こころの文庫(つねじいさんのエッ!日記)

家族を愛してやまぬ平凡な「おじいちゃん」が味わう日々の幸せライフを綴ってみました。

再会

2019年02月19日 00時40分47秒 | Weblog
小学校からの帰り道、
いつも友達は私の話に耳を傾けた。
勉強は苦手だったが、
図書室で本にかじり付いていた私。
いつしか即興で話をつくるようになった。
家に帰り着くまで四十分近く、
夢中で語っていた。
「お前のお話、
面白いなあ。
明日も楽しみや」
 別れ際に必ずそういった友達。
のちに東大に進学した優秀な彼と、
程ほどの成績しか取れなかった私。
釣り合わない二人をつないだのは、
思いつくまま語る
私のお話だったのだ。
 高校に入る頃には、
二人の接点は全く無くなった。
当時の国鉄に入り、
順調に出世した彼と、
調理師で
仕事を転々とした私との格差は、
高校時代から歴然たるものとなった。
 先日、
村の寄り合いで、
六十年ぶりに会った彼。
引退して帰郷、
村入りを果たしていた。
彼はすぐに私を見つけて
相好を崩した。
「忘れてへんで。
お前の話
面白かったやんか」
 お互い白髪と皺が目立った。
年を食って
また友達になれたと、
不覚にも目が潤んだ。
 
コメント
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