こころの文庫(つねじいさんのエッ!日記)

家族を愛してやまぬ平凡な「おじいちゃん」が味わう日々の幸せライフを綴ってみました。

便利さの代償に捨てたもの

2015年07月14日 18時51分57秒 | 文芸
便利さの代償に捨てたもの

 所用で渡った家島で、島の人の運転する軽4に同乗させて貰って驚いたのが、車1台が通るのにやっとの狭い道。そこを警戒に走り抜けられるのは、さすが島の住人である。
 そしてさらにびっくりさせられたのが、その狭い道を車同士で鉢合わせしたときの、ごく自然な譲り合い。何とも温かい人と人の関わり合いを、久しぶりに見た思いだった。
 わたしの住む町ではそうはいかない。ちゃんと2車線ある道路でさえ不法駐車の車でふさがれ、残った1車線を双方から突っ込みあい、あわや事故寸前になったりする。とにかく先に突っ込んだ方が勝ちとばかりに、ゆるめなければならないはずのスピードは逆に加速される始末。歩行者や自転車なんか警笛で脅され押しのけられる。もう命がけである。
 不便な道路事情の島に思いやりが見られ、便利この上ない街には、母屋りのカケラすらないなんて、全くやりきれない思いがしてしまう。
 どうやら、人間が豊かさや便利さを得るということは、人間的な優しさや思いやりを捨てることにつながっているのかも知れない。だとすれば、こんな悲しいことはないではないか。
 世界を代表する豊かな国に住むわたしたちは今、人間性の復活を真剣に考える必要があるのでは。
(神戸・1990・8・12掲載)


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