老い生いの詩

老いを生きて往く。老いの行く先は哀しみであり、それは生きる物の運命である。蜉蝣の如く静に死を受け容れて行く。

364;「寝たきり状態」からの挑戦 ②

2017-09-05 15:48:59 | 老いの光影
「寝たきり状態」からの挑戦 ②
30分間もベッドに坐れた


9月4日 8時50分に堀川清子さんを訪問
予想通り ベッドに寝ていた
3回目の在宅訪問
今日は本人がどのくらい体を動かせるのか
自分の眼で確かめ
それをもとに介護計画を考えていきたい

清子さんは退院後ず~とパジャマで過ごしてきた
本人も長男夫婦も
寝たままの状態にあることから「病人」だと思ってしまっている

私の顔は覚えてくれ
「いつもお世話かけます」と開口一番声をかけてくる。
社交的な清子さんなので
こちらも声かけやすい。


仰向けに寝ていた清子さんに
右側に寝返りをお願いした
両手でベッド柵につかまり寝返りは容易にできた

起き上がりはなかなかできない動作であり
彼女も途中まで起き上がれたので、
ちょっと背中に手を当て押し上げることにより「でき」、ベッドの端に坐った《端坐位という》

端坐位になると人間の顔は元気になる
病室や(介護用)ベッドに寝ているとき
顔の筋肉が弛み、精彩がなく病人に見えてしまう
こうして端坐位の状態になり
起き向かい合って話していると
顔の筋肉は引き締まり元気になってきた、と感じてくる


今日病院退院の日となると
朝食を終え、歯磨きの後
病衣またはパジャマから
入院前の服装に着替えると
気分的に元気になった(病気が恢復した)気持ちになってしまう
普通の生活に戻すことが
病気恢復の第一歩につながる
ベッドから起き、坐る生活に変えていくことが肝要なのだ

清子さんは
疲れることもなく
30分はあっという間に過ぎ端坐位でいることができた
次に介助バー(手すりの一種)につかまり
立ち上がるよう促した
スムースに立ち上がりは出来なかったが
どうにか自分の力でできた

これは繰り返すことで容易に立ち上がりはできるようになる
「凄い、自分の力で立てたじゃない」と褒めると
清子さんは恵比須顔
傍で見ていた長男嫁も手を叩いていた
清子さんと向き合い
私の両肩に手を乗せるようお願い
彼女は両肩に手を乗せ、つかまり立ちができた
つかまり立ちの姿勢で足踏みは、そう足が上がらずリズムも乱れていたけれど
不安定ながらも足踏みはできた


ベッドから車いす
車いすから車への乗り移りはでき
長時間の端坐位もできることから
はやく普通の生活に戻すには
来週からでもデイサービスに通うこと
そう判断した



363;小さな石

2017-09-05 00:38:24 | 老いびとの聲
川にも石が・・・・・

小さな石

小さな秋が訪れた
乾いた路に
小さな石が眠っている

子どものころ
けんけんぱ(石蹴り)をした
小さな石が懐かしい

蹴られた小さな石は
痛々しく転がされ 居場所を喪失した
小さな石が泣いている

夕陽に染まった
浅い川底に
小さな石が輝いている

庭園に何気なく置かれた小さな石
あなたがそこに居るだけで
花木が引き立ち
小さな捨石は景石と呼ばれる