家族と他人
自分の子どもの頃を思い出した。
自分には姉と妹がいる。
姉妹に文房具など大切にしているものを貸したがらなかった。
他人である同級生には、貸していたことがあった。
よく母から他人に貸せて、なぜ姉妹に貸せないのだ、と怒られたことがあった。
介護。
認知症になった他人の親とかかわり方は上手くいくのに、
自分の母が認知症になったとき、感情が先に出てしまい、
上手く関係がとれなかった。
急性肺炎で命を落としてから9年が過ぎた。
もっと優しい言葉をかけてやればよかった、と悔やんでいる。
息子としても人間としても「失格」であった。
最期、病室で母の見送りができたことが、せめてものの救いであった。
親の居るところに嫁ぎ、新婚生活スタート時点から舅姑と過ごし、
舅姑が要介護老人になった時の家族模様と
息子夫婦の家に認知症になった舅或は姑を呼び寄せ、同居したときの家族模様とは違い、
後者の家族模様の方が家族間の軋轢は大きい。
自分の母は関節リウマチを長年患い、物忘れも出てきた。
親を想う、親が老いていくほど親を想っている妻。
その妻も認知症になった義母に対しては、感情が入り乱れ、
自分に対し愚痴が多かった。
妻は実の母からは、義母の面倒をみる「それは妻のつとめ」だと言われていた。
自分自身、母と妻の板挟みの感じになり、妻の愚痴を聞きたくないがために、
認知症になった母に対し冷たい言動になってしまった。
他人には親切で身内には親切でない。
それは子どもの頃も9年前も変わらなかった自分。