老い生いの詩

老いを生きて往く。老いの行く先は哀しみであり、それは生きる物の運命である。蜉蝣の如く静に死を受け容れて行く。

360;「寝たきり状態」からの挑戦 ①

2017-09-03 08:18:21 | 老いの光影
「寝たきり状態」からの挑戦 ① 

90の齢を超えた堀川清子さん
今年の夏 食欲不振から体調を崩し
8月4日に床に臥し、寝たきりの生活が続いた
ラシックス(利尿剤)も服用されていた
8月14日清子さんは
吐き気がし気分がすぐれなかった
長男はかかりつけ医を呼び
(同敷地内別棟に長男夫婦が暮らしている)
点滴を行うも うまく入らなかった
歩くこともできず自家用車に乗せることもできないため
救急車を呼び南陸奥総合病院に搬送
脱水症の診断を受け入院となった
医師からは1、2週間程度の入院加療が必要と言われた
入院中せん妄状態もあらわれた
長く入院していると認知症が進むことを心配した長男は
主治医に退院し家に連れて帰りたいと話され
8月18日に退院、清子さんは自宅に帰った

要支援2の認定を受けていた清子さんは
歩けなくなり床に伏した状態になり
長男は市地域包括支援センターの担当ケアマネジャーに相談。

市地域包括支援センターのケアマネジャーから
ケース担当の依頼電話が入り
受け入れすることとなった。
その日の18時30分に在宅訪問し
清子さんと長男夫婦と面談を行ない
介護相談がスタートした

白髪の清子さんは
お粥を食べても吐き気があり
気落ちしていた
幸い話好きであり 
スムーズに会話ができホッとした
介護ベッドに寝ていて
お尻を持ち上げれるかどうか
声かけしたところ
ひょいとお尻を上げることができた
まだ床に伏してから2週間
1日も早く離床させないと
歩けなくなり寝たきりになってしまうのでは、と。
清子さんに「自分でお尻が上げることができるので、歩くことができるから一緒に歩けるよう頑張ろうね」と声をかけた。


要介護認定区分変更申請は、地域包括支援センターの担当ケアマネジャーにお願いした
要介護認定されることは間違いないことから
区分変更認定結果が出る前に
介護サービスの見直しを開始した

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359;上手な介護サービスの活用処方 第7話「認定調査の項目」⑤

2017-09-03 07:43:49 | 上手な介護サービスの活用処方
 上手な介護サービスの活用処方 第7話「認定調査の項目」⑤

今回から調査項目は「第2群 生活機能」となり
介助の実態を調査します
12項目あります


2-1 移乗(介助の方法)

1.介助されていない
2.見守り等
3.一部介助
4.全介助

ここでいう「移乗」とは、「ベッドから車いす(いす)へ」「ベッドからポータブルトイレへ」「車いすからいすへ」「車いすから洋式便器へ」「畳からポータブルトイレへ」等
臀部(お尻)を移動させ、いす等へ乗り移ることを意味する


1.「移乗」の介助が行われていない。つまり介助なしで「移乗」ができる
2.「見守り等」とは、常時の付き添いが必要である。
認知症高齢者等の場合に必要な行為の「確認」「指示」「声掛け」等のことも含む
移乗する際、介護者が本院の身体に直接触れず、安全に乗り移れるよう、動作に併せて車いすをお尻の下に差し入れている場合をいう

3.自力では「移乗」できないために、介護者手を添える、体を支える等の「移乗」行為の一部に介助が行われている場合をいう
4.自力では「移乗」できないために、介護者が抱える等の「移乗」介助の全てが行われている場合をいう
寝たきり状態などで体位交換の際に臀部を動かす行為も「全介助」になる

2-2 移動(介助の方法)

1.介助されていない
2.見守り等
3.一部介助
4.全介助

ここでいう「移動」とは、日常生活において、食事や排せつ、入浴等で、必要な場所への移動にあたって、見守りや介助が行われているかどうか

1.「移動」の介助が行われていない
2.「見守り等」とは、常時の付き添いが必要である。
認知症高齢者等の場合に必要な行為の「確認」「指示」「声掛け」等のことも含む

