「父親のあとを継ぐ息子で。いいよな」
思わず呟いてしまった。
ニュース画面の伝統木工品を作る親子の作業風景に、
ついジェラシーを覚えたのである。
「継がせられる程御大層な仕事やってた?」
妻の皮肉。口惜しいが反論できない.
思い返せば、本屋の店員、コック、
喫茶店でバーテンにマネージャーを経て独立、
喫茶店オーナーになったが十年で閉店。
あとは木工会社、2×4工法の大工見習。
その後、調理の世界に戻り弁当製造工場で定年を迎えた。
最後はスーパーのパートと変化に富むが、
とても自慢できたものじゃない
こんなザマで「親のあとを継げ」とは、
口あんぐりな反応を受けて当然なのだ。
「でもさあ。うちの子供ら、
ちゃんと親と同じ道を歩んでるよ。
幸せに思わなきゃ」
そうだった。息子は居酒屋の店長、
父親の調理師とは異なるが、
同じ外食産業の一員なのは間違いない。
そう解釈を成り立たせた。
「何やかや言っても、
子供って親の生きざま見せつけられて
育ってるんだからね」
悟りきった口調の妻。
そりゃそうだよな。
長女は介護福祉士、
次女は保育士で、
保育士をしながら
ボランティアにもいそしんだ母親のあとを、
しっかりと継いでいるのだから
妻のどや顔も不思議ではない。
「大局的に考えれば、
父親の仕事をなぞってくれてるんだ。
やっぱり俺の息子なんだな」
自分を納得させても、
複雑な心境のままだ
思わず呟いてしまった。
ニュース画面の伝統木工品を作る親子の作業風景に、
ついジェラシーを覚えたのである。
「継がせられる程御大層な仕事やってた?」
妻の皮肉。口惜しいが反論できない.
思い返せば、本屋の店員、コック、
喫茶店でバーテンにマネージャーを経て独立、
喫茶店オーナーになったが十年で閉店。
あとは木工会社、2×4工法の大工見習。
その後、調理の世界に戻り弁当製造工場で定年を迎えた。
最後はスーパーのパートと変化に富むが、
とても自慢できたものじゃない
こんなザマで「親のあとを継げ」とは、
口あんぐりな反応を受けて当然なのだ。
「でもさあ。うちの子供ら、
ちゃんと親と同じ道を歩んでるよ。
幸せに思わなきゃ」
そうだった。息子は居酒屋の店長、
父親の調理師とは異なるが、
同じ外食産業の一員なのは間違いない。
そう解釈を成り立たせた。
「何やかや言っても、
子供って親の生きざま見せつけられて
育ってるんだからね」
悟りきった口調の妻。
そりゃそうだよな。
長女は介護福祉士、
次女は保育士で、
保育士をしながら
ボランティアにもいそしんだ母親のあとを、
しっかりと継いでいるのだから
妻のどや顔も不思議ではない。
「大局的に考えれば、
父親の仕事をなぞってくれてるんだ。
やっぱり俺の息子なんだな」
自分を納得させても、
複雑な心境のままだ