早朝風景
1840 手につかまり歩く
老いて足元がふらつき転倒してしまうのではないかと
娘は老母の手首をつかみ足速に歩く
母親に比べ歩幅の小さい幼児は
歩幅が合わず走り歩きのようになり
阿吽の呼吸がとれず 躓き転んでしまい
路端にしゃがみ込み泣いてしまう
老母も同じく娘の足に追いついていけない
幼児と同じく「ゆっくり歩いて」、と訴えることもできない
手首をつかまれた人に合わせて歩かねばならない
老母が娘の手を握る
娘の足が速くなり、自分の足が追いついていかなくなり
転びそうになる前に、老母は娘の手を離す
歩行介助の主体者(主役)は誰か
(介護の主体者は誰か。利用者(老人)であると介護のテキストに書いてある)
老母や幼児が主体者
歩行の場合、手を握るのは老母である
介護者に手をつかまれ、転びそうになり「危ない」、と思っても
自分の身体を守ることができない
娘(介護者)先に歩いているので、後ろの状況がわからない
転ぶ音がしてはじめて振り向く
手を引かれるときは、相手に命を預けるのではなく
自ら相手の手を握り歩行の助けを願う
些細なことのように見えるが
実は大切なことなのかもしれない