是枝裕和『万引き家族』宝島社
初枝 治 信代 亜紀 祥太 ゆり(りん)の6人家族
6人は 血はつながっておらず他人の関係にある
本当の家族ではなく「疑似家族」
疑似家族だけれども
本当の家族以上に「親子」「夫婦」の絆は強かった。
6人それぞれは
この疑似家族で生活する前は、
寂しく孤独であり、幸せではなかった。
昨今における日本の家族とは何か、を問う内容であった。
万引きをすることで家族の生活を支えていた。
憲法第25条の健康で文化的な最低限度の生活にはほど遠かった。
6人の疑似家族の生活は決して豊かな生活ではなかったけれど
そこには家族のぬくもり(絆)があった。
実父から虐待を受けていた5歳のゆり
信代に強く抱きしめられる。
「好きなならね、こうするの」
信代はりんを強く抱きしめた。頬と頬がくっつくくらい、強く抱いた。
自分の頬をひと筋涙が伝わるのがわかった。
・・・・・・(略)・・・・・
この子を抱きしめ、こうして抱きしめられると、自分を形作っている細胞のひとつひとつが、
変質していくのを感じた。
(143頁~144頁)
素直に親に甘え「とうちゃん」「かあちゃん」と呼べずにいる虐待を受けている子どもたち。
初枝婆さんが亡くなった後も 疑似家族はATMから年金を引きだし
生活を支えていた。不正受給だと問題視されるが、本当の問題の根っこは何処にあるのか。
富める者と貧しい者の2極化が更に進む日本社会。
疑似家族から今日の家族問題が垣間見える。
まだ映画は見ていない。