こころの文庫(つねじいさんのエッ!日記)

家族を愛してやまぬ平凡な「おじいちゃん」が味わう日々の幸せライフを綴ってみました。

あの味

2019年05月22日 00時19分23秒 | Weblog
「腹ペコペコやー!なんか食うもんないん?」
 小学校から帰ると、いつもそう訴えた。
 貧しい時代で、
子供のおやつといえば
サツマイモをふかしたものが代表的だった。
ただし子供が空腹を訴えても、
すぐふかしイモが用意できるわけはなかった。
そんな時、
「これでも食べとき」と、
母が手早く用意してくれたのは、オニギリ。
これが実に美味かったのだ!
かまどで炊きあげたご飯の残りだが、
これがタダモノじゃなかった。
お釜の底に焦げ付いたご飯を
こそげたものを握ってあった。
おこげに母の効かせた塩味は、
これまた絶妙だった。
あれは腹を空かせた我が子を思う母の愛情が、
隠し味になっていたのだろう。
最近炊飯器が壊れて、
フライパンでご飯を炊き始めた。
炊く時間を延ばせば、おこげができる。
それでオニギリを作ってみたが、
何度握っても、
記憶に残るオニギリの味は再現しなかった。
コメント
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