こころの文庫(つねじいさんのエッ!日記)

家族を愛してやまぬ平凡な「おじいちゃん」が味わう日々の幸せライフを綴ってみました。

ひとりぐらし

2015年07月14日 17時55分57秒 | 文芸
 43年前、職住接近に踏み切る。毎朝6時起き通勤に寝坊の私は遂に悲鳴を上げた。
 さてアパートが見つかるといの一番に買ったのは洗濯機。それも中古を安く譲って貰った。仕事はコック、食事は職場か外食でまかなうので、調理器具は必要なかったし、掃除はほうきとチリ取りの時代だった。
 届いた一槽の洗濯機は輝いていた。自分が手にした初めての電化製品である。設置した日は興奮して眠れなかった。何度も洗濯機を見に行った。消えてしまわないか心配だった。
 初洗濯は一週間後。ためといた洗濯物をいっぺんに放り込んで、水を注ぎ入れ、洗剤をパラパラと散らした。適量が分からないのでかなりいい加減だった。
 ダイヤルスイッチをひねると、「グァーッ!」と水がうねった。洗剤の泡が洗濯槽をあふれんばかりいっぱいになった。「グァー、グァー」とモーター音。泡だらけの水の渦巻きに見入った。いつ止めたらいいのか分からなかった。

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