老い生いの詩

老いを生きて往く。老いの行く先は哀しみであり、それは生きる物の運命である。蜉蝣の如く静に死を受け容れて行く。

1297;雪二モ負ケズ

2019-11-29 05:04:26 | 阿呆者
雪二モ負ケズ

北風にも負けず
雪にも負けず
吹雪にも冬の寒さにも負けず
ジッと冬の寒さに耐え
春を待つ
人が訪ねて来ないときは
外套着の襟を立て
背中をまるめ炬燵で
微かな暖をとる
いつも汚れた硝子窓から
見慣れた景色を眺め
ひとり静かに生きている

東に風邪をひき高熱の老人がいれば
行って看病してやり
西にお腹空かした人あれば
行ってごはんをつくる
南にお風呂で溺れている人がいないか
心配になり行って声をかける
北に寒さで震えていないか
ストーブに灯油を入れる

みんなにぼけ老人と呼ばれ
火事にならないか、と
陰で言われても
苦にせず
朽ち汚れた家であっても
今日もここで
ひとり生きていく
ひとり死ぬことは怖くはないが
周りでは孤独死を
気にしている