老い生いの詩

老いを生きて往く。老いの行く先は哀しみであり、それは生きる物の運命である。蜉蝣の如く静に死を受け容れて行く。

1268; 化粧するあなたの姿

2019-11-03 15:02:54 | 老いの光影 第5章
化粧をするあなたの姿

化粧をする君の
その背中がとても
小さく見えて

イルカの『雨の物語』の一節
化粧をするあなたの後ろ姿
寂しさを感じる

女性にとり
化粧は命なのかもしれない
それ以上に自分を美しく魅せる


眠りについたご遺体
ふくみ綿を頬に入れ
ふくよかな顔に復元させ
最後の化粧を施す納棺師(おくりびと)

言葉をかければ
いまにも眼を開け返事が返ってくるのでは、と・・・・


お通夜の翌日は
薄日射す秋の朝


火葬場での釜の扉が閉まる音は冷たく響く
ほんとうにこれでサタおばちゃん(111歳)とお別れとなる
顔も躰も眼にすることもできない
白い煙となって青い空へ消えて逝く

こころのなかでは
「ありがとう」「おつかれさま」と、つぶやく



100歳近くまで結城紬の糸取りをしていた


1267; あなたは私のなかに生きている

2019-11-03 01:45:52 | メトロノーム
あなたは私のなかにl生きている

にんげん死んだら
時間が経つにつれ
忘れ去られてしまう
そのことが、死ぬよりも辛すぎる

すべてのにんげんが
あなたを忘れる訳ではない
悲しいとき 辛いとき せつないときなど
いまもう居ないあなたを思い出す

「偲ぶ」という文字は
「人(あなた)」と「思う」から成り立ち
あなたを思う、という意味をもつ

「あなたならどう思うか」「そのことについてどう話してくれるか」
また、ふとあなたの仕草や口癖を思い出すなど
あなたを偲ぶこともある

故人の命日、月命日或いはお盆や彼岸のときなど
仏壇や墓に向かいあなたを偲ぶ


ふと、あなたのことを思う瞬間
あなたはわたしの心のなかに生き還る