3.自力では必要な場所への「移動」ができないため、介護者が手を添える、体幹を支える、段差で車いすを押す等の「移動」行為の一部に介助が行われている場合をいう
4.自力では必要な場所への「移動」ができないため、「移動」行為の全てに介助が行われている

補装具や歩行器等を使用している場合は、使用している状況で選択する。歩行器を使い自力で歩行できる場合は、「介助されていない」を選択する。

2-3 えんげ(能力)

1.できる
2.見守り等
3.できない

ここでいう「えん下」とは、食物を経口より摂る際の「えん下」(飲み込み)の能力を見る。本人や介護者からの聴き取りによる調査
1.えん下することに問題なく、自然に飲み込める
トロミをつけ、むせずに自然に飲み込みができている場合は「できる」を選択する
2.「できる」「できない」のいずれにも含まれない場合をいう。必ずしも見守りが行われている必要はない

曖昧なところがあり、判断に悩む
3.「えん下」ができない。
誤嚥(ごえん)の恐れがあるため、経管栄養(胃ろうも含む)や中心静脈栄養(IVH)等が行われている


食物が、固形物か、液体かどうか等、食物の形状(普通食、きざみ食、ミキサー食、流動食等)によって飲み込みの状況が異なる場合は、認定調査員に詳しく話されるとよいでしょう

2-4 食事摂取(介助の方法)

1.介助されていない
2.見守り等
3.一部介助
4.全介助

配膳後の食器から口に入れるまでの行為をいう
食事摂取の介助には、経管栄養の注入行為や中心静脈栄養も含まれる


1.「食事摂取」の介助が行われていない
2.「食事摂取」の介助が行われていないが、「見守り等」が行われている
ここでいう「見守り」とは、常時の付き添いが必要である見守りや、行為の「確認」「指示」「声かけ」「皿の置き換え」等のことである

3.食卓で食べ物を小さく切る、ほぐす、皮をむく、魚の骨をとる等食べやすくするための介助や、
スプーンに食べ物を乗せる介助が行われている

4.「食事摂取」の介助の全てが行われている場合をいう
経管栄養、中心静脈栄養は「全介助」を選択する


配膳、後片付け、食べこぼしの掃除は食事の介助には含まないが、食べこぼしが多く掃除をしていることなどは、認定調査員に話されるとよい
手間がかかり大変なことを理解して頂く

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358;“人生の短さ”と老人介護(4)

2017-09-03 04:52:13 | 文学からみた介護
“人生の短さ”と老人介護
 セネカ著、茂手木元蔵訳『人生の短さについて』岩波文庫

(4)

「自分が他人に尽くすように生まれたことを理解し、
またそのゆえに生みの親の自然に感謝をささげる、
といったふうに生きたい。
自然は他のどんな仕方で、
これ以上に立派に私の仕事を導いてくれることができたであろうか。
『自然は一人の私を万人に与え、万人を一人の私に与えた』
(セネカ『人生の短さについて』-「幸福な人生について」-岩波文庫 156~157頁)。

自分が生まれてきたこと、
今日まで生きてこられたことに感謝し、
「自分が他人に尽くすように」
私の仕事に対する想いと行動(介護実践)にかかっている。

セネカは最後に語る。
「髪が白いとか皺(しわ)が寄っているといっても、
その人が長く生きたと考える理由にはならない。
長く生きたのではなく、長く有ったにすぎない」(25頁)。

ルソーも『エミール』のなかで同じことを述べている。
人生は長さではなく、人生の中身が問われると。

人生は短い。
しかし、良く使えば人生は長い。

宴会と快楽に楽しんだ時間は束の間であったが、
玉手箱を開けたら白髪になってしまったほど
時間は過ぎ去っていた、
日本昔話浦島太郎を思い出した。
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