13 | 政治

ボリス・ジョンソン氏が「あばよ」と議会で叫び、英国首相・保守党党首をやめた。その後任のポストを獲得したばかりのメアリ・エリザベス・トラス氏が党首と首相の椅子から転がり落ちた。背景にあるのが経済不振。その後任の決定に、ジョンソン氏が取りざたされるという笑劇が世界の笑いを誘っている。

ウクライナとの戦争で泥沼に足をとられているロシアのプーチン氏は、兵士の訓練現場で射撃をして見せた。中国の習近平氏は周辺を忠臣たちに守られ3期目の中国共産党総書記・国家主席になろうとしている。毛沢東氏と並ぶ権威の獲得を急いでいる。

円安・物価高騰・低賃金・旧統一教会問題と嵐に見舞われている日本の岸田首相は今のところまだ辞任のそぶりを見せていない。安倍晋三・黒田東彦両氏が組んだアベノミクスの最終成果が1ドル=150円の為替相場である。日本の経済力の国際的なランキングは下降する一方で、教育研究の水準も伸びず、女性の社会進出、メディアの自由度も国際的指標からみると低迷あるいは低下している。

能天気なわたしも最近は寝つきが悪くなった。眠気を誘うために寝床で本を読む。このところは『イーリアス』。読んでいるうちに確実に眠気がやってくる。

昨夜はふと手にした桑原武夫『第二芸術』所収の「短歌の運命」。「第2芸術」で俳句と俳句作家の「思想的社会的無自覚」をからかったのと同じ手法で、短歌と短歌作家を揶揄した論文である。

その「短歌の運命」の中で、桑原氏が心を動かされたと紹介した歌の一つが、

 消(つい)えゆく国のすがたのかなしさを現目(まさめ)に見れど死にがたきかも

                         (釈迢空

老衰期に入って干からび始めているような感じさえしてくるこのところの日本の姿を想起させるが、短歌としての出来はどうだろうか。朝日新聞の西木空人選の『朝日川柳』レベルのギャグにとどまっているように私は思う。

米国のオバマ政権で国務長官を務めたジョン・ケリー氏が、トランプ氏のツイッター趣味を評して「ホワイトハウスで考えることは、ツイッターに許された語数では説明できない」と言ったことがある。

(2022.10.22 花崎泰雄)

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