昨日に続いて、山口恵以子の作品を読んでみました。
実は、2冊まとめて購入していたのです。
これまた175cmを越すマッチョな美人である海堂桃子がヒロインです。イングリッド・バーグマン似で40歳ちょっとの金融業社長です。
しかしヒロインという単語は、この小説では不適切で、主人公と呼ぶべきでしょう。
狂言回し的な役柄を担う希(ノゾミ)は、25歳のパッとしない青年で、職業はオバチャン達相手のデリヘルホストです。
桃子という名前が自分に似合わないことを自覚している主人公は、希にそれを隠します。
そこで希はイングリッドを略して、主人公のことを胸の内では、”イングリ”と呼びます。
昨日は気づきませんでしたが、山口恵以子は推理小説作家なのですね。
月下上海でもトリックらしきものは出てきましたが、余りにもベタなものでしたので記憶に残りませんでした。
しかし、そうでなければ松本清張賞を受賞するはずも有りませんよね。
”イングリ”は7つの章にに分かれていて、いかにも連続テレビドラマ化されやすいような体裁です。
ストーリーや事件は、どれも現実離れしていて、推理小説というよりも、ファンタジー、お伽噺のようです。
もっと意地悪に評するならば、”少女漫画レベル”でしょうか。
推理小説のキモであるトリックも、どれ一つとして印象的なものは有りませんでした。
山口恵以子......もう、お腹いっぱいです。もういい.......
あとがきでは、この作品は、著者が更年期鬱でのスランプから脱出するきっかけになったことを以下のように述べています。
書きながら、調子の良かったときの感覚が蘇ってくる感じ、キャラクターが作者の予想を裏切って活躍を始める展開に、
喜びに震えたことをよく覚えています、
私は20歳の時に、倉橋由美子の、”わたしのなかのかれへ全エッセー集”を読みました。
言葉が言葉を繁殖すると称した、内容も、面白さも全く無い、ひどい作品でした。
なぜか、そのことを思い出してしまいました。
最近、名前を聞かないので検索してみると、倉橋由美子氏は2005年に69歳で死亡されていました